コラム

家族信託と成年後見の違いとは?メリット・デメリットと選び方を解説

2024.02.15

家族信託と成年後見の違いとは?メリット・デメリットと選び方を解説

家族信託と成年後見の違いとは?メリット・デメリットと選び方を解説

「家族信託と成年後見制度、どちらを選べばいいの?」「それぞれの手続き方法や違いは何?」などと悩んでいませんか?

家族信託と成年後見制度は、それぞれ異なる状況やニーズに応じた財産管理の手段です。家族信託は柔軟な財産管理を可能にし、成年後見制度は裁判所の監督のもとでの財産保護に重点を置いています。

本記事では、家族信託と成年後見制度のメリット・デメリット、手続き方法の違いを詳しく解説します。制度の違いを理解して個々の状況に合わせた適切な手続きを進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

家族信託と成年後見制度の違いと目的は?

考える女性の写真

家族信託と成年後見制度は、高齢者や判断能力が低下した人の財産管理に関する異なる法的手段です。それぞれ特徴が異なるため、違いを理解してから選ぶことが大切です。

家族信託とは?

家族信託は財産所有者が自分の財産を信頼できる家族や親族に託し、管理や運用を任せる制度です。家族信託は財産所有者が生きている間、または亡くなった後も指定した受託者が財産を管理します。

主に財産の凍結リスクを避け、相続計画の一環として利用されます。また、財産所有者の意向に基づいて柔軟に財産管理を行える点が特徴です。

家族信託の目的は、財産の管理・運用・処分を託すことです。

成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症や精神障害などで判断能力が不十分な人を保護するための制度です。成年後見制度は家庭裁判所が後見人を選任し、被後見人の財産管理や日常生活のサポートを行います。

後見人は被後見人の財産を保全し、得た利益を守る役割を担います。法定後見制度は被後見人の権利と財産を保護することに重点を置いているため、財産の安全管理が主な目的です。

家族信託のメリットとデメリット

ここでは、家族信託のメリットとデメリットについてまとめます。

メリット

家族信託のメリットは以下のとおりです。

  • 生前からの財産管理が可能
  • 認知症対策になる
  • 財産の凍結リスクを回避できる

生前からの財産管理ができる点は家族信託の大きなメリットです。財産管理を行えるようになれば、財産所有者は自分の財産を信頼できる家族に託し、管理や運用を任せられます。

また、認知症などで判断能力が低下した場合にも、事前に設定された信託によって財産の適切な管理が保証されます。さらに、家族信託は相続税対策としても有効で、財産の承継をスムーズに行うことが可能です。

デメリット

家族信託のデメリットは以下のとおりです。

  • 信託契約の作成が複雑
  • 信託財産の処分が制限される
  • 受託者の負担が大きい

信託契約の作成が複雑である点は、大きなデメリットです。適切な契約を結ぶためには法律の専門家の助けが必要になることが多く、手続きが煩雑になります。

また、信託財産の処分には制限が伴うため、柔軟な資産運用が難しくなることも多いです。受託者には財産管理の重大な責任が伴い、負担が大きくなることも家族信託のデメリットとして考慮する必要があります。

成年後見制度のメリットとデメリット

次に、成年後見制度のメリットとデメリットについてまとめます。

メリット

成年後見制度のメリットは以下のとおりです。

  • 費用や手続きが明確
  • 本人の意思を尊重した財産管理が可能
  • 受託者の不正行為が防止される

成年後見制度は公的な制度であるため、費用や手続きが比較的明確です。被後見人や家族は、制度の利用に関する手続きや費用について安心して計画を立てられます。

また、本人の意思を尊重した財産管理ができて裁判所の監督下にあるため、受託者の不正行為が防止されることも大きな利点です。結果として、被後見人の財産と権利は適切に保護されます。

