コラム

相続放棄した場合の銀行預金の取り扱いはどうすればよい?極力触れないことが大切です

2021.10.16

相続放棄した場合の銀行預金の取り扱いはどうすればよい?極力触れないことが大切です

相続放棄した場合の銀行預金の取り扱いはどうすればよい?極力触れないことが大切です

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

被相続人が借金を残して亡くなった場合、相続人はプラスの財産もマイナスの財産も全ての権利を放棄する相続放棄の手続きを取ることができます。その場合、被相続人名義の銀行預金はどのような扱いになるのか、相続人として何かすべきことはあるのか不安に思う人も少なくありません。

本記事では、相続放棄をした場合の銀行預金の取り扱いについて解説していきます。

相続放棄をしたら銀行預金からお金は引き出せない

相続放棄をしたら銀行預金からお金は引き出せない

相続放棄をするのは、被相続人が財産を超える額の借金をしている場合がほとんどです。とはいえ、必ずしも被相続人が無一文とは限らず、借金が大きい反面、銀行預金に相当額の残高が残っているというケースも少なくありません。

手元に被相続人名義の通帳や印鑑などがあれば当座の資金としてつい利用したくなりますが、預金を引き出すことで相続放棄ができなくなる可能性があるので注意しましょう。

被相続人の貯金を下ろすことは不法行為になる

そもそも、被相続人が亡くなってから預金を下ろすことは不法行為に該当します。

これは相続放棄に関係なく、他の相続人にも権利がある相続財産を取得したことになるからです。刑事罰はありませんが、民事で他の相続人に返還請求された場合には引き出した金額を返さなければなりません。

相続放棄をする予定でありながら、銀行預金からお金を引き出した場合にはさらに深刻です。

相続放棄の手続きは厳格で、原則相続発生から3ヶ月以内に裁判所に相続放棄申述書を提出しなければなりません。この手続きをした人は最初から相続人ではなかったことになりますので、相続財産を取得する権利を持たなかったという扱いです。

相続財産を使用した場合、相続放棄が受理されない

しかし、被相続人の相続財産を一部でも使用したり紛失したり破損したりした場合には、相続を単純承認したとみなされるため、期間内に手続きをしても相続放棄が受理されません

預金を引き出しはしたものの、使わずに現金で管理している場合には相続財産の処分や隠匿にならないと判断されることがありますが、当然裁判所にはその旨を届けなければなりません。加えて、現金の状態でそのまま管理し続けて、相続財産管理などが選任された時に引き渡す必要がありますので、非常に面倒です。

現金で管理しているからと言って必ずしも相続放棄が認められるとは限りませんので、極力手を付けないようにしましょう。

銀行預金を引き出し後にも相続放棄が認められるケース

銀行預金を引き出し後にも相続放棄が認められるケース

基本的には、相続放棄をする可能性があるなら銀行預金に手を付けるべきではありません。しかし、そのことを知らずに預金を引き出してしまっても、相続放棄が認められるケースはいくつかあります。

被相続人のために使う場合は相続放棄が認められる

例えば

  • 本人が存命中に入院していた時の費用
  • 葬式費用
  • 墓石代

などの支払いは遺族として当然に対処すべきことであり、これらの金額が社会的に見て不当に高額でない以上は、相続財産の処分に該当するとは断定できないと判断されています。

つまり、相続人が自分のために引き出した預金を使った場合は、相続を承認したと認識されるために相続放棄ができなくなりますが、適切な金額を被相続人のために使った場合は、相続放棄が認められるケースがあるということです。ただし、領収書や明細書などの原本をなくさずに管理しておかなければなりません。

形見分けは判断が分かれるので注意

形見分けに関しては品物の価値で判断が分かれます。

ほぼ無価値の着衣や身の回り品を形見分けとして持ち帰ったケースで相続財産の処分に当たらないとされた判例もありますので、全く何も形見がないという状態にはならないでしょう。

ただし、これも価値の有無は裁判所が判断するため、実際に形見分け前に専門家へ相談をした方が無難です。

相続放棄後、銀行預金はどうなるの?

相続放棄後、銀行預金はどうなるの?

相続放棄をした後で、銀行預金はどのような取り扱いになるのでしょうか。

法定相続人が残っている場合には、相続放棄をしなかった相続人が被相続人名義の預金を解約して債務を返済していくことになります。

法定相続人全員が相続放棄をした場合

しかし、法定相続人全員が相続放棄をした場合には、被相続人の銀行預金や不動産などの相続財産を相続・管理できる人がいない状態です。

この場合、被相続人に対してお金を貸していた債権者や特定遺贈を受けた者、特別縁故者などの利害関係がある人が、家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立を行います。

特に債権者は、この手続きをしなければ全く貸金が回収できないので、貸し付けた金額が大きく、相続財産がある程度残っていれば相続財産管理人の選任申立をするケースがほとんどです。

相続財産管理人は法律の専門家

裁判所が選任する相続財産管理人は、弁護士や司法書士などの法律の専門家です。

相続放棄をした遺族が被相続人の預貯金等を保管している場合、後日相続財産管理人から連絡があり、預金通帳や不動産の権利証、証券類などの相続財産の引継ぎを行います。

銀行預金から引き出した現金がある場合にも、ここで相続財産管理人に渡しましょう。

相続財産管理人は、相続財産を現金に換価して借金の返済や特別縁故者への財産分与など支払うべきものを清算します。

借金全額を返済しきれなかった場合は、それ以上請求することができないため、債権者が損金処理して終了です。すべて清算しても財産が残った場合は、国庫に帰属させます。

【まとめ】極力銀行預金には触れず専門家へ相談を

このように、相続放棄を検討するような状況下では、銀行預金の残高があっても何もしないことが一番安全な方法です。

葬儀費用や墓地に関しても、その都度裁判所が判断するので身分不相応に高額なものを選ばないようにしましょう。できれば当面の費用は相続人が負担して、相続放棄の手続きをする際は法律事務所に相談をするのがおすすめです。

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