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遺産分割の裁判例2【株式の評価】

事例
 この裁判例では、被相続人が生前に、自身が経営する会社の株式を妻と長男(被告ら)に贈与したことが、次男である原告から特別受益に当たると主張され、株式の相続時における評価額が争われた。

解説
 本事例のように、被相続人が自ら経営する家族経営の会社で市場での評価額がない株式については、当該会社の純資産額を会社の全株式数で割って、1株あたりの評価額を算定するのが一般的です。本事例でも原告、及び、被告らは純資産額を基準として評価することで合意しています。
 本事例で争点となったのは、会社が所有している借地権の評価の方法と、納税すべき法人税の税額を純資産額から控除すべきかどうかの2点です。
 前者については、裁判所は、国土交通省で公表している路線価が公示価格の8割程度となっていることが公知の事実であるから、その分を修正した価額を借地権の評価額と判断しました。被告らは他の遺産については、こうした修正要素を加えた評価をしていないので、借地権についても単純に路線価で評価すべきと主張しましたが、裁判所は当事者間に争いがある以上は、より合理的な評価基準を採用すべきとして被告らの主張を退けました。
 後者の法人税の税額控除については、裁判所は会社が経営を続ける以上は控除の必要はないと判断しました。つまり、会社を精算して事業を止める場合には、今後の収益がないので株主に分配される会社の純資産は法人控除後の財産になるため、株式の評価の場面でも法人税の納税額を純資産評価額から控除すべきといえます。しかし、会社が事業を継続するなら、法人税を納税しても事業収益による純資産の増加が見込まれるので、株式の評価をそれを考慮して納税による控除は必要ないからです。

 また、非上場会社の株式の評価は、公認会計士が作成した報告書を証拠として提出することが一般的です。本件のように被相続人が経営を承継する予定の長男等に税前に株式を贈与すると、相続開始後に特別受益の主張を他の相続人からされて、相続紛争が長期化して費用負担も大きくなることが予想されます。
 したがって、遺言書で承継者に特別受益がないことを(共に会社経営に関わり、会社の財産増加(遺産である株式の評価額増)に後見したこと)具体的に記載したり、事前に兄弟間の話し合いの機会を十分に設ける必要があるでしょう。

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