破産と異なり、債務全額が免責とはなりませんが、概ね2割程度までに圧縮でき、経済的な再建が可能となります。住宅ローン等で購入した持ち家を処分しなくていいのが、破産と異なる最大のメリットです。
個人再生手続は、(1)小規模個人再生手続と(2)給与所得者等再生手続があります。(1)は半数の債権者の同意が必要なのに対して、(2)は債権者の同意がいらないので、給与所得者は(2)の手続きを選ぶのがいいでしょう。
(1)小規模個人再生手続
①利用条件
ア 原則、3年程度、返済を継続できるだけの安定的な収入が見込めること。
イ 借金の額が5000万円以下であること(住宅ローン除く)
ウ 破産の申し立てをしていないこと
②効果
債権額が500万円から1500万円 概ね債権額が8割減額
債権額が1500万円から5000万円 概ね債権額が9割減額
※債権額が100万円以下だと減額の効果があまりない。
③手続の流れ(主に千葉地方裁判所)
ア 個人再生申立
イ 裁判所での面談(申立から1週間)
ウ 債権者からの届け出期間(申立から1か月)
エ 債務者の財産目録、報告書の提出(申立から6週以内)
オ 再生計画(返済の計画)案の提出(申立から13週)
カ 上記オに対する債権者からの回答(申立から16週)
キ 再生計画の認可、不認可の決定(申立から17週)
→再生計画が認可されると計画案どおりに債権額が減額され、計画案で定めた返済期間(通常3年以内)で弁済することになる。
④再生計画(返済の計画案)の認可の条件
再生計画に同意しない(ア)債権者が債権者総数の半数以下で、かつ、(イ)同意しない債権者の債権額の合計が債権総額の半額以下で、あれば、再生計画が可決したとみなされ、原則として裁判所がこれを認可する。
(2)給与所得者等再生手続
①利用条件
ア 債務者が給与やこれに類する定期的でかつ金額の変動が少ない収入を得ていること
イ 借金の額が5000万円以下であること(住宅ローン除く)
ウ 破産の申し立てをしていないこと
②効果
債権額が500万円から1500万円 概ね債権額が8割減額
債権額が1500万円から5000万円 概ね債権額が9割減額
※債権額が100万円以下だと減額の効果があまりない。
③手続の流れ(主に千葉地方裁判所)
ア 個人再生申立
イ 裁判所での面談(申立から1週間)
ウ 債権者からの届け出期間(申立から1か月)
エ 債務者の財産目録、報告書の提出(申立から6週以内)
オ 再生計画(返済の計画)案の提出(申立から13週)
カ 再生計画の認可、不認可の決定(申立から17週)
④再生計画(返済の計画案)が認可される条件
個人再生手続と異なり、債権者の同意なく裁判所で認可できる。不認可になるのは、再生計画が法律の規定に違反する場合や債務者が手続の途中で失業して給与がもらえなくなった場合など、例外的な場合に限られる。
(3)弁護士へ依頼するメリット
ア 複雑な手続をすべて任せられる
個人再生は破産以上に複雑です。特に再生計画(返済の計画案)が法律に違反しないで裁判所に認可されるためには、弁護士によるサポートが不可欠です。
イ 弁護士に依頼しなくても費用負担が重い
千葉地方裁判所の運用では、弁護士に依頼しないで再生手続を申し立てるには、裁判所が選任する個人再生委員が不可欠です。
この個人再生委員の報酬で20万円の予納金を裁判所へ納める必要があります。
しかし、弁護士へ依頼すれば、個人再生委員が選任されないことの方が多いです。しかも個人再生委員は再生計画案を作ってくれるわけではありません。
つまり、弁護士へ依頼しなくても最低20万円の実費がかかったうえに自分で再生計画案を作る必要があるので、弁護士へ依頼して計画案の作成も含めて全て任せられる方がメリットが大きいです。