事例
現在、夫と小学生の子ども2人と4人で暮らしています。しかし、夫がなかなか貯金をせず、自分の趣味ばかりにお金を使います。私とすれば、このような夫のために家事を毎日やって、一つ屋根の下で顔を突き合わせるのが馬鹿らしくなってきました。
将来の子どものためにも、離婚して自分で稼いで暮らして行きたいと思います。ただ、夫は離婚に反対すると思います。なので、来週にでも別居して、離婚調停を申し立てたいのですが、夫が反対しても裁判で離婚が認められるには、別居の期間が必要だと聞きました。だいたい、どれくらいの期間が必要でしょうか?
解説
「いつまで、別居を続ければ離婚できるか?」
弊事務所でも、よく、聴かれる質問です。国によっては、裁判所で別居の宣言をしてから2年経つと、自動的に離婚が成立する法律になっていることもあります。ただ、日本の法律では、別居年数によって自動的に離婚をすることはありません。
日本では、別居年数という形式判断ではなく、夫婦関係が破綻して修復の見込みがなくなったと裁判所が判断すれば離婚の判決を認めることになります。その典型事例が、不貞行為とDVです。なので、相手の配偶者が不貞行為を長期間、継続して配偶者を顧みなかったり、度重なるDVに耐えかねて逃げるように別居した場合には、別居の期間が短くても、離婚が認められることになります。
不貞行為やDVのような分かりやすい離婚原因がない場合には、別居の年数が離婚を認めるかどうかの重要なポイントになります。事例のような金銭感覚のズレは、離婚原因と主張されることは多いですが、それだけと離婚がすぐに認められにくいでしょう。
具体的に何年程度の別居で離婚できるかというと、ケースバイケースであり、概ね以下の事情が考慮されています。
- ・別居前の同居期間
- 同居期間が長いほど、離婚が認められにくくなります。同居期間の半分くらいは別居しないと離婚できないという方もいらっしゃいますが、そのような機械的な判断で決まるわけではありません。
- ・未成年の子の有無、当該子どもの年齢
- 未成年の子がいなければ、離婚で悪影響を受ける人がいないので、短い別居期間でも認められやすくなります。離婚の影響を受けやすくなってくる、6,7歳から中学生前後の子がいる場合には、どちらかといえば、認められにくくなります。
- ・これまでの離婚交渉の状況
- 離婚訴訟まで発展してしまうと、訴訟を提起されたという事実自体が、婚姻関係の修復の困難さを物語ることになります。離婚訴訟が提起されれば一審が終わるまでで1年から1年半かかり、控訴、上告となれば、更に、1年近くかかります。
そうすると、調停時点から遡るとかなりの数年の別居年数になっているので、仮に一審判決で離婚が認められなくても、控訴審で認められることもあり得ます。