デメリット

成年後見制度のデメリットは以下のとおりです。

  • 家庭裁判所の審判が必要
  • 成年後見人への報酬がかかる
  • 積極的な資産運用や相続税対策が難しい

成年後見制度は、家庭裁判所の審判が必要な点が1つのデメリットです。裁判所の審判を受けるためには複数の手続きを済ませる必要があり、時間と労力がかかります。

また、成年後見人への報酬が発生するため、長期にわたると費用が膨大になる可能性が高いです。さらに、積極的な資産運用や相続税対策が難しく、被後見人の財産の最適な運用に制限が生じる点もデメリットと言えます。

家族信託・成年後見制度の選び方のポイント

弁護士が人差し指を立てて合図を送る写真

家族信託と成年後見制度は、それぞれ異なる状況やニーズに応じて適切に選択されるべきです。選び方のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 判断能力が低下した人の状況
  • 家族の希望

それぞれ詳しく解説します。

判断能力が低下した人の状況

判断能力が低下した人の状況を考慮する際、財産の種類や量、管理の複雑さを評価することが重要です。家族信託は財産所有者がまだ判断能力を保持している場合に最適で、財産管理を特定の家族に任せたい場合に有効です。

一方、成年後見制度はすでに判断能力が著しく低下している場合、財産管理に専門的なサポートが必要な場合に適しています。そのため、財産所有者の判断能力をみて、適正かどうかを見極めましょう。

家族の希望

家族の希望やニーズも、家族信託と成年後見制度の選択において重要な要素です。家族が財産管理に積極的に関与したい場合や特定の家族に財産を承継させたい場合、家族信託が適しています

一方で、家族が財産管理の責任を負いたくない場合や専門家による管理を望む場合は、成年後見制度が適切な選択です。家族の意向と状況を総合的に考慮し、最適な制度を選択しましょう。

家族信託・成年後見制度の手続き方法の違い

家族信託と成年後見制度はどちらも財産管理に適した手法ですが、それぞれ手続き方法が異なるため注意しましょう。ここでは、それぞれの手続きの違いについて解説します。

家族信託の手続き方法

家族信託の具体的手続き方法は以下のとおりです。

  1. 信託を設定するための初期計画を立てる
  2. 状況に応じて弁護士や司法書士に相談する
  3. 信託の条件や受託者の権限が明記された信託契約書を作成
  4. 信託契約書を公正証書として作成して公証人の認証を受ける
  5. 信託財産を正式に受託者に移転する

家族信託の手続きは、まず信託の目的と管理される財産の種類を決定し、信託契約書を作成します。過程の中で法律の専門家の助けを借り、契約書を公正証書として作成することも多いです。

その後、信託財産を正式に受託者に移転し、不動産の場合は登記変更などの手続きが必要になります。

成年後見制度の手続き方法

成年後見制度の具体的手続き方法は以下のとおりです。

  1. 家庭裁判所に後見開始の申立てを行う
  2. 家庭裁判所は申立てを受けて本人の判断能力に関する調査を行う
  3. 家族や親族、または専門家の中から後見人を選任する
  4. 後見人が被後見人のサポートを行う

成年後見制度は家庭裁判所に後見開始の申立てを行い、裁判所が本人の判断能力に関する調査を実施します。適切と判断されれば後見人が選任され、被後見人の財産管理や日常生活のサポートを行うのが一般的な流れです。

ただし、後見人は定期的に裁判所へ報告を提出しなくてはいけません。

まとめ|家族信託・成年後見制度の違いを理解して手続きを進めよう

家族信託と成年後見制度は、それぞれ異なる状況やニーズに応じた財産管理の手段になります。それぞれ制度の違いを理解し、個々の状況に合わせて適切な手続きを進めることが重要です。

状況に応じて手続きが複雑になる場合もあるため、専門家でもある弁護士や司法書士に相談することも検討しましょう。もし家族信託・成年後見制度について詳しく聞きたい場合は、「船橋・習志野台法律事務所」にご相談ください。

船橋・習志野台法律事務所は、初回1時間無料・安心の弁護士価格でご相談を承っております。土日祝日も対応しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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