コラム

預金の相続手続きに期限はある?早めに手続きすべき理由と注意点を解説

2023.03.10

預金の相続手続きに期限はある?早めに手続きすべき理由と注意点を解説

預金の相続手続きに期限はある?早めに手続きすべき理由と注意点を解説

口座の名義人が亡くなった場合、預金の相続手続きをする必要があります。

「預金の相続期限までに手続きしないと、引き出せなくなってしまうかもしれない」と焦ってしまいますよね。

結論から言うと、預金の相続手続きに期限はありません。ただし、なるべく早く手続きを行わないと、トラブルに発展したり手続きが煩雑になってしまう可能性があります。また、相続手続き前に預金を引き出してしまうと、さまざまなデメリットがあるので注意が必要です。

この記事では、預金の相続についてなるべく早く手続きするべき理由と、手続き前に預金を引き出してしまうことのデメリットについて解説します。

預金の相続手続きに期限はない

預金の相続手続きに期限はない

相続手続きは、忙しい、協議に時間がかかった、相続人と連絡がつかない・認知症の方がいるなどの理由で遅れることがあります。故人の預金を相続する手続きは、いつまでが期限なのでしょうか。

結論から言うと、預金の相続手続きに期限はありません

被相続人の預金は、相続人の共有財産になります。

遺言状で相続人が指示されていれば、相続人が金融機関で手続きをします。遺言状で指示されていなければ、相続人全員で協議(遺産分割協議)を行い、相続人を決定します。

預金の相続手続きに期限はありませんが、相続税の申告期限は被相続人の死亡から10ヶ月以内です。預金の相続手続きはその期間内に行うことをおすすめします。手続きに必要な期間の目安は戸籍等必要書類を揃えて銀行窓口に行ってから、1〜2週間程度です。

また、金融機関が名義人の死亡を把握すると、口座は凍結されます。凍結後も所定の手続きを行うことで預金を引き出せますが、なるべく凍結前に相続手続きを行うことがおすすめです。

預金の相続手続きを早めに行うべき3つの理由

預金の相続手続きを早めに行うべき3つの理由

預金の相続手続きに期限はありませんが、以下の理由からなるべく早めに行うことをおすすめします。

  • 休眠口座になってしまう場合がある
  • 相続関係が複雑化する場合がある
  • 口座の手数料がかかる場合がある

預金の相続手続きが遅くなってしまった場合に起こりうる事態について、1つずつ解説します。

休眠口座になってしまう場合がある

預金の相続手続きをなるべく早く行うべき理由の1つめは、被相続人の口座が休眠口座になってしまう場合があることです。

銀行口座は、最終異動日から10年経過すると休眠口座になり、払い戻しの手続きが煩雑になってしまいます。

異動とは、引き出し、預け入れ、振り込み、入金、口座振替などを指します。

注意したいのが、休眠口座になる期限は、相続から10年ではなく最終異動日から10年だということです。被相続人の口座の異動履歴によっては相続開始から休眠まであまり時間がない可能性もあります。

被相続人の講座の異動履歴を確認し、休眠口座になる前に相続手続きをすることをおすすめします。

相続関係が複雑化する場合がある

2つめの理由は、相続関係が複雑化してしまう場合があるという点です。

分割協議が完了する前に相続人の誰かが亡くなると、相続権がその人の相続人に移ります。これを数次相続といいます。

相続に関与する人が増えてしまい、手続きが煩雑になってしまうので、なるべく早く分割協議を終え相続手続きをするのがおすすめです。

口座の手数料がかかる場合がある

3つめの理由は、口座の手数料がかかる場合があることです。

最終異動日から10年経過して休眠口座になった場合、金融機関によっては休眠口座にも手数料がかかる場合があります。(未利用口座管理手数料)

余分な費用がかかってしまうことになるので、休眠口座になる前に相続手続きをするのがおすすめです。

相続手続き前に預金を引き出すのはNG

相続手続き前に預金を引き出すのはNG

預金者が亡くなったとしても、すぐに口座が凍結されるわけではありません。

ただし、相続手続き完了前に被相続人の口座から預金を引き出すのは避けるべきです。

相続手続き完了前に預金を引き出すことで、起こる可能性のあるデメリットについて解説します。

  • トラブルの可能性がある
  • 相続放棄・限定承認ができなくなる場合がある

トラブルの可能性がある

デメリットの1つめは、相続人のあいだでトラブルになる可能性があるという点です。

分割協議と相続手続きが完了する前に被相続人の口座から預金を引き出してしまうと、相続人の間でトラブルに発展する可能性があります。

分割協議が完了するまでは、被相続人の預金は相続人の共有財産です。勝手に引き出して使ってしまうと、トラブルになる可能性があります。

ただし、葬儀費用などでやむを得ず引き出さなければならない場合もあります。その場合は他の相続人に知らせた上で出金し、領収書を保管して自分のために使ったのではないことを証明できるようにしておくのがおすすめです。

相続放棄・限定承認ができなくなる場合がある

デメリット2つめは、遺産の相続放棄や限定承認ができなくなる場合があるという点です。

相続には、相続を全て放棄する「相続放棄」や、相続で得た財産の範囲内で債務を引き継ぐ「限定放棄」があります。

分割協議が完了する前に預貯金を引き出して自分のために使ってしまうと、債務も財産もすべて相続する「単純相続」をしたとみなされ、相続放棄や限定相続ができなくなる場合があります。

ただし、預金を葬儀費用にあてた場合は相続放棄が認められる場合があります。相続人の預金を引き出して葬儀費用に使用した場合は、領収書を取っておくなどして証明できるようにするのがおすすめです。

分割協議前に仮払いを受けることも可能

分割協議がなかなか進まない、葬儀費用を工面する必要があるなどの理由で、分割協議が終わっていなくても仮払いを受けられる場合があります。

金融機関の窓口で直接仮払いを受ける方法があり、手間も費用もかかりませんが、払戻額には上限があるので注意が必要です。

全額仮払いを受けたい場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てるという方法があります。

まとめ

預金の相続手続きに期限はありません。ただし、相続人が亡くなったり被相続人の口座が休眠口座になったりして、手続きが煩雑になる可能性があるので早めに手続きすることをおすすめします。

相続手続き完了前に預金を勝手に引き出して使ってしまうと、トラブルに発展する可能性があります。葬儀費用などでやむを得ず引き出す必要がある場合は、仮払い手続きや領収書の保管などをして、自分のために使ったのではないことを証明できるようにするのがおすすめです。

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