コラム

被保佐人と成年被後見人の違いとは?それぞれの特徴を詳しく解説!

2022.08.17

被保佐人と成年被後見人の違いとは?それぞれの特徴を詳しく解説!

被保佐人と成年被後見人の違いとは?それぞれの特徴を詳しく解説!

認知症や知的障害・精神障害などにより判断能力の不足が認められる人々に対して、財産管理や契約等において不利益を被ることのないよう設けられた制度が「成年後見制度」です。

この制度では、本人の判断能力の程度によって3つの段階に分けられます。今回はその中で「被保佐人」と「成年被後見人」について、二つの類型の特徴と違いを具体的に解説します。

被保佐人と成年被後見人の違い

被保佐人と成年被後見人の違い

判断能力の違い

被保佐人は、成年被後見人を重度とすると、中度のレベルで判断能力を失っている場合に適用される類型です。全く判断ができないほどではなくても、著しく判断能力が不足している場合に適用されます。

日常の買い物は可能でも、重要な契約や購入は難しいといったケースになります。対して成年被後見人は、常に判断能力が欠けている状態であり、具体的には脳死判定をされた人、重度の認知症や精神障害を持っているような人が当てはまります。

法定代理人に与えられている権利の違い

被保佐人の法定代理人は「保佐人」と呼ばれます。保佐人は成年後見人と違って代理権は原則付与されませんが、「取消権」と「同意権」が与えられます。

民法第13条1項とその他裁判所によって定められた行為を被保佐人が行う場合、保佐人の同意が必要になります。保佐人の同意を得ずに行われた行為に関しては、取消権を用いて取り消すことができます。

成年被後見人の法定代理人を「成年後見人」と言います。成年後見人には「代理権」と「取消権」が与えられます。原則としてすべての法律行為が成年後見人によって可能となり、不利益な契約などは取り消すこともできます。

その他の違い

遺言に関して、常に判断能力が欠けているとされる成年被後見人は、基本的には遺言能力がないとされています。ただし一時的に一定の判断能力が回復する場合など、医師二人以上の立ち会いのもと、有効な遺言状を作成することが可能となっています。

対して被保佐人の場合は遺言に制限を受けることはないため、保佐人の同意などを必要とせず、遺言状を作成することができます。

代理人が必要な被保佐人とはどんな人

代理人が必要な被保佐人とはどんな人

お金の管理ができない

認知症などによって判断能力が低下し、通信販売や訪問販売、ギャンブルなどに過剰にお金を使ってしまうような場合には、保佐人が必要とされます。

また他人にお金を貸したり、借金の保証人になったりしてしまうなど、金銭に関する意思能力が低下している場合も当てはまります。

被保佐人の家族による預貯金の使い込みがある

本人の認知症に付け込んで、子供や配偶者などの家族が勝手に財産を使っているといったケースがあります。本人のために必要な生活費などを守るために、制度を利用し保佐人を付けることが求められます。

不動産の管理・運用が難しい

本人が不動産を所有している場合、認知症によって判断能力が低下すればその管理や運用は難しくなります。適切な判断能力がないまま運用や売却をすれば、大きな損失を被ることになるでしょう。

日常生活には問題がなかったとしても、複雑かつ大きな財産である不動産の管理が難しいような場合は、本人に代わって保佐人を付けたほうがいいと言えます。

代理人が必要な成年被後見人とはどんな人

代理人が必要な成年被後見人とはどんな人

日常生活においても1人での判断が難しい

日常生活においてしっかりしている時間がほとんどないといった場合には、成年後見人を付けることが必要になってきます。契約等の意味や内容を理解・判断ができないとなれば、制度によって代行してもらわなければなりません。

成年後見制度を利用することで、本人が日常生活に必要な銀行での手続きなどを、成年後見人が代理人として行えるようになるメリットがあります。ただし成年後見人も、本人の日用品の購入やその他日常生活に関する行為に関しては、取り消しができません。

財産管理能力が著しく低い

本人の財産に関して、管理したり処分したりすることが自分では全くできないといった場合、本人に代わって代理人が行う必要があります。

預貯金の管理・解約は、本来であれば本人が行うものですが、成年後見人が付くことで代行できます。後見人には、成年被後見人本人の利益のために資産を利用する義務があります。

病院や介護施設への入所・入院手続きを本人が行えない

病院に入院したり介護施設に入所したりする際に、本人はその手続きを行うことが難しい場合も、制度を利用したほうがいいでしょう。

成年後見人には身上配慮義務があります。これは成年後見人が本人の意思を尊重し、その身上に配慮する義務とされています。成年被後見人の生活を支えるために介護施設への入居させることなどがこれに当てはまります。

被保佐人と成年被後見人、それぞれの特徴と違いを理解しましょう

被保佐人と成年被後見人に対しては、どちらも判断能力が不足している本人に代わって、代理人が日常生活を支援することができます。

ただしそれぞれ認められる判断能力には差があり、その違いに基づいて代理人の権限も変わってきます。どういったケースが該当するのか、代理人は何をすればいいのかなどを正しく理解し、被保佐人や成年被後見人の財産等を守りましょう。

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