Column
コラム
録画による遺言
【事例】
私には2人の息子がいますが、次男は仕事が安定せず、私からお金を借りて返さないままでことが多く、その金額が多くなっています。そこで、遺言書を書いて、遺産はすべて長男に譲るつもりです。
ただ、次男は私の遺産を当てにしている節があるので、遺言書を書いても、「長男が偽造したものだ」などと難癖をつけてくる恐れが高いです。そこで、書面に書くのでなく、ビデオ撮影をして、私の肉声で、遺産を全て長男の譲る旨を宣言したいのですが、このようなビデオ撮影での遺言は有効になるのでしょうか?
【解説】
遺言書が法律上、有効になるためには、民法に定められた形式に沿って作成されなければなりません。民法によれば、遺言は書面で作成することが必須となっているので、ビデオ撮影による遺言は法律的には無効です。
そのため、きちんと書面に残して遺産をすべてご長男に譲る旨を記載すべきでしょう。次男が遺言の無効を主張してきても、対抗できるように公証役場において公証人の面前で作成する公正証書遺言を作成することをお勧めします。
公正証書遺言が手間がかかる(費用や公証役場とのやり取り等)というならば、自筆で遺言書を作成している場面をビデオ撮影して保管しておく方法もあります。これで、実際に作成した遺言書とビデオで録画されている遺言書が同一ものであることが分かるような工夫をすれば、公正証書遺言ほどではなくても、ビデオの映像が、ご自身が自主的に遺言を作成したことを裏付ける有力な証拠となります。