コラム
弁護士と司法書士の違いは?相続手続きをするならどちらに頼むべきか
2021.02.20
弁護士と司法書士の違いは?相続手続きをするならどちらに頼むべきか
相続の相談は弁護士と司法書士どちらにも相談が可能です。しかし、「どちらでもよい」という認識をもっていると、場合によっては無駄な出費や時間が発生してしまうので注意が必要です。
弁護士と司法書士、各業務内容には特徴があり、相談したい内容よって相談相手を決めると良いです。
今回は弁護士・司法書士の違いとどういった時に弁護士もしくは司法書士に相談したらいいのか、ケース別に相談先をまとめました。
相続手続きにおける弁護士と司法書士の違い
弁護士とは?
弁護士とは依頼者のトラブルについて法的なアドバイスや法的な手続きを行ったり、依頼者の代わりに交渉や発言をしてくれる人のことです。
弁護士と聞くと、法廷に立ち、犯人と間違われている依頼者の弁護をしている姿を想像する人が多いのではないでしょうか?その姿も正解ですが弁護士の仕事はそれだけではありません。金銭問題や相続、離婚などの問題も取り扱います。
弁護士は法に関わる様々な仕事を行う、法律の専門家です。
弁護士ができること
では相続手続きをクローズアップした時、弁護士はどの範囲まで業務ができるのでしょうか?結論を先に申し上げると、弁護士は相続に関する手続きのほとんどが対応可能です。
具体的な業務内容例は以下です。
- 遺言書の作成、検認
- 遺言執行者への就任
- 遺産分割協議書※1の作成
- 遺産分割協議、調停、審判の代理人
- 相続人、相続財産の調査
- 相続放棄(限定承認※2の申述も可)
- 遺留分減殺請求※3
- 事業承継手続き
※1:遺産分割協議書:「誰がどの財産をどれだけ相続するか」相続人全員で話し合って決めた内容が記された書面のこと
※2:相続放棄の限定承認:相続によって得たプラスの財産を上限とし、被相続人のマイナスの財産を相続すること
※3:遺留分減殺請求:相続人が遺留分(相続人が取得できる最低限の取り分)に相当する財産を受け取ることができなかった場合に金銭の支払いを請求する方法
相続問題のほとんどに対応できるので弁護士に相談すれば、まず間違いはありません。
また、代理人として法的トラブルの解決ができるのは士業の中での弁護士だけです。そのため、相続人同士でトラブルに発展しそうな場合は予め弁護士に相談しておくと安心ですよ。
ただし、弁護士でも唯一できないことがあります。それは相続税の申告や納税手続きです。これらの業務は税理士の専門分野になるので税理士に頼む必要があります。(ただし、税理士登録している弁護士であれば対応は可能です)
司法書士とは?
司法書士は不動産登記の専門家です。例えば、土地や建物を売買する時に書類作成や法律上の手続きが必要です。これらの処理を代行して行えるのが司法書士です。不動産登記以外でも法律に関する書類作成や提出の代行対応も業務の1つです。そのため、相続関連の手続き・書類作成も代理で作成することができます。
司法書士ができること
司法書士は弁護士と比較するとできる業務範囲が限られます。
具体的な業務内容例としては以下です。
- 遺言書の作成、検認
- 遺言執行者への就任
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の相続登記
「遺言書の作成」「検認や遺言執行者への就任」「遺産分割協議書の作成」などは弁護士と同様、対応が可能です。
しかし、「遺産分割協議、調停、審判の代理人」「相続人、相続財産の調査」「遺留分減殺請求」「事業承継手続き」などの業務が発生した場合は司法書士では対応ができなくなります。つまり、他の相続人との交渉を伴う事務処理や手続等は弁護士でなければできません。
そのため上記の業務をお願いする場合は弁護士に相談しましょう。
相続手続きを弁護士に頼むと良いケース
前章で説明した通り、相続手続きの中には弁護士にしかできない範囲があります。相談したい内容が弁護士にしかできない内容であれば弁護士を頼りましょう。
もし弁護士・司法書士どちらでも対応できる内容だった場合は「相続間でもめている、もめそうだ」という判断基準で決めると良いです。
弁護士は法律トラブルの専門家です。司法書士は相続関連でトラブルに発展してしまった場合、対応ができず結局弁護士に頼らざるおえません。最初から弁護士に依頼しておけば無駄な出費や時間がかかりません。
また、弁護士であればトラブル回避を意識した手続きを行うことが可能です。例えば、遺言書の作成や遺産分割協議の作成において、これまでの経験をもとにトラブルが起こらないような文面での作成やアドバイスをくれます。
相続手続きを司法書士に頼むと良いケース
主な相続手続きが不動産登記で、相続間でトラブルになる確率も低い場合は司法書士に依頼すると良いです。司法書士は不動産登記の専門家です。不動産登記は弁護士でも対応できる範囲ですが、司法書士の方が精通している業務ですので安心して任せられます。
相続手続きは弁護士の方がカバーできる範囲が広いので、なんでも弁護士に頼んだ方がよいと思われるかもしれません。しかし、相談内容のメインが不動産登記であれば、司法書士に頼む方がメリットが大きくなります。
まとめ
相続手続きに関して、弁護士と司法書士の違いについてまとめました。弁護士は相続手続きに関して一通りの業務が可能ですが、司法書士は一部扱えない業務があります。
どちらに相談するかは
- 相談内容
- トラブルに発展するしない
を踏まえた上で決めましょう。
慣れない相続の手続きは専門家に頼ることで、スムーズかつ安心して手続きをすすめることができますよ。
船橋・習志野台法律事務所もこれまで数多くの相続手続きに対応してきました。相続でお困りの方はお気軽にご相談ください。