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預金と遺産分割の調停・審判

【事例】
 父が半年前に亡くなり、その遺産は、3つの銀行の預金で合計5000万円ほどになります。相続人は私と兄と妹の3人です。3人で等分に分けられればいいのでしょうが、兄は放蕩息子で、若いころは散々、父に金をせびっていたし、妹はその夫の事業資金として父から1000万円を借りて返しておりません。
 なので、私が多くもらうことを主張し、話し合いがまとまらないので家庭裁判所に遺産分割の調停を申立ました。調停はなかなか終わりそうになく、父の預金の払い戻しができないままになっています。
 ただ、私自身がリストラに遭い貯金を切り崩して住宅ローンを払っていましたが、それも限界に来ています。父の預金口座の一部だけでも払い戻しを受ければ、次の就職が決まるまでのローン支払いのつなぎができます。遺産分割の調停が成立する前でも、なんとか、私が1人で銀行から払い戻しを受けられないでしょうか?

【解説】
 日本の裁判所の考え方では、銀行預金は遺産ではなく、被相続人が死亡して、相続が開始した時点で法定相続分に従って、各相続人が預金債権を分割して取得するというものです。そのため、法律的には、各相続人は単独で、銀行に対して預金残高のうち法定相続分に応じた金額の払い戻しができるはずです。
 しかし、日本の金融機関はこうした考え方を採用しないで、あくまで各相続人全員の合意に基づかない限り、被相続人の預金の払い戻しには応じていません。
 裁判所からすれば、銀行預金は被相続人の金融機関に対する 債権であり、金額による分割が可能なので、相続が開始して複数の相続人がいるならば、分割債権という形で個々の相続人が取得 するという法的な理論を重視するのが当然でしょう。一方で、金融期間からすれば、遺産全体の分割協議がまとまらないうちに、預金の払い戻しだけ一部の相続人の抜け駆けを認めるようなもので、相続人争いに巻き込まれる懸念が強いので、単独の払い戻しを認めないのでしょう。
 ただ、法的にはあくまで法定相続分限りで単独での払い戻しができるので、調停成立前にどうしても払い戻しを受けたければ、金融機関に対して払い戻し請求の訴訟を起こして判決に基いて、払い戻しを受けることになります。
 もっとも、この問題については、現在、最高裁判所で審理の対象となっている事件があります。法律実務家の間では、裁判所の預金は遺産でなく当然に相続人に分割されるという考え方が改められる可能性があります。
 現在の裁判所の考え方では、金融機関の対応との乖離が激しいだけでなく、遺産分割の調停が不調になった場合、預金は遺産でないため、遺産分割の審判の対象からはずれてしまいます。特に本事例のように被相続人の財産のほとんどが預金債権であれば、調停が不調になった段階で裁判所を通じた遺産分割の紛争を解決することができなくなってしまいます。

 そのため、最高裁判所が預金債権の取扱について、どう判断するかが注目されています。

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