事例
家庭裁判所から、別居している妻を申立人とする離婚調停の申立書が届きました。初回の期日が指定されており、そこに出席してくださいと書いてあります。
この期日に私は出席しないといけないのでしょうか? 調停に出たらどのように話し合いが進んでいくのでしょうか?
解説
調停は裁判所が話し合いの場を提供する手続です。なので、裁判所から書類が来たからといって、強制力があるわけでなく、裁判所で離婚するかしないか、離婚の条件を一方的に決めることはできません。調停では、当事者双方が話し合いを継続して、離婚の合意を試みることになります。なので、出席する義務があるわけではありません。ただ、出席しなければ、調停が不成立になって、申立をした側の配偶者から、いずれ、裁判を起こされる可能性もあります。
裁判になる事態を避けたければ、出席して、話し合いを進めることになります。
具体的には、夫婦それぞれが、指定の期日に裁判所へ出頭して、2名の調停委員と言われる話し合いの進行役の方から、個別に事情を聞きます。個別に聞くとは、夫と妻が同じ部屋に同席しないで、夫と妻、一人ずつから2名の調停委員が話を聞きます。そのため、相手と調停委員の話の内容を聞くことはできません。
個別に事情を聞くことを繰り返して、調停委員は離婚で合意できるか探って行きます。離婚自体に加えその条件でも夫婦双方のすり合わせができる場合には調停が成立します。夫婦の主張に開きが大きいと合意ができず、調停が不成立となります。
調停委員はどちらかというと調停の成立にこだわります。そのため、代理人弁護士が就いている当事者とそうでない当事者がいると、弁護士がいない当事者の方をより強く説得して、弁護士がいる当事者の主張する条件、内容に近づけて合意する傾向があります。調停委員からすれば、相応の費用を負担して弁護士に依頼している当事者が自らの主張する条件への拘りが強いと感じて、弁護士がいない当事者を説得しやすいと考えるからです。
そのため、調停になって相手に弁護士が就いている場合には、自らも弁護士へ依頼することを積極的に検討すべきでしょう。また、弁護士がいないと調停委員の話が自分にとって有利か不利かも判断できません。加えて、調停には、①離婚を求める調停、②生活費を求める調停、③子どもとの面会を求める調停、④子どもの引渡しを求める調停、など細かく手続きが分かれています。
したがって、弁護士抜きで漫然と調停を進めて、ご自身の望みとは全く関係なく調停での合意が成立してしまう恐れがあります。安易に訴訟になるまでは弁護士抜きでも大丈夫とは思わず、調停の段階から、弁護士への相談、依頼をおすすめします。