コラム

生活保護受給者も利用できる成年後見人制度と各種の金銭支援制度

2023.03.03

生活保護受給者も利用できる成年後見人制度と各種の金銭支援制度

生活保護受給者も利用できる成年後見人制度と各種の金銭支援制度

生活保護受給者は成年後見制度を利用できないのでは?と考えている方もいるのではないでしょうか。

成年後見制度には制度を利用するために必要となる特別な条件はありません。

ここでは、生活保護受給者に成年後見人制度を利用したい人のために、この制度のことについて詳しく解説します。

生活保護受給者でも成年後見制度は利用できる

成年後見制度には利用条件はない

成年後見制度は、生活保護の受給者であっても利用できます。

なぜならば、この制度を利用するために必要となる特別な条件は存在しないからです。

成年後見制度は、生活保護受給者にとっても多くのメリットがあります。

成年後見制度を利用するメリット

成年後見制度を利用するメリット

成年後見人の仕事は、被後見人の「身上監護」と「財産管理」の二つです。
「身上監護」と「財産管理」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

詳しくご説明いたします。

介護サービスの契約の代理など身上監護を任せられる

身上監護とは、一言でいえば生活に関する法律行為の代行です。

具体的には、例えば住居の確保に関する手続きや施設への入所手続き、入院する際の病院への手続きなどがあります。


一緒に生活したり介護や看護を直接行うというのではなく、そういったサービスを受けるために必要な手続きを代行するのが成年後見人の役目です。もちろん契約したら終わりではなく、その契約がきちんと履行されているか随時確認する必要があります。

不動産屋や預貯金の財産を管理してもらえる

介護サービスを受けるための支出は被後見人の財産からなされますが、その財産を管理し、支払いの手続きを行うのも成年後見人の役目です。

あくまでも本来被後見人が自ら行うべき手続きを代行するだけなので、領収書を保管し収支の記録をきちんとつけるといったことが必要です。被後見人の財産を勝手に他の用途に使ったり、無断で貸し出したりといったことはできません。

成年後見人にはこうした職務の内容を年1回家庭裁判所に報告する義務があり、その際には報告書を作成し、被後見人の財産目録や通帳のコピーなどと共に提出する必要があります。

成年後見制度の利用にかかる費用

成年後見制度の利用にかかる費用

成年後見制度の申立てにかかる費用

成年後見人の申立てには各種の費用が必要です。

申立てのための手数料として800円が必要な他に、登記手数料として2600円の支払いも必要です。 郵便切手代として3270円も必要になり、審判書の送付や登記の嘱託のために使用されます。

申立てをする時には医師の診断書も提出しなければいけないので、診断書の作成費用も必要です。住民票と戸籍抄本を取得するための費用も必要になり、どちらも数百円程度の料金です。

登記されていないことの証明書が必要な場合には、手数料として300円分の収入印紙が必要になります。

成年後見人の判断能力の鑑定が必要な場合

成年被後見人の判断能力を調べなければいけない場合には、鑑定をする必要もあります。鑑定とは、後見人の判断能力を医師に判定してもらう手続きのことです。

申立てをする時に提出しなければいけない診断書とは別個に作成する必要があり、鑑定書の作成を医師に依頼するのは裁判所です。
鑑定書の作成には10万円から20万円程度の費用がかかります。

成年後見人の基本報酬

成年後見人が親族ではなく、弁護士、司法書士などの専門職の場合は、報酬が発生します。報酬は本人である被後見人の資産から支払うことになります。裁判所のホームページで報酬の目安を公表していますが、古い情報であり、現在では公表されているものよりやや増額傾向と言えるかもしれません。

公表されている報酬の目安はあくまで参考でしかなく、実際には裁判官が毎年の報酬請求の際に、個別に判断して決定します。

なお、親族後見人の場合には、自ら裁判所に報酬請求をしなければ、発生しません。子などの肉親であれば、通常は請求しないでしょう。

任意後見人の基本報酬

成年被後見人が自分の意思で選んだ後見人のことを任意後見人と言います。

成年被後見人に判断能力があると認められる時ならば、任意で後見人と契約することは可能です。

成年被後見人の親族などが任意後見人の契約をする場合、1か月あたりの報酬は多くても3万円程度です。親族が任意後見人になる場合には、報酬が無償となることもあります。

弁護士や司法書士と後見人の契約を任意でおこなう場合には、当然、親族後見の場合にも高くなります。

法定後見人の基本報酬

法定後見人とは、裁判所が決めた成年後見人のことです。

被後見人の判断能力がないと判断された場合に、裁判所が代わりに成年後見人を決めるものです。

成年後見人の付加報酬が発生するケース

  • 遺産分割の調停
  • 調停・訴訟外の示談行為
  • 保険金の請求
  • 不動産の処分・管理
  • 訴訟、非訟、家事審判

遺産分割の調停

成年被後見人の遺産を分割する際に、後見人が相続人の間で必要な調停をした場合には、基本報酬の他に付加報酬が発生します。

権利者の間で遺産分割に対する考え方の違いがある場合などに、こうした調停がおこなわれることがあります。

調停・訴訟外の示談行為

調停や訴訟以外の目的で成年後見人が被後見人のために示談行為をした場合にも、付加報酬が発生します。

保険金の請求

保険金の請求をした場合にも、成年後見人に対して付加報酬の支払いが必要です。

不動産の処分・管理

成年後見人が被後見人の不動産を処分したり管理する場合にも、付加報酬が発生します。

被後見人が所有する不動産を売却して、介護のための費用を作る場合などに、こうした付加報酬が発生します。

訴訟、非訟、家事審判

被後見人のために訴訟をおこなった場合や、非訟事件の処理をした場合にも、成年後見人に付加報酬を支払う義務があります。

家事審判をおこなった場合にも、同様に付加報酬が発生します。

その他

成年後見人が不正な行為をおこない、新しく選ばれた後見人が不正に対する対応をした場合にも、付加報酬が発生します。

成年後見人の報酬の支払いに利用できる制度

成年後見人の報酬の支払いに利用できる制

生活保護受給者が成年後見人の報酬を支払えない場合には、公的機関の助成を受けて成年後見制度を利用することもできます。

成年後見制度には、複数の金銭支援制度があります

成年後見制度利用支援事業

成年後見制度利用支援事業とは、成年後見制度の利用が必要であると認められる人を対象とした自治体の支援事業です。

この制度を利用するために補助が必要な人に対し、申立てに必要となる経費や、後見に対する報酬の全部もしくは一部を助成しています。

成年後見助成基金

成年後見助成基金は、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートがおこなっている支援制度です。

金銭的な理由により成年後見制度を利用できない人などを対象にして、支援をおこなっています。

この制度を利用するためには、各種の条件を満たしていることが必要です。
条件や基金の概要は公式サイトにてご確認ください。

支援制度で成年後見制度を活用しよう

成年後見制度を利用するための特別な条件は存在しないため、生活保護受給者を受給している人であっても成年後見制度を利用することは可能です。


成年後見制度の利用には費用が必要になり、選ばれた成年後見人に対する報酬の支払い義務も発生します。


成年後見人に対する報酬の支払いについては自治体によっての支援制度もあるため、各自治体へ確認も必要です。
選択肢の1つとして、専門家である弁護士に依頼するという方法も検討してみてください。

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