コラム

成年後見人は戸籍に記載される?制度について詳しく解説

2023.04.22

成年後見人は戸籍に記載される?制度について詳しく解説

成年後見人は戸籍に記載されない

成年後見制度では、選定された成年後見人が認知症や知的障害で判断能力が不十分な人の代わりに法的な手続きをしたり財産管理をしたりします。

成年後見人がいれば、被後見人が内容を理解せずに契約を交わしたとしても、後で契約を無効にすることが可能です。

その成年後見人ですが、利用をしていても戸籍には記録が残りません。

今回の記事では、なぜ成年後見人の利用が戸籍に載らないのかを詳しく解説していきます。
制度の概要やその他、成年後見人の証明を行う方法についても合わせてご紹介いたします。

戸籍に載ることはないが、後見登記簿に記録される

戸籍に載ることはないが、後見登記簿に記録される

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症や知的障害といったことが理由で判断能力が不十分な人を支援し、権利を守ることを目的としています。

制度に基づいて選定された成年後見人が被後見人のためにやることは、主に介護や介護施設など療養看護に関する法的行為を被成年後見人の代わりに行うこと、通帳やキャッシュカードを預かり被成年後見人に代って財産を守ることの2つです。

成年後見人のサポートを受ければ、被成年後見人は安心して暮らすことができます。しかし、人の手を借りて生活することが恥ずかしいと思う人も中にはいます。そういう方は第三者に成年後見人を利用していることを知られたくはないでしょう。

成年後見制度は戸籍に載ることはない

成年後見人の利用を知られたくない人が、気にするのは戸籍に記録が載ること。

戸籍に成年後見人を利用していることが載っていれば、何かの拍子で記録を読まれてしまう可能性があります。

実際にそういうことが起こり得るのかというと、成年後見制度では戸籍に成年後見人を利用することは載らないので心配は無用です。しかしながら、公的な記録は何もないというわけではありません。

成年後見人の利用は、後見登記簿に記録されます。

成年後見人とは

後見登記簿は、法務局が管理する成年後見制度に関わる記録のことです。

家庭裁判所で行われる後見開始の審判が確定した後に、2週間程度でその内容が後見登記簿に記録されることになります。

後見登記簿は一般公開されているものではなく、本人の他に配偶者や成年後見人など定められた関係性にあるものだけが、登記事項の内容が書かれた登記事項証明書の交付を依頼できるもの。

以上のことから、赤の他人が記録から成年後見人の利用を知ることは困難と言えるでしょう。

以前の制度は戸籍に記載されていた

成年後見制度において成年後見人の利用は戸籍に載りませんが、以前の禁治産者制度(きんちさんしゃせいど)では記載されていました。

戸籍謄本等の請求は、現在だと正当な理由が必要であり本人確認も厳格となっているため誰でもできることではありません。

しかし、以前はそういった制限がなかったため、誰でも戸籍謄本等の請求がしやすく禁治産者であることを第三者に知られるリスクがあったのです。

未成年後見の場合は戸籍に記録される

未成年は心身ともに健康であっても、社会経験が不足していることから誤った判断を下す恐れがあります。そのため、判断能力が不十分な人をサポートする未成年後見人を利用することができます。

申し立てにより家庭裁判所で未成年後見人の選定が行われた場合、未成年の戸籍に記録が載ります

戸籍に載る際には、家庭裁判所から未成年の本籍地である市区町村役場に連絡するので本人が手続きのために動く必要はありません。

戸籍に載ることはないが、後見登記簿に記録される

戸籍に載ることはないが、後見登記簿に記録される

後見制度の前身である禁治産制度について

禁治産制度とは、1986年(明治29年)から2000年(平成12年)まで、精神障害や知的障害など一定の状態にある人の行為能力を制限するために設けられた制度です。

利害関係にある人からの申立により家庭裁判所が禁治産宣告をすれば、対象となった人は契約などの法律行為ができなくなりました。

禁治産制度と成年後見制度との違い

禁治産者制度と成年後見制度は、対象となる人の権利や意思をどう扱うのかという点が大きく違います。

禁治産者制度は、禁治産者が自分の財産を自由に使う権利を「禁じる」ものであり、抑圧的な面を持った制度と言えます。

禁治産者となれば、自分では何も出来ない人として選挙権もなくなります。その上、禁治産者である事実は戸籍にも記録が残ることから、差別や偏見の対象と対象となっていたことが問題となっていました。

成年後見制度では、被成年後見人を保護すると同時に意思を尊重する内容へと変わっています。

また、差別や偏見を助長するということで戸籍への記載も、成年後見制度では廃止されました。

成年後見人の証明をする方法

成年後見人の証明をする方法

登記事項証明書を取得する

窓口で交付申請をする場合

成年後見制人の証明である登記事項証明が欲しい場合は、最寄りの法務局・地方法務局の本局戸籍課、東京法務局の場合は後見登録課の窓口で交付請求をします。

証明書手数料(1通につき550円を収入印紙にて納付)と本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)、必要事項を記入した登記事項証明申請書(成年後見登記用)をあわせて提出をします。

郵送で交付申請をする場合

郵送で交付請求をする場合は、必要書類とともに切手の貼り付けと宛先の記入を済ませた返信用封筒を同封しましょう。

なお、郵送の担当窓口は、住所や本籍地に関わらず、「東京法務局後見登録課」宛となります。

オンラインで交付申請をする場合

オンラインでの交付請求も可能で、電子証明書の取得やパソコンの環境などの準備を済ませて、法務省ホームページにある申請システムから申請者情報登録を行うことで手続きができます。

オンラインでは登記手数料をインターネットバンキング・モバイルバンキング、電子納付対応のATMなどを利用して支払います。
証明書の取得方法は電子的な証明書と紙の証明書の2種類があります。

登記事項証明書を取得できる人

登記事項証明書の申請ができるのは、まず成年被後見人、成年後見人、成年後見監督人など登記されている人です。

次に成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約本人(委任者)の四親等内の親族も申請できます

あとは、これまでに挙げた申請ができる人から委任を受けた人も対象ですが、委任状を用意しておかなければいけません。

まとめ

今回は成年後見制度が戸籍に記載されるかについての解説と、成年後見制度以前の制度である禁治産者制度との比較、合わせて成年後見人である証明を行う方法についてご紹介いたしました。

後見登記簿には記録が載りますが、一般的に公開されるものではなく、内容を確認できるのは限られた人だけです。

プライバシーが守られているので、成年後見人を利用したとしても、知らないところでその事実が広まることはないでしょう。

認知症や知的障害などで成年後見人の助けが必要であれば、遠慮せずに利用することをおすすめします。

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