コラム

弁護士が解説!申述が受理後の相続放棄の取消について

2023.05.05

弁護士が解説!申述が受理後の相続放棄の取消について

弁護士が解説!申述が受理後の相続放棄の取消について

船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村です。
被相続人に遺産が全くないと思い、借金を引き継ぐくらいならと考えて相続放棄をしたものの、後から遺産が見つかったという場合があります。

知らない不動産が遠くにあり、固定資産税の支払い請求の通知書が届くなどして、判明する場合などがあります。
遺産の価値が高い場合「やっぱり相続したい」ということになります。

今回は、一度相続放棄の申述が受理された後にこれを取り消すことができるのか、相続放棄の取り消しについて本コラムで解説いたします。

原則としては、相続放棄の取消は認められない

原則としては、相続放棄の取消は認められない

相続放棄の申述が受理されると、申述をした人は最初から相続人でなかったものとして扱われます

受理された時点で最初(相続開始時点)から相続人でないことになり、後に放棄の取消が認められてしまうと、放棄した人以外の相続人で行った遺産分割協議も事後的に無効になってしまうなどの不都合が大きいため、原則として認められません。

金銭の授受を条件に相続放棄を行った場合

金銭の授受を条件に相続放棄を行った場合

例えば、相続放棄をすることと引き換えに他の相続人から100万円を受領する約束をして相続放棄の申述をしたが、放棄をしなかった相続人が約束を破って100万円を支払わなかったとしても相続放棄は取り消すことはできません

これは単なる約束違反の問題であって、100万円が欲しければ放棄した申述人は約束を根拠に民事裁判を提起して、支払いを求めれば済む話ということになります。

借金があると勘違いをし相続放棄をしたが取り消したい場合

借金がたくさんあると勘違いして相続放棄をしながら、実は借金がないことが後から判明したとしても、相続放棄が認めれないことがあります。

「借金がある」との勘違いの根拠や、家庭裁判所に提出した申述書にも借金による相続放棄であるという理由が記載されていなければ、放棄した動機・理由が誰にも分からず、唐突な取消を認めることは難しいでしょう。

相続放棄を行わなかった相続人同士でまとまった遺産分割協議が、いつ覆されるか分からなくなってしまう状況は他の相続人にとって何の利益にもならないからです。

他の相続人に騙された場合には取消が認められやすい

他の相続人に騙された場合には取消が認められやすい

被相続人が亡くなり、被相続人と同居していたAと別に暮らしていたBが相続人であったとします。

Bは、同居していたAから、「遺産はほとんどなく借金ばかりなので相続放棄をした方がいい、Aも相続放棄する」と言われました。Aの言葉を信じたBは相続放棄をしたものの、実は財産があったことが判明した場合には、相続放棄の取消が認められます。

この場合は、騙したBを保護する必要がなく、相続放棄をなかったものとして扱うのが妥当だからです。

騙された場合でなくても、冒頭で挙げたような遠くにある不動産が相続放棄後に見つかった場合は申述した人にとっては完全に想定外であり、他の相続人も見つけられなかった遺産は遺産分割協議が成立していない以上、相続放棄の取消が認められる可能性が高いでしょう。

相続放棄の決断は慎重に、弁護士に相談しながら進めるのがおすすめ

今回は相続放棄の取り消しについて、例を上げながら解説いたしました。
相続放棄をすると、原則として取消が認められません。

単なる約束違反であったり、借金があると勘違いしただけでは相続放棄の取り消しは認められないことが多いです。

しかし、他の相続人に騙された場合や、遺産がないと勘違いしたことにやむを得ない事情があるといった申述人を保護すべき事情があって、初めて相続放棄の取消が認められる可能性がでてきます。

そのため、相続放棄をするか否かは慎重に判断をすべきでしょう。被相続人が亡くなってから3か月間が熟慮期間と呼ばれる所以です。

遺産相続で悩むことがあるならまずは弁護士に相談することをおすすめします。

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