コラム

【相続放棄の3カ月の熟慮期間の起算点】考えられる3つの起算点

2023.12.21

【相続放棄の3カ月の熟慮期間の起算点】考えられる3つの起算点

【相続放棄の3カ月の期間制限の起算点】考えられる3つの起算点

船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村です。

「相続放棄は3ヶ月以内に行う必要がある」ということは知っている方も多いのではないのでしょうか。

その「3ヶ月」の起算点は、被相続人が亡くなったことを知ったときとされています。しかし例外として、被相続人に借金があることを知ったときから3ヶ月以内でも、相続放棄をすることができます

この記事では、
・相続放棄の起算点
・時間が経ってから借金に気づいた場合の相続放棄
について解説していきます。

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基本は、被相続人の死亡年月日が起算点

基本は被相続人が亡くなった時から3カ月

相続の承認・放棄ができる期間(熟慮期間)は法律で決まっています。民法では、以下のように規定されています。

民法第915条1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所に申述しなければならないとされています。この期間を『熟慮期間』といいます。

この3カ月の起算点は、被相続人の死亡年月日です。そのため、被相続人の死亡を記載した除籍謄本を取得し、その日から3カ月以内に申述する必要があります。

相続放棄の手続きにはどれくらいかかる?

除籍謄本を取得した日から2カ月以内であれば、必要書類の準備や家庭裁判所への申述の期間を考慮しても、十分に間に合うでしょう。

なお、家庭裁判所に申述してから、相続放棄受理通知書が発行されるまでに1カ月以上かかることもあります。この場合、受理通知書が発行される時点で、被相続人の死亡から3カ月が経過していることがあります。

しかし、3カ月の解釈は、申述までに3カ月以内であれば良いという意味です。そのため、申述までに3カ月以内であれば、その後、追加書類の提出や訂正などで、受理通知書の発行までに3カ月が過ぎてしまっていても、相続放棄は認められます。

法律上では「被相続人の死亡を知った時」から3ヶ月

法律上は被相続人が亡くなったことを知った時から3カ月

もっとも、借金の催促がない限り、疎遠になっている被相続人の死亡を知るきっかけはなかなかありません。

基本は被相続人が実際に亡くなった日から3カ月ですが、民法の条文では、相続開始を知った時から3カ月となっています。つまり、被相続人の死亡を知った時から3カ月という意味です。

ただ、親子関係など肉親であれば、通常は、死亡したその日に病院などで立ち会っていることが多く、死亡した日=死亡したことを知った日となるため、まずは、除籍謄本の死亡年月日の記載日が起算点として重要になります。

ただ、

  • 父母の離婚で片方の親と別居して以来、交流がない
  • 叔父や叔母など被相続人と疎遠である

場合には、死亡したその日に亡くなったことを知らない場合があります。相続放棄ができる期間の起算点を被相続人の死亡時とすると、知らないうちにいつの間にか3ヶ月が経ってしまい相続放棄ができなくなってしまいます
そのため、法律上の熟慮期間の起算点は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」となっています。

しかし、何の資料もなく死亡の3年後に初めて亡くなったことを知ったと申述書に記載しても、家庭裁判所がそれを認めてくれるとは限りません。

例えば、親戚や知人から連絡を受けて知った場合、それがメールやLINEであれば日付が記録されているのでその履歴を保存しておく必要があります。電話で連絡を受けた場合には、着信履歴を残しておくのも一つの方法です。

【例外のケース】死亡して3ヶ月を過ぎてから借金が判明した場合

借金があるのを知った時から3カ月

重要な例外として、被相続人に借金があることを知った時から3カ月という起算点があります。

例外ではありますが、通常の亡くなった時から3カ月以内のパターンと同じくらいの割合で、借金があるのを知った時から3カ月の起算点をもって相続放棄の申述をしているパターンは多いです。

この例外規定は、被相続人の借金の負担を相続人に押し付けないために設けられています。借金は、被相続人の死後も消滅することはありません。そのため、相続人が被相続人の借金を相続してしまった場合、相続人は借金の返済義務を負うことになります。

借金の種類は、消費者金融からの借り入れだけでなく、住民税、国民健康保険料、固定資産税などの滞納分も含まれます。行政から滞納分の税金の請求を受けた場合は、その請求書の日付が起算点となります。

個人から借金の返済の催促を受けた場合は、電話ではなく、書面で債権の内容を明らかにするよう依頼しましょう。書面で債権の内容が明らかにされていれば、その日付が起算点となります。

また、郵送で催促を受けた場合は、封筒の消印も起算点の証拠として有効です。相続放棄を検討している場合は、早めに借金の有無を確認し、起算点を把握しておきましょう。

【まとめ】被相続人の死亡から時間が経ってもあきらめる必要はない

このように、3カ月の起算点は柔軟な解釈ができます。

相続放棄が借金返済の回避のためになされることが多いので、借金があるのを知った時が起算点として重要な意味を持ちます。死亡を知った時との比較で、請求書、催促の書面等で借金があるのを知った時を明らかにしやすいからです。

また、子どもが相続放棄をして兄弟姉妹が相続人となる場合は、もっとも早い起算点は子どもの相続放棄が受理された時点になります。

資料によって、子どもの相続放棄の受理を知った時点を明らかにできればその時点が起算点となるので、兄弟姉妹が知らない間に相続放棄の3カ月の期間制限が徒過してしまうことはほとんどありません。

相続放棄の起算点は柔軟に解釈されるため、相続放棄ができないと簡単に諦めるべきではありません。相続放棄を検討している方は、弁護士に相談することをおすすめします。

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