コラム

成年後見人を変更したい!認められる条件と対処法について

2022.05.06

成年後見人を変更したい!認められる条件と対処法について

成年後見人を変更したい!認められる条件と対処法について

成年後見人は裁判所が選任しますが、必ずしも親族の方が満足できる後見人ばかりとは限りません。

何らかの理由があって成年後見人を変更したい時、どういった状況ならば認められやすいのでしょうか。

こちらでは、成年後見人の変更が認められやすい事例や変更が認められないときの対処法、変更するための手続きなどについて見ていきます。

成年後見人の変更が認められやすい条件

成年後見人の変更が認められやすい条件

成年後見人は、一度選任されると辞任や解任をすることは容易ではありません。

しかし、やむを得ないと裁判所が認めるような事情があれば、変更が認められることもあります。以下に成年後見人を変更したいという請求が認められやすい事例を見ていきましょう。

不正な行為

成年後見人は被後見人の財産を管理する義務がありますが、使い込みなどの不正な行為を行った場合には、監督人や本人、親族、検察官の請求もしくは職権により、その後見人を解任することができます。

ただし、裁判所が直接調査を行うわけではなく、提出された資料から判断をしますので、裁判所に認めてもらうためには不正な行為を証明するための証拠集めが重要です。

後見業務の継続が困難な場合(遠方への引っ越しや病気など)

成年後見人は、基本的に被後見人が亡くなってから事後処理を終えるまで継続して業務を行います。

しかし、後見業務を継続しがたい事情が発生した場合には、後見人や本人、親族などからの請求が認められることがあります。

代表的な事例としては、後見人や被後見人が引っ越して遠距離になった場合です。また、後見人が高齢になったり認知症などの病気になってしまったりした場合は業務の遂行が難しくなるため、変更を認められやすくなります。

ただし、これらの事情を鑑みても問題なく業務が遂行できると裁判所が判断した場合には、変更が認められないケースもありますので、注意が必要です。

成年後見人の変更が認められない時の対処法は?

成年後見人の変更が認められない時の対処法は?

後見人の変更もやむなしと判断される事情はないものの、現在の成年後見人に任せるのは不安だと感じている場合には、いくつか対処法があります。

後見人の追加選任

通常、後見人は一人だけ選任することがほとんどですが、時には業務内容を分担して複数の後見人を指名することがあります。

例えば、被後見人に対する対応が不満という場合には身上監護の後見人を選任してもらう、財産管理が不適切ではないかと疑っている場合には財産管理の後見人を選任してもらうなど、追加選任の申立をすることで現状を改善することが可能です。

裁判所に後見人の指導を申し立てる(監督処分)

後見人は裁判所に業務の報告をする義務がありますが、親族に対しては連絡を取らないこともあります。

あるいは、親族が業務について問い合わせをしても納得できる回答が得られないことがあります。そういった場合には、裁判所に監督処分の申立をすることが可能です。

この申立書で後見人がどのような対応をしたのか詳細に説明をすることにより、裁判所は業務状況の調査を行い、内容に応じた注意、指導をします。裁判所からの指導があれば、状況が改善する可能性は高いでしょう。

トラブルを裁判所に直談判する(許可の審判)

後見人は被後見人の財産を守るため、必要性を感じない支出にはシビアな対応を取りがちです。

そのため、被後見人が楽しみにしているイベントに関する支出やお世話になっている人への謝礼、趣味や嗜好のための品物の購入など、被後見人の精神的な安定や幸福感につながり、支出が少ないものも禁止されることがあります。

そんな時には、後見人ではなく直接裁判所に許可の審判を申し立てて、直談判をすることが可能です。裁判所が認めれば後見人が動くことも多いため、話が進まないときに利用してみましょう。

後見人を変更するための解任手続き

後見人を変更するための解任手続き

後見人を変更したいときは、裁判所に申立書を提出しなければなりません。以下に申し立ての手順を見ていきましょう。

解任したい理由をまとめる

まずは裁判所が納得するだけの解任したい理由を提示する必要があります。身上監護や財産管理を著しく怠っている、不正な行為をしている、命令違反や被後見人に対する虐待などが見られる等、後見人を変更したい理由を具体的にまとめ、それらを証明する証拠類を集めておきましょう。

解任申立書を作成する

次に、解任申立書を作成します。後見開始の申立とは異なり、解任の申立書は書式が裁判所にありませんので、自身で作成しなければなりません。ただし、文例等は裁判所でコピーをもらえる場合がありますし、ネット上で探すことも可能です。
申立ができるのは後見監督人、被後見人、六親等内の血族、被後見人の配偶者、三親等内の姻族、検察官です。

家庭裁判所で解任申し立てを行う

書類の準備ができたら、申立書に証拠書類を添えて、800円の収入印紙と裁判所が指定する金額の郵便切手と共に提出します。提出先は成年被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

申立書が受理されたのち、裁判所から成年被後見人等に事情聴取を行います。その後、裁判所で解任相当の事由があると判断された場合には解任の審判が出されますし、解任の必要性がないと判断されたときは却下扱いになります。

解任になった場合には、すぐに新たな後見人の選任の申立を行わなければなりません。解任申立と並行して手続きを進めた方が良いでしょう。

理由によって対処法が変わってくる

このように、後見人の変更は簡単にできるものではありませんが、あまりにも目に余るような業務状態や、実際に継続が困難な場合には変更が可能ですし、現状では変更が難しくても状況を改善する方法はいくつもあります。

理由によって対処法が変わってくるので、自分が変更したい理由がどれに当てはまるか考えて行動しましょう。

とはいえ、裁判所の手続きは難解なものも多いですし、必要書類の準備も大変です。弁護士などの専門家に手続きを依頼したほうがスムーズに進められるのでおすすめです。

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