コラム

甥姪のみに相続が発生するのはどのような場合?相続分や注意点などを解説

2021.04.06

甥姪のみに相続が発生するのはどのような場合?相続分や注意点などを解説

甥姪のみに相続が発生するのはどのような場合?相続分や注意点などを解説

相続というと被相続人の配偶者や子が対象になるものとイメージされることが多いでしょう。しかし、場合によっては甥や姪に相続権が発生することもあります。相続はトラブルが起こりやすいため、誰に相続権があるのか、どのくらい相続できるのかなど正しく理解しておくことが大切です。今回は、甥姪に相続が発生する具体的なケースとともに、その場合の相続分や注意点などを解説します。

相続の仕組みと甥姪の相続の関係

甥姪に相続が発生するケース

甥姪の相続を考える際に押さえておきたいことがあります。それは、「甥姪は直接の相続人にはなり得ない」ということです。

相続の仕組み

まずは相続の仕組みから見ていきましょう。主な相続人として挙げられるのは法定相続人です。法定相続人とは、法律により相続権が発生することが認められている人を言います。具体的な法定相続人の範囲は、被相続人の配偶者・子・両親などの直系尊属・兄弟姉妹です。この中でも優先順位が決まっており、配偶者は常に相続人となります。

そのほかの血族は、子・両親などの直系尊属・兄弟姉妹の順番になり、その順位の人がいない場合、次の順位に相続権が発生するという仕組みになっています。つまり、法定相続人は「配偶者と子」「配偶者と直系尊属」「配偶者と兄弟姉妹」のいずれかの組み合わせになります。

ただし、もし法定相続人が亡くなっている場合でも、代わりに相続できる人、いわゆる「代襲相続」を受けられる人がいれば、相続権はそちらに移ります。代襲相続を受けられる人は、法定相続人の子と決まっています。

例えば、被相続人の子が既に亡くなっている場合、代襲相続できるのは子の子、つまり被相続人の孫です。もし孫が存命しているようであれば、相続権は子の次の順位の両親には移らず、孫が子の分を相続することになります。

甥姪に相続が発生するケース

ここまでの説明を踏まえ、甥姪に相続が発生するケースを考えてみましょう。

甥姪は被相続人の兄弟姉妹の子にあたります。つまり、兄弟姉妹の代襲相続が受けられます。兄弟姉妹は法定相続人の血族の中では最も後ろの順位です。総合して考えると、甥姪が相続を受けられるのは、被相続人の子や孫、両親などの直系尊属がいない状態で、さらに兄弟姉妹(甥姪の親)もいない場合ということになります。

なお、法定相続人をベースとして考えた場合になりますが、被相続人が遺言状などを残しており、そこに甥姪に相続をする旨が書かれているなら、ほかの法定相続人の有無にかかわらず、甥姪も相続することが可能です。

甥姪に発生する相続分について

甥姪に発生する相続分について

それでは、甥姪には具体的にどのくらいの相続が発生するのでしょうか。具体例を挙げながら見ていきます。

被相続人の配偶者がいる場合

まずは、被相続人の配偶者がいる場合です。法律では、各法定相続人が相続できる割合も決められており、これを法定相続分と言います。この場合配偶者の法定相続分は相続財産の3/4です。

被相続人の配偶者がいる場合の甥姪の相続分

甥姪が相続するのは残りの1/4ということになります。例えば相続する財産の合計が1,000万円だとすると、配偶者が750万円、甥姪が250万円相続することになります。

法律上の相続人が甥姪しかいない場合

甥姪のみに相続が発生するのは、被相続人の配偶者もおらず、ほかの相続人もその代襲相続人もいない場合、つまり法律上の相続人が甥姪しかいない場合です。このとき、相続財産の全てを甥姪が相続することになります。なお、遺言状で「甥姪に相続財産の全てを譲る」という旨が書かれている場合も、甥姪のみが相続する可能性はあります。

ただし、甥姪のほかの法定相続人がいる場合、法定相続人が法律上で定められている遺留分を主張することもあるでしょう。その際は、遺言状にどのように書かれていても、遺留分に対応した金額を法定相続人に渡さなければならない可能性が高いです。

なお、兄弟姉妹は法律上の遺留分が定められていません。したがって例えば相続人が被相続人の配偶者と甥姪しかいないケースで、「配偶者に相続財産の全てを譲る」という遺言状がある場合、甥姪は遺留分を主張することはできないので注意しましょう。

甥姪に相続が発生する時の注意点

甥姪に相続が発生する時の注意点

それでは最後に、甥姪に相続が発生するときの主な注意点を紹介します。

被相続人との関係を理解しておく

相続をするには、自分が被相続人に対してどのような関係にあたるのかをしっかり理解しておく必要があります。相続を受けられる関係だとわからなければ、知らないうちに相続が全て終わっているということにもなりかねません。血族でも普段関わりがなければ関係性が希薄になりがちです。もしものときのため、自分の近しい親族は把握しておきましょう。

甥姪は兄弟姉妹の代襲相続であることを理解しておく

甥姪が代襲相続で受け取るのは、本来の相続人であった兄弟姉妹の分です。例えば被相続人の兄の子1人、弟の子2人、計3人の甥姪がいるとすれば、兄の子は1人で兄の相続分を、弟の子は2人で弟の相続分を分けることになります。甥姪の相続する合計額を頭割りで均等にするわけではないため注意が必要です。

相続前に財産内容を確認しておく

もしほかの法定相続人が存命であっても、相続放棄をした場合は、放棄していない甥姪に相続権が発生します。ただし、相続放棄をする場合、財産の中に借金などいわゆる「負の遺産」と呼ばれるものが含まれる可能性も。相続権があるからといってすぐに相続するのではなく、財産の内容をしっかり確認した上で判断しましょう。

【まとめ】甥姪の相続に関して知識を深めもしものときに備えよう

今回紹介したとおり、甥姪に相続が発生するケースは十分あり得ます。相続は親族間であっても揉めやすいことなので、大きなトラブルに発展させないよう、しっかりした知識を身に付けておくことが大切です。また、もしトラブルになりそうなら法律のプロである弁護士に相談してみるのも1つの方法です。甥姪の相続に関する理解を深め、もしもの場合に備えておきましょう。

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