コラム

親の借金を相続放棄したら、一体どんなデメリットが?

2022.06.17

親の借金を相続放棄したら、一体どんなデメリットが?

親の借金を相続放棄したら、一体どんなデメリットが?

相続とは、亡くなった人の財産を特定の人が引き継ぐことをいいます。

財産というと、現金や土地家屋といったプラスのイメージのものを思い浮かべがちですが、実は亡くなった人の借金なども引き継ぐべき財産の一つになるのです。

相続にメリットがないと感じた場合は、相続をしないという選択肢もありますが、安易に行えば後々不利益を被るリスクもあります。

相続放棄のメリット、デメリットについて詳しく確認していきましょう。

相続放棄のデメリット

相続放棄のデメリット

相続放棄とは、亡くなった人の財産を一切相続しないことをいい、家庭裁判所に書面で申し立てることによって成立します。

親が亡くなったりしたことで財産を放棄しようとする場合は、メリットだけでなく次のようなデメリットがある点も押さえておく必要があります。

プラスの財産も相続できない

相続放棄をしたら、借金などのマイナス財産を引き継がなくてもよくなる一方で、土地家屋といったプラスの財産もすべて相続ができなくなります。

たとえば住んでいる自宅が亡くなった親の名義である場合、相続放棄をすることによってそこから退去しなくてはならなくなるケースも生じてくるのです。

また、通常は民法上の相続財産にあたらないとされる生命保険金なども、仮に亡くなった親本人を受取人に設定している場合には受け取ることができなくなってしまいます。

他の法定相続人とトラブルになる可能性がある

民法で定められた相続人を法定相続人といい、「子」「両親・祖父母」「兄弟」の順で相続の優先順位が決められています。

たとえば亡くなった人の子が親の借金の多さなどを理由に相続放棄をした場合には、次の順位の法定相続人に相続が回ってくることになるわけです。
そのため、事前に了承を得るなどして他の法定相続人の理解を得ておかなくては、後々親族の間で摩擦を生じることにもなりかねません。

親の借金で相続放棄をした方が良いケース

親の借金で相続放棄をした方が良いケース

親が残した借金の件で相続放棄をしたほうがよい場合には、次のようなケースがあります。

プラスの財産よりマイナスの財産が多い

亡くなった親が所有するプラスの財産の総額より、借金などマイナスの財産の額のほうが明らかに大きい場合は、相続放棄をするメリットがあるといえるでしょう。

他の相続人と関わりたくない

他の法定相続人と折り合いが悪く、相続問題でのいざこざに巻き込まれたくないという場合にも相続放棄を検討する価値があるでしょう。

たとえば親に借金はあるものの、プラス資産もかなり見込まれることで、仲の良くない他の相続人と財産の分割協議などを進めなくてはならないといった場合、得られる財産を放棄しても関わりを絶ちたいという思いが強ければ相続放棄のメリットは大きいといえます。

相続放棄の注意点

相続放棄の注意点

相続放棄の期限は原則3ヶ月以内

相続放棄を行うには、家庭裁判所への申し立てが必要になります。申し立てには、亡くなった親の戸籍謄本や、住民票または戸籍の附表とともに、相続を放棄しようとする人の戸籍謄本と相続放棄申述書などといった各種の書類の提出が求められます。

相続放棄ができる期限は原則として3ヶ月以内ですので、この期間内にすべての書類を準備する必要がありますが、戸籍謄本などの取り寄せには時間を要することもあるため、早めに行動を起こさなくてはなりません。

なお、3ヶ月という期間は親が亡くなった日を起点とするのではなく、親が亡くなったことを知った日の翌日からの起算となりますので、その点に注意が必要です。

相続放棄を一度するとやり直しがきかない

相続放棄は、いったんこの手続きを完了させるとその後は撤回することができません。

たとえ相続放棄した後にまとまったプラスの資産の存在が分かったというような場合でも、相続の権利を復活させることはできませんので、相続放棄をする場合は、亡くなった親にどのくらい財産があるのかを事前にしっかりと調査しておくことが大切です。

相続放棄が認められない場合もある

相続放棄が認められない場合

家庭裁判所への申し立て期限となる3ヶ月を過ぎた場合は相続放棄は認められなくなりますが、これ以外にも相続放棄が認められなくなるケースがあります。

相続財産に手を付けてしまったケース

その一つが3ヶ月の期限中に相続財産に手を付けてしまったような場合です。相続財産に一部でも手を付ければ財産を引き継ぐことを認めたことになり、その時点で相続放棄は無効になってしまいます。

とはいえ、どの程度の関与が手を付けたことにあたるのかについては解釈が難しく、一概に線引きをすることはできません。

たとえば、亡くなった親の預金口座からお金を引き出して、親の葬儀代にあてる場合や、親の借金の返済にあてる場合などは、財産に手を付けたとはみなされないケースもあります。

一方で、高額な財産を形見として持ち帰った場合や高額な墓石を購入して建てた場合などでは手を付けたと解釈されたケースもみられます。判断が難しい場合は、法律のプロである弁護士などに見解を委ねるといった必要も出てくるでしょう。

なくなった親の保証人になっているケース

相続放棄が認められないもう一つのケースとして、亡くなった親の保証人としての立場は放棄できないということがあります。

亡くなった親が借金をしていて自分がその保証人になっているという場合、保証債務は親の借金とは別物の契約となるため、たとえ相続を放棄したとしても、返済義務は残ってしまいます。

ただし自分の知らないうちに親が勝手に連帯保証人にしていた、というような場合では「無権代理」といって連帯保証自体を無効とし返済義務を免れるといったケースもありますが、この対応にも弁護士などの高度な専門知識が不可欠になってきます。

相続放棄、悩んだら法律のプロである弁護士に相談を

相続するデメリットがメリットを上回った場合には相続放棄という選択肢があります。

しかし相続放棄は、3ヶ月という限られた期間で必要書類を揃えて家庭裁判所へ申し立てることが求められ、一人では手続きも非常に煩雑です。

しかも一度相続放棄をすれば原則やり直しがきかず、不測の事態には対処できません。
取り返しのつかない事態に陥らないためにも、法律のプロである弁護士になるべく早く相談してみてはいかがでしょうか。

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