コラム
マンションを相続する際に知っておきたい注意点とは?
2022.07.21
マンションを相続する際に知っておきたい注意点とは?
こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。
相続は法的な手続きであり、しっかりとした知識がないまま行おうとすると思わぬ落とし穴にはまりかねません。
特に、相続財産がマンションである場合には、不動産の知識も必要となるため、押さえておくべきポイントはさらに多くなります。
本記事では、痛い目を見ないようにするために、マンション相続時に知っておきたいポイントを紹介していきますので、ぜひ頭に入れておいてください。
目次
マンション相続にかかる税金の注意点
マンションの相続にあたっては、様々な税金が発生します。ここでは、それらの税金の中から発生頻度が高い登録免許税と相続税を取り上げて見ていきます。
登録免許税
登録免許税というのは、登記の名義変更を行う際に発生する税金です。相続時ではなく、名義変更時に発生するので、実際に支払うのは遺産分割協議などの一連の相続手続きがある程度進んでからになります。
税額は、一律に相続するマンションの固定資産税評価額の0.4パーセントとなっていますので、例えば評価額が3,000万円の場合には12万円を納めなければなりません。
そこまで高額になるケースは少ないですが、地味に痛い出費となりますので、税額がどれくらいになるかはあらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。
相続税
マンションに限らず、遺産を相続した場合には、相続税が課税されます。相続税額を算定するためには、まずはじめにマンションの評価額を明らかにする必要があります。
建物部分については固定資産評価額、土地部分については路線価に面積と持分割合を乗じて算出される金額が相続税の評価額となります。マンション以外に相続財産がある場合は、それらも加味して遺産の総額を計算することになります。
一方、基礎控除の額は、600万円に法定相続人の人数を乗じた金額です。遺産総額から基礎控除を引いて算出される課税標準額に、自分の相続割合と税率を乗じた上で、適用可能な税額控除の額を引いた金額が、実際に納める相続税額となります。
なお、税額控除には、贈与税額控除や配偶者控除、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除といった様々なものがありますので、それらを適用することによって、実際には相続税を納めずに済むケースは少なくありません。
マンションを相続する際の注意点
マンションを相続する際には、税金以外にもいくつもの注意点があります。
相続後にも様々な費用が発生する
マンションを相続した際には、管理組合に対して名義の変更手続きを行う必要がありますが、その際に一定の手数料が発生するケースがあります。
また、毎月決まった管理費を支払わなければなりませんし、自分で住んだり、人に貸したりするとなると、室内をクリーニングするための費用も発生するでしょう。
遺産分割に含まれているとスムーズにいかないことが多い
相続人が複数いる場合には、誰がマンションを相続するかで協議が紛糾するケースが少なくありません。
金銭のようにきれいに分けて相続することが難しいだけに、場合によってはすぐには結論が出なかったり、相続者間に険悪な雰囲気が漂う恐れもあるのです。
売却する場合買い手がつかない可能性がある
マンションが相続の火種になるくらいであれば、売却してしまった方が良いと考える方は少なくないのではないでしょうか。
しかしながら、人気のエリアにあるマンションであればともかく、そうでない場合には売りに出しても簡単には買い手が見つからない可能性があります。
相続税は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告して納めなければならないので、必ずしもそれまでに売却が完了するとは限りません。
相続登記を速やかに行う
無事にマンションを相続しても、登記の名義変更を怠っていると、後から自分に相続権があるはずだという人が出てきた時に所有権を対抗することができません。問題を蒸し返さないためにも、相続登記はできる限り速やかに行うようにしましょう。
マンションの遺産分割の方法
マンションを相続人間で分割して相続するには、いくつかの方法があります。
現物分割
現物分割は、その名の通り、マンションを現物のまま複数の相続人で分け合うというやり方です。
例えば、部屋ごとに分けたり、土地と建物で分けたりといった方法があり得ますが、それ以外にも一方が全て相続して他方は何も相続しないというのも現物相続の一つの形態です。他の分割方法に比べると、不公平感が出やすいという点に注意する必要があります。
代償分割
代償分割は、一人がマンションを相続し、その人が他の相続人に法定相続分に相当する金額を現金で払うというやり方です。
マンションをそのまま残せる点がメリットですが、必要な現金が用意できるかがポイントになります。
換価分割
換価分割は、マンションを売却して、その代金を相続人間で分け合うというやり方です。マンションを手放すことになるという点や前述したようにすぐに売却できるとは限らないという点に注意しなければなりません。
共有分割
共有分割は、マンションを共有名義にするというやり方です。代償分割のように現金を用意しなくて済むものの、共有者全員が承諾しないと処分できなかったり、共有者が亡くなったりして権利関係が複雑になりやすいという点を頭に入れておかなければなりません。
【まとめ】マンション相続は注意点も多い
以上で見てきたように、マンションの相続には、税金や費用をはじめとして様々な注意点があります。中には専門的な法律の知識が必要になる手続きもありますので、それらをすべて自分たちだけで対応するというのは必ずしも現実的ではありません。
そのため、もし手に負えないようであれば、早めに弁護士などの専門家に相談してみた方がよいでしょう。