コラム

不公平な遺言書を無効にしたい時の対処法について

2022.02.19

不公平な遺言書を無効にしたい時の対処法について

不公平な遺言書を無効にしたい時の対処法について

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

遺言書は効力が強く、法定相続人が持つ権利よりも優先されるのが普通です。一方で不公平な内容からトラブルが生じることも珍しくありません。遺言書の内容を変更するのは容易ではありませんが、条件に当てはまれば無効扱いにすることが可能です。

ここでは遺言書が無効になる理由や相続に関するトラブルへの対処法についてお伝えします。

遺言書が無効になるパターン

遺言書が無効になるパターン

作成に不備がある場合

遺言書の作成は法律で定められたルールがあり、そのルールに沿わないと無効になってしまいます。

被相続人が自分で作る自筆証書遺言は署名や捺印がない作成日が記載されていないなどの理由で無効になるパターンが少なくありません。

また、内容があいまいで文面だけでは判断できない遺言書も効力がありません。「財産を託す」「今後のことを任せる」などの抽象的な表現は誰に対して何を相続させるか分からないので無効です。

誤った記載部分の訂正方法が法律で定められたルールとは異なる場合や二人以上で作成した共同遺言も無効になります。

被相続人の意思能力がないと判断された場合

被相続人が認知症などの理由で物事を正常に判断できない場合、作成された遺言書は無効になります。

被相続人に意思能力がなく、遺言書の内容が本人の意思と合致しているか確認できないためです。

一方で遺言書を作成した時に意思能力がない状態だったことを証明しなければいけないので、通院記録など客観的な証拠が必要になります。

相続人全員の合意が得られた場合

法律で定められたルールに沿って作成された、被相続人の意思を正確に記している遺言書でも無効扱いにすることは可能です。

相続人全員が遺言書を無効にしたいと考え、一人も漏らさずに合意するのが条件なので難しいと言えますが、相続人全員が納得した結果でもあるので決定後のトラブルは起きにくいのも事実です。

当事者だけで解決できない場合は訴訟を提起する

当事者だけで解決できない場合は訴訟を提起する

被相続人の意思能力が正常な時に正しい方法で作成された遺言書を無効にするためには相続人全員の同意を得なければいけません。

しかし、不公平な内容の遺言書は自分以外の誰かが得をする内容でもあるため、相続人全員が遺言書を無効にしたいと考える可能性は決して高くありません。

基本的には話し合いで遺言書を無効にすることが決まりますが、必ずしも話し合いがスムーズに進むとは限らないのも事実です。

不公平な内容のおかげで得をする人が遺言書の無効に同意する可能性は低いのです。このような場合は遺言無効確認の訴訟の提起を行うことになります。

遺言書を無効にしたい相続人が原告、無効に同意しない相続人が被告になる裁判です。裁判所の判決によって遺言書の扱いがはっきりと決まることから、もっとも確実な方法とも言えます。

しかし、訴訟になると相続人同士の関係が悪くなったり長い時間がかかる可能性もあります。生活への影響も少なくないため、訴訟の申し立ては慎重に判断しなければいけません。

遺留分は請求をすれば最低限相続が可能

遺留分は請求をすれば最低限相続が可能

遺言書は法定相続人よりも優先されるため、「全財産を長男に相続させる」など極端に不公平な内容でも原則、その通りに行われます。

しかし、法律では相続において遺言でも奪うことができない一定割合の留保分が定められています。この留保分が遺留分であり、遺言書を無効にしたいと考えても他の相続人が同意しなかった場合、最低限の取り分として請求することが可能です。

遺留分は法定相続で定められた割合のさらに半分として計算されるので、配偶者の場合は法定相続の2分の1のさらに半分で4分の1です。子供も配偶者と同様に遺留分は4分の1ですが、人数で割るので取り分は配偶者よりも少なくなることがあります。また、被相続人の兄弟には遺留分が存在しません。

遺留分は自動的には相続できません。遺留分を得るには対象者が遺留分侵害額請求権を行使する必要があります。

本来なら相続できるはずの財産のうち、最低限の権利である遺留分を相続者から返してもらうための請求です。必ずしも裁判を行う必要はなく、請求権を行使するだけで足りますが、本当に請求権を行使したと証明するために内容証明郵便で行うのが普通です。

遺留分侵害額請求権は遺留分が侵害されていることを知ってから1年間行使しない、あるいは相続開始から10年経過した場合に時効が成立します。

その後になってからは遺留分の請求ができなくなるので、遺言書の内容に納得できない場合は速やかに遺留分侵害額請求権を行使するのが賢明な対処法です。

遺言書を無効にできることや遺留分の請求が可能なことを正しく把握することが大切

遺言書は効力が強いため、どのような内容でも絶対に行使されるイメージがあります。法定相続人の権利よりも優先されるのは事実ですが、遺言書の作成に不備があったり相続人全員が同意すれば無効にすることが可能です。

また、相続の割合が不公平でも最低限の権利である遺留分が請求できます。相続に関するトラブルを避けるためにも正しい知識を持ち、状況に応じて正しく対処することが重要です。

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