コラム

被相続人(亡くなった親兄弟)の借金を調べる方法

2021.12.24

被相続人(亡くなった親兄弟)の借金を調べる方法

被相続人(亡くなった親兄弟)の借金を調べる方法

船橋・習志野台法律事務所の弁護士の中村です。

相続放棄は、亡くなった親や兄弟姉妹などの借金を引き継がないために行う手続きです。しかし、何らかの事情で亡くなった親・兄弟姉妹等と疎遠になっているため、借金の内容が分からないことがあります。

今回のコラムでは、被相続人(亡くなった親兄弟)の借金を調べる方法などを解説します。

税金・健康保険料について

税金・健康保険料について

被相続人の借金で最も多いのが未払いの税金や健康保険料です。

こうした税金や健康保険の滞納があるか否かを相続人の立場であれば、市役所に問い合わせることで回答をしてくれる場合もあります。あとは、亡くなられた方の郵便物を確認して、税金の催促がないか確認する方法もあります。

続いて、特に注意した方が良い税金についてご紹介していきます。

住民税

中でも住民税が最も滞納しやすい税金です。住民税は前年の収入が納税額の基準になりますが、納税時期が基準となる収入があった年の翌年の6月からになるため、病気などで働けなくなった時点で課税され、支払いに余裕がなくなるというパターンが多いからです。

先に国税である所得税から納税時期が来るので、住民税の納税のタイミングで資金が枯渇することが珍しくありません。

固定資産税

固定資産税の滞納も比較的多いです。固定資産税は滞納してもすぐに自宅を追い出されるわけでなく、あるいは、資金が枯渇しても自宅への拘りが強かったりお金をかけて転居する意欲が少なくなってくると、固定資産税へ資金を回す優先順位も低くなり、滞納が増えることが珍しくありません。

健康保険料

病気などで失業すると、勤務先の健康保険を外れて、国民健康保険に加入することになります。国民健康保険の保険料は、勤務先の健康保険組合より保険料が割高であることが多く、失業後の減収した状況で支払いが滞納することがあります。

医療費の未払い

医療費の未払い

医療費の未払いのまま被相続人が亡くなることも時々あります。

相続放棄を検討する場合、亡くなった方の親族関係が疎遠になっていることが多く、医療費の援助がないまま、死亡することがあります。

ただ、被相続人が生前に通院、入院していた医療機関を特定することは困難です。医療費については事前に把握することはできず医療機関からの請求で初めてわかることが多いです。

医療費未払い時の対応方法

医療期間から請求がきた場合、請求が来てから3カ月以内であれば、相続放棄ができることが多いです。また、医療費の場合、健康保険に加入していれば高額療養費の適用などで長期の入院の場合でも月額8万円程度が負担の上限となることが多いです。

そのため、数百万円程度のまとまった預金や自宅が遺産として残っていればそれで医療費を賄える可能性が高いので、医療機関からの請求を怖がって相続放棄をする必要性に乏しいでしょう。

保険料未払い時は要注意

しかし、被相続人が保険料未払いなどで健康保険が使えない場合は、10割負担の請求が相続人にされる恐れもあります。特に年金受給権がない被相続人については、国民健康保険料を支払えない可能性があり、医療費が莫大になる可能性もあるので要注意です。こうした場合は相続放棄をした方がいいでしょう。

金融機関、消費者金融からの借入金

金融機関、消費者金融からの借入金

被相続人が、消費者金融やクレジットカード会社から借り入れをしている場合があります。この場合には、信用情報機関に開示請求することで、借り入れの時期や金額、滞納額が判明します。手数料1000円で郵送等で開示請求をしてから3週間程度で結果が分かります。

信用情報機関とは、消費者金融や金融機関がお金の借り手が返済に滞った場合にその情報を登録を受け付ける機関のことで、特に住宅ローンの申し込みがあった際に銀行は、信用情報機関にローン申し込み者の情報が登録されているか照会をします。

これで、滞納歴などがあるとローンを組めないことがあります。全ての金融機関、消費者金融がわずかでも滞納、支払い遅延があれば、信用情報機関に登録をしますので、信用情報機関への開示請求の結果は信頼性が高いです。

なので、被相続人の借入金の有無が心配であれば、信用情報機関への開示請求が有効な手段となります。

生活費の滞納

光熱費、携帯電話代金、家賃などの日常生活に必須の生活費を被相続人が滞納している場合があります。

これは、被相続人が1人暮らしのまま長期の入院をして、入院したのを知っている人が誰もいない状態になると、契約関係の解除ができず、家賃、光熱費、電話代とそれぞれ滞納額が膨れ上がってしまうことがあります。

入院してそのまま亡くなってしまえば、膨れ上がった滞納額がそのまま借金となって相続の対象となってしまいます。

そのため、亡くなる直前の入院が数か月から半年と長期に及んでいた場合には、こうした生活費の滞納の可能性を疑うべきでしょう。

借金が事前に正確に把握できる場合は少ない

借金が事前に正確に把握できる場合は少ない

被相続人の借金の有無や金額を確実に調べられる方法は、信用情報機関への開示請求しかありません。

信用情報機関が把握しているのは、金融機関や消費者金融での返済の履歴のみであり、これまで述べてきた、医療費、生活費、税金、保険料については、確実な調査の手段はありません。

ただ、被相続人の亡くなる直前4,5年程度の生活状況(就労歴、入通院履歴、単身者であるか否か)を把握できれば、未払いのある項目の推測ができます。無職で持病があるといった不安定要素が強ければ、税金や健康保険料の滞納額が膨れあがる傾向にあります。

どうしても、借金の有無や金額が心配であれば、相続放棄の3カ月の期間を伸ばしてもらうよう裁判所へ申し立てることもできます。

まとめ

このように、被相続人の借金の金額を正確に把握することは難しいです。ただ、ある程度の予測はできるので、それをもとに残っているプラスの財産との比較で、相続放棄をするかどうか、判断をすることになります。

弁護士は相続放棄だけでなく、破産など借金の問題にも精通しているので、相続放棄の判断に迷った際には、ぜひ、弁護士へ相談しましょう。

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