コラム
結婚した娘には相続権がないと言われたら
2023.01.06
結婚した娘には相続権がないと言われたら
結婚をする際に、将来の相続について話し合う人もいるでしょう。遺産相続を検討している親のなかには、結婚した娘には相続権はないと勝手に判断する人もいます。
ですが、結婚をした娘にだって遺産を相続する権利はあるのです。
ここでは、結婚後の相続権について詳しく解説します。事前に対処法や未然に防ぐコツを知っておけばトラブルになる事はありません。
目次
結婚した娘にも遺産相続の権利がある
結婚をしたからといって、相続権が消えたりはしません。ここでは、娘が結婚した後の相続について詳しく解説します。
結婚した娘の相続の順番
民法で定められた法定相続人には、相続できる順番というものがあります。子供は第1順位とされています。これは、結婚して実家を離れた場合も同じです。
なぜなら、たとえ結婚して夫の親族との交流が多くなったとしても親子関係には変わりがないからです。
結婚した娘がもらえる相続分
相続権はあるものの、相続分は違うのではないかと考える人もいます。ですが、結婚しても相続分は変わりません。子供の法的相続分の合計は遺産の2分の1です。子供が複数人いる場合は、人数分を均等に分けます。
なぜ結婚した娘に相続権がないと考える人がいるのか
なぜ、結婚した娘に相続権がないと主張する人がいるかというとそれは旧民法の影響が強く残ったためだと考えられます。かつて、家督相続という制度がありました。これは、一家の主は家族を統率し家族はそれに服從するという制度です。
この制度では、家を継ぐ者が相続人だと考えられていました。そのため、他家に嫁いだ娘は相続の権利を放棄したとみなされたのです。ですが、これは過去の話。
戦後、日本国憲法が誕生し昭和22年には民法が大きく改正され、その時に均等相続が決まりました。これにより、子供はすべて均等に遺産を相続できるようになりました。
結婚した娘の相続権は、法律できちんと認められています。
「結婚した娘には相続しない」と言われた時の対処法
もしも被相続人から「結婚した娘には相続しない」と言われた場合、どうしたらいいのでしょう。
ここでは、その場合の対処法について解説します。
遺産分割協議に相続人が全員参加しない場合無効になると伝える
遺産を相続し分ける際には、遺産分割協議を行う事が必要です。これは、相続人が全員参加して協議を行う必要があります。
もし、相続人が1人でも欠けた場合はその協議は無効となってしまいます。その旨を親族に伝える事により、問題は解決へ向かいます。
また、協議の結果は書類に残すようにすると後でトラブルに発展する事を回避できます。
遺留分侵害請求を行う
結婚した娘に相続権はないとされた時には、遺留分侵害請求を行うといいでしょう。
これにより、相続の権利を回復する事が可能となります。
財産隠しをされないために銀行の残高証明書を取り寄せる
場合によっては、故人の財産を管理していた者が財産隠しをする事も考えられます。前もって、銀行から故人の残高証明書を取り寄せておくといいでしょう。
相続人の実印と印鑑証明書、そして戸籍謄本など故人との間柄がわかる書類が必要です。
トラブルを防ぐためには
結婚した娘に相続権はないと言われた場合、後々トラブルになる事も想定されます。ここでは、トラブルを防ぐためにできることを解説します。
遺言書で相続人について明記してもらう
相続権のトラブルを防ぐには、事前に遺言書に相続人について書いてもらう事も大切です。「結婚した娘にも相続させる」と相続人がはっきりと遺言書に書いておけば、後で他の兄弟や姉妹と問題になる事はありません。
ですが、注意も必要です。
たとえ遺言書があったとしても、作成日が書かれていなかったり、捺印がされていなければ無効になってしまうのです。遺言書が完成したら事前にチェックしておきましょう。
弁護士に依頼する
隠し財産を調べたりなどは、なかなかすぐにはできないものです。また、金融機関や役所などから必要な書類を取り寄せるのもかなり難しいです。そんな時には、弁護士に依頼するという選択肢もあります。
法律の専門家である弁護士が、難しい手続きもサポートしてくれるので安心です。
わからない事があったら、まずは弁護士に相談をしてみましょう。
前もって相続人同士でよく話し合っておく
トラブルを防ぐためには、相続人同士がよく話し合っておく事も大切です。家族のなかには、結婚した娘には相続権がないと本気で考えている人もいます。小さな誤解が、やがて大きなトラブルへと発展する可能性だってあるのです。
ですが、互いに感情的になってしまうと解決までにかなりの時間がかかってしまいます。結婚した娘がなぜ相続できるのか、その理由について冷静に説明し相手に理解してもらう事が大切です。
結婚した娘に相続させないと言われた時には
今回は結婚した娘には相続権がないのか?について
かつての法律の影響から、「結婚した娘には相続権がない」と考える人もいます。ですが、現在の民法では結婚して実家と疎遠になっても相続権は発生します。
- 遺産分割協議
- 遺留分侵害請求
などでその権利を守る事は可能ですが、トラブルを未然に防ぐためには家族間での話し合いをしておくことが大切です。
困った時には法律の専門家である弁護士に相談するという選択肢もあります。
お困りの際はぜひお近くの弁護士事務所にご相談ください。