コラム
親の借金が辛い!子どもに返済義務があるのか徹底解説
2021.06.03
親の借金が辛い!子どもに返済義務があるのか徹底解説
こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。
親に借金があり、自分の所にも請求が来るのではないかと不安な人は多いです。また、親が亡くなった後は借金がどうなるのか知りたい人もいるでしょう。そのような人たちのために、親の借金の返済義務について詳しく解説します。返済しなくてはいけないケースや、返済を求められた時の対応方法などを紹介するので、是非参考にして下さい。
目次
子どもに親の借金の返済義務はあるの?
【親が健在の場合】子供に借金の返済義務はない
借金の保証人や連帯保証人でない限り、原則として子どもに親の借金の返済義務はありません。悪質な債権者の場合、子どもには親の扶養義務があると言って借金返済を迫ってくることもあり得ます。
本来借金の返済請求先は、債務者(この場合親)と保証人だけです。確かに子どもには経済的にゆとりがあれば親の援助をする義務がありますが、それを理由に返済を求めるのは違法と言えます。
【親が亡くなった場合】相続放棄をすれば返済義務をなくせる
悪質な取り立てに関しては貸金業法などでも禁止されているため、しつこい場合は弁護士や警察などに相談して下さい。また、借金を残したまま親が亡くなることもあるでしょう。
この場合は相続放棄をすることで、返済義務はなくなります。ただし、親の死後3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てする必要があるので注意して下さい。
親が亡くなった時は、何かと慌ただしく精神的にも辛いことが予想できますが、忘れないようにしましょう。
親の借金を返済しなければならないケースとは?
ではどのような場合、子どもに親の借金の返済義務が生じるのでしょうか。
親の借金の保証人や連帯保証人になっている場合
親が借金をする際に、保証人や連帯保証人になっていると子どもに返済義務が生じます。この場合は親の借金返済が滞ると、子どもに請求がいくことになります。
保証人は借金の請求が来た時に親に請求するよう債権者に言える権利がありますが、連帯保証人にはありません。保証人よりも連帯保証人の方が、責任が重くなると言えます。
また、中には勝手に保証人や連帯保証人にされていないか不安な人もいるでしょう。基本的に借入の契約の保証人になるためには、自筆の署名と押印、印鑑証明が必要になります。
契約時に本人がいない場合も電話確認が必ずあるため、無断で保証人にされる心配はほとんどありません。民間の金融機関からの借金の場合保証人などの情報は登録されていますので不安な方は調べてみましょう。
身に覚えのない請求は支払わない
例え親であっても、子どもの印鑑を使って無断で保証人にすることは認められておらず、無権代理行為にあたり契約は無効です。覚えのない保証人の情報が登録されていたら、借金返済の請求がきても絶対に支払わないようにして下さい。支払うと保証人であると認めたことになってしまいます。
亡くなった親の遺産を相続した場合
親の遺産を相続するというのは、プラスになるものだけでなくマイナスになるものも全て引き受けるということなのです。従って、借金の返済義務も負うことになります。
もし相続する人が複数いる場合は、法律に従い借金も分配します。この時、誰か1人で借金を背負うことになる場合もあるでしょう。例えば、兄が親の老後の面倒をみていたので弟が借金の全額返済を申し出るパターンです。
これは免責的債務引受と言い、債権者の同意が必要になります。債権者が同意しなければ、借金も兄弟で均等に分配になるので注意して下さい。
親が子ども名義で借金をしていた場合
親が子どもの代理人という形で借金をすることもあるでしょう。この場合、必要書類が揃っていて代理人として認められれば契約は成立し、借金の返済義務は子どもに生じます。
ただし保証人と同じように、親が無断で代理契約をすることは無権代理にあたり、裁判で契約を無効にすることが可能です。
借金返済を求められたらどうすればいいの?
すでに解説したような、親の借金を支払わなければならないケースに当てはまらないのに借金支払いを求められることもあるでしょう。この場合は以下のような対応をすることになります。
身に覚えのない場合はきっぱりと断る
最初に説明しましたが、返済義務がない人に借金の支払いを迫ることは違法です。きっぱりと断ることが重要となります。
それでも請求が続くならば、金融庁の貸金業相談・紛争解決センターや弁護士などに相談するようにして下さい。
借金の肩代わりをする
親が借金で苦労している姿を見ているのが辛いため、代わりに返済をしたいという人もいるでしょう。子どもが親の借金を代わりに支払うことは問題ありません。
しかし双方合意の上で、債権者の同意を得るようにして下さい。後々親から肩代わりした分を返してもらうこともできますが、現実的ではないでしょう。
相続の際に財産を優遇してもらうのがよくあるパターンですが、トラブルになりやすいので注意して下さい。他の相続人に説明をしておいたり、遺言書を作成したりして対応するのが良いでしょう。
【まとめ】子どもが親の借金の返済義務を心配することはない
原則として、親の借金の返済義務は子どもにはありません。支払いを求められたらきっぱりと断り、場合によっては専門家に相談して下さい。
しかし今回紹介したように、支払わなければならないケースもあります。もし返済が辛い場合は、やはり弁護士などに相談するのが良いでしょう。債務整理など借金の負担が軽くなる方法もあるので、早めの対応をおすすめします。
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