コラム

相続放棄受理通知書・相続放棄受理証明書・相続分譲渡証明書|各書類の違いとは?

2021.08.06

相続放棄受理通知書・相続放棄受理証明書・相続分譲渡証明書|各書類の違いとは?

こんにちは。船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村亮です。今回のコラムでは、相続放棄に関わる書類について説明いたします。それぞれ似たような名前ですが、役割が少し異なります。

相続放棄受理通知書

相続放棄受理通知書

相続放棄受理通知書は、家庭裁判所へ実際に相続放棄の申し出がなされて、適法に受け付けられたことを証明する書類になります。家庭裁判所へ相続放棄の申述の書類を提出すると、家庭裁判所でその申述が正しいものかどうか審査をします。具体的には、被相続人の方が実際に亡くなられているのか、申述した方が相続人の資格があるかどうか亡くなられてから3か月以内の期間が守られているか、を審査します。

しかし、遺産を処分するなど相続放棄を阻害する事情があったとしても、家庭裁判所は提出された書類のみを審査するため、相続放棄の申述は受理されます。もっとも、受理されたからといって、相続放棄が確定するわけではありません。相続放棄の申述が受理されたとしても、債権者の側が調査をして遺産の処分が判明をすれば、貸金返還請求訴訟を提起することになります。この訴訟で相続放棄を主張したとしても、貸金返還請求訴訟を審理する裁判所が、遺産の処分を認定すれば相続放棄は無効となってしまい、借金の返済義務を免れなくなります。

つまり、相続放棄受理通知書は、単に相続の申述を家庭裁判所が受理した事実を証明するだけになります。もっとも、家庭裁判所に受理された相続放棄の申述があとになって無効と判断されることは滅多にありません。そのため、ほとんどの債権者は、相続放棄受理通知書のコピーを提出すれば、相続人に貸金の請求をすることはありません。相続放棄受理通知書は1回だけしか発行されないので、債権者に提出する際には、コピーを提出しましょう。

相続放棄受理証明書

相続放棄受理証明書

相続放棄受理証明書は、相続放棄の申述が受理されたのち、何度でも発行できる証明書になります。相続放棄受理通知書は1回しか発行されないので、相続放棄の申述が受理された時点においてのみ、受理された事実のみを証明します。

これに対して、相続放棄受理証明書は証明書を申請した時点で相続放棄の申述が無効になっていないことを証明することができます。つまり、相続放棄申述が受理されてから申請時点までの間、債権者から無効を主張されることなく、相続放棄の効力が残っていることが証明されます。そのため、遺産分割協議の場面では、協議の時点で相続人が誰であるかを確定する必要があるため、相続放棄をして相続人でなくなったことを証明するためには相続放棄受理証明書が必要となります。

具体的には、銀行預金の払い戻しや不動産登記の名義を被相続人から相続人の誰かに移転する場合には、相続放棄受理証明書の提出が必須です。

相続放棄受理証明書は申請するたびに発行されるので、提出する際には原本が必要となります。また、申請できる人は相続放棄をした本人だけでなく、相続放棄をしなかった相続人や相続放棄後に新たなに相続人になった人(次順位相続人)が申請できます。

相続分譲渡証明書

相続分譲渡証明書

「相続放棄受理通知書」と「相続放棄受理証明書」とは異なり、相続放棄をしないで、相続分を譲渡したことを証明する書類のことを相続分譲渡証明書といいます。これは、相続放棄をしないのですが、自分の法定相続分の全部を他の相続人に譲渡した際に譲渡した人が発行します。

なので、相続分譲渡証明書は、家庭裁判所が発行するものではなく、相続人自らが作成するものになります。通常は、相続分譲渡証明書に実印を押印して印鑑登録証明書をセットにして、他の相続人に交付することが多いです。メリットとしては、相続放棄受理通知書、相続放棄受理証明書と異なり、家庭裁判所への申請が不要で、すぐにでも作成ができることです。

ただ、デメリットもあります。それは自らの相続分を他の相続人に譲渡しても、被相続人が背負っている借金の返済義務を免れるわけではないことです。

そのため、相続分譲渡証明書を作成するときは、被相続人に借金がないことが分かっている場合に限られます。また、相続分譲渡証明書の交付と引き換えに一定の金銭を取得することが多いです。こうすること、時間のかかる遺産分割協議から早く解放されて、かつ、一定額の金銭を確保できるというメリットがあります。そこで、多額の遺産はいらないが、最低限必要な金銭を確保したい相続人にとっては、相続分譲渡証明書が有用でしょう。

まとめ

このように、相続放棄にまつわる証明書は似ていますが、すこしずつ、使用する場面が異なります。とりあえず、債権者からの催促を免れたいときは、相続放棄受理通知書のコピーを提出すればよいでしょう。

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