コラム

成年後見人になりたくない!本当に必要なのか見極めるポイントは?

2021.06.04

成年後見人になりたくない!本当に必要なのか見極めるポイントは?

高齢化の進行に伴い認知症の人が増え、そういった人を狙った悪質な犯罪も増えています。こうしたことから注目されているのが「成年後見制度」です。お年寄りにとっては安心な制度ですが、若い人の中には成年後見人は大変そうだから自分はなりたくない、と考える人も多いのではないでしょうか。そこで成年後見人とは何なのか、その制度と役割、そしてどんな場合に必要となるのかについて解説します。

成年後見人とは?

成年後見人とは?

成年後見人とは何か

成年後見人とは、判断能力の低下した成人の身柄や財産を保護する人のことで、成年後見制度の中で規定されています。成年後見人は家庭裁判所により選任され、その監督の下で保護対象となる人(被後見人)の財産を管理します。

成年後見制度とはどんな制度か

成年後見制度とは、判断能力が欠如している、あるいは著しく低下している人に対し、周囲の人が後見人となってその人を守る制度です。2000年に成立したもので、1896年制定の旧民法で規定された「禁治産・準禁治産者宣告制度」を前身としています。禁治産とは財産管理を制限するという意味で、心神喪失等で判断能力がない人に対し宣告されましたが、禁治産者になるとそのことが公示されるうえ戸籍にも記載され差別を受けるということで、ノーマライゼーションの理念に基づき現在の成年後見制度が新たに始まりました。

成年後見制度の意義

高齢化が急速に進む中、認知症を発症する人も増えてきています。認知症によって判断能力が衰えると、騙されて必要のない品を高額で買わされたり、あるいは詐欺の被害に遭うといった危険にさらされるリスクが高まります。判断能力の衰えた人をそうした被害から守るために存在するのが成年後見制度です。保護の対象となるのは判断能力がない、あるいは不十分である成人で、認知症に限らず知的障害や精神障害、高次脳機能障害などの人も含まれます。

成年後見人の役割

成年後見人の仕事は、被後見人の「身上監護」と「財産管理」の二つです。身上監護とは、一言でいえば生活に関する法律行為の代行です。具体的には、例えば住居の確保に関する手続きや施設への入所手続き、入院する際の病院への手続きなどがあります。一緒に生活したり介護や看護を直接行うというのではなく、そういったサービスを受けるために必要な手続きを代行するのが成年後見人の役目です。もちろん契約したら終わりではなく、その契約がきちんと履行されているか随時確認する必要があります。

そのようなサービスを受けるための支出は被後見人の財産からなされますが、その財産を管理し、支払いの手続きを行うのも成年後見人の仕事です。あくまでも本来被後見人が自ら行うべき手続きを代行するだけなので、領収書を保管し収支の記録をきちんとつけるといったことが必要です。被後見人の財産を勝手に他の用途に使ったり、無断で貸し出したりといったことはできません。成年後見人にはこうした職務の内容を年1回家庭裁判所に報告する義務があり、その際には報告書を作成し、被後見人の財産目録や通帳のコピーなどと共に提出する必要があります。

成年後見人が必要かどうか見極めるポイント

成年後見人が必要かどうか見極めるポイント

成年後見制度は判断能力の衰えた人を保護するための制度であり、成年後見人となるのは多くの場合家族や親族です。ここで重要なのは、成年後見制度は被後見人のための制度であり、家族や親族のための制度ではないということです。したがって、基本的には認知症などで被後見人となる人の判断能力が衰え契約などができなくなったり、詐欺や悪徳商法などの被害に遭うリスクが高まった場合に成年後見人が必要となります。

ただし同居かつ家計を同じくしている家族がいる場合は、このようなリスクを事前に回避することも可能なので、必ずしもすぐに成年後見人が必要になるとは限りません。また、本人が不動産を所有しておりいずれ売却することが必要になる場合、判断能力のない人では契約自体無効となることがあるため成年後見人が必要となりますが、そういったものを所有していないのであればすぐに必要ということはありません。

成年後見人は弁護士にも依頼できる

成年後見人は弁護士にも依頼できる

このように成年後見人は責任が重く報告の義務もあり、決して楽なものではないためなりたくないという人もいるでしょう。成年後見人になるのは一般的には家族・親族が多く、中でも被後見人のそばにいて身の回りの世話をするなど関係の特に近い人がなることが多いです。しかし、法的には未成年や破産者等の欠格事由がなければ、誰でも成年後見人になることができます。つまり親族以外の第三者でも可能ということです。

第三者に依頼する場合、代表的なのが弁護士です。弁護士は法律のプロですから、成年後見人の仕事である法的な手続きはスムーズにできます。被後見人と親族の間に対立があったり、身内が高齢であるなど適任者がいない場合は、弁護士に依頼するというのも一つの方法です。ただし弁護士に依頼すると報酬が発生するので、その点も含めてよく考える必要はあるでしょう。

【まとめ】なりたくなければ信頼できる第三者に依頼することも可能

【まとめ】必ずしも必要でない場合もどうしてもなりたくなければ信頼できる第三者に依頼することも可能

成年後見制度は判断力の衰えた人の生活と財産を守る有用な制度ですが、成年後見人にとっては大きな負担ともなります。身近な人を守りたいけれど自分は成年後見人にはなりたくない、と考える人がいても不思議ではありません。成年後見人には必要となるタイミングがあること、第三者である弁護士に依頼することも可能であることを知っておくと安心できるのではないでしょうか。

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