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​​成年後見人の解除は可能?解任が認められる事由や手続き方法を解説

2024.03.06

​​成年後見人の解除は可能?解任が認められる事由や手続き方法を解説

成年後見人の解除は可能?解任が認められる事由や手続き方法を解説

「成年後見人の解除は可能?」「解任が認められるためにはどうすればいい?」などと悩んでいませんか?

成年後見人は、被後見人の判断能力が回復しない限り、原則として解除することはできません。これは、被後見人の利益を保護するためです。

しかし、後見人が任務に適さないなど、特定の条件下では家庭裁判所は後見人を解任することができます。

本記事では、成年後見人の解任が認められる条件や変更に必要な手続き方法を詳しく解説します。解任が認められない場合の対処法についてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

成年後見人は原則解除できないが解任はできる

成年後見人の解除は、一般的には認められていません。なぜなら、成年後見制度は主に判断能力が低下した人の保護を目的としているためです。

しかし、特定の条件下では成年後見人の解任が可能です。解任とは成年後見人が職務を適切に果たしていない場合や、法的な要件を満たす特定の状況下で行われます。

成年後見人の解任が認められる3つの事由

成年後見人のイメージ

成年後見人の解任は以下の条件下であれば認められる可能性があります。

  • 財産管理における不正行為
  • 著しい不行跡
  • 後見の任務に適しない事由

それぞれ詳しく解説します。

財産管理における不正行為

成年後見人の解任事由の1つが、財産管理における不正行為です。成年後見人が被後見人の財産を私的に利用したり、不正に管理したりする行為を指します。

たとえば、被後見人の財産を個人的な利益のために使用するなどが含まれます。被後見人の財産を後見人が自分のために使ってしまえば、被後見人の利益を損なうものです。成年後見人としての信頼性を大きく損ねるものと判断されるため、解任が認められる可能性があります。

著しい不行跡

著しい不行跡も成年後見人の解任事由の1つです。成年後見人の品行や行動が極めて不適切で、被後見人の福祉に悪影響を及ぼす行為を指します。

たとえば、成年後見人が犯罪行為に関与している、または被後見人に対して不適切な行動を取るなどが該当します。成年後見人としての職務遂行能力に重大な疑問を投げかけるものである場合、解任が認められる可能性が高いです。

後見の任務に適しない事由

後見の任務に適しない事由も、成年後見人の解任を正当化する重要な理由です。たとえば、健康上の問題や職務に対する理解不足など、成年後見人が職務を適切に遂行できない状況が該当します。

他にも、成年後見人が被後見人の利益に反する行動を取る場合も後見の任務に適しません。被後見人の保護と福祉を最優先に考える必要があるため、成年後見人の解任が検討されることがあります。

成年後見人解任の申立てができる人

成年後見人の解任を申し立てることができるのは、以下の限られた方のみです。

  • 被後見人自身
  • 被後見人の親族
  • 後見監督人
  • 検察官

被後見人に不利益が発生している場合、申立てを行うことが多いです。状況に応じて、誰が申立てを行うべきか決めましょう。

成年後見人の解任・変更手続き方法

成年後見人の解任や変更を行うためには、特定の手続きを正確に行う必要があります。手順をまとめると以下のとおりです。

  1. 解任の申立て書の作成
  2. 必要書類の準備と添付
  3. 申立て書と書類の提出

最初に、解任を求める理由を明確に記載した申立て書を作成し、必要な書類の添付が必要です。必要書類には住民票や戸籍謄本だけでなく、被後見人の状況を示す医療証明書や成年後見人の行動に関する証拠資料も含まれます。

申立て書と添付書類は、被後見人の居住地を管轄する家庭裁判所に提出され、裁判所は提出された資料を基に解任の可否を判断します。成年後見人の解任・変更手続きは複雑なため、専門家に依頼することも検討しましょう。

成年後見人の解任・変更が認められなかった場合の対処法

成年後見人の業務イメージ

成年後見人の解任や変更の申し立てをしても、認められない場合があります。もし認められなかった場合は、以下の対処法を実施してみましょう。

  • 後見人の追加選任を行う
  • 監督処分の申立てをする

それぞれ詳しく解説します。

後見人の追加選任を行う

成年後見人の解任や変更が認められない場合、被後見人の保護と福祉を確保するため、後見人の追加選任は有効な手段です。追加選任は新たな後見人が現在の後見人と一緒に、または独立して被後見人の支援を行います。

主に、現在の後見人の負担が大きい場合や被後見人の状況が変化し、追加の支援が必要となった場合に適用されることが多いです。新たに追加された後見人は、被後見人の利益を最大限に守るために補完的な役割を果たすことが期待されます。

監督処分の申立てをする

成年後見人の行動に問題があると感じる場合、監督処分の申立てを行えます。監督処分の申立ては、成年後見人が職務を適切に果たしていないという事実を、家庭裁判所に正式に伝えるための手段です

申立てが通ると、裁判所は成年後見人の行動を監視し、必要に応じて適切な措置を講じることが可能になります。最終的には、成年後見人が被後見人の利益に反する行動を取ることを防ぎ、被後見人の保護を強化できます。

まとめ

成年後見人の解除は、一般的には認められていません。なぜなら、成年後見制度は主に判断能力が低下した人の保護を目的としているためです。

しかし、後見人が任務に適さないなど、特定の条件下では家庭裁判所は後見人を解任することができます。成年後見人の解任や変更の申し立てをしても、認められない場合もあります。成年後見人の解任や変更が認められない場合、被後見人の保護と福祉を確保するため、後見人の追加選任もしくは、監督処分の申立てを行えます。

解任申立てを行う際には、証拠資料を収集し、具体的な解任理由を明確に主張することが重要です。

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