コラム

成年後見人のデメリットとは?本当に使うべき人についても解説

2022.03.07

成年後見人のデメリットとは?本当に使うべき人についても解説

成年後見人のデメリットとは?本当に使うべき人についても解説

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

成年後見人は認知症・知的障がいといった理由によって、判断力が低下してしまった人たちのために存在する制度です。生活で不利益を被らないように、親族などの近しい人が法律的行為をサポートします。

支援を受ける本人が犯罪や違法行為に巻き込まれないために設けられた制度ですが、制度を利用する前に知っておくべきことがいくつかあります。本記事では成年後見人において注意しておきたいポイントを見ていきましょう。

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成年後見人制度のデメリット

成年後見人制度のデメリット

選任手続きに費用がかかる

成年後見人制度を適用してもらうためには、各都道府県に設置されている家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

原則として、手続きに必要となる費用は申立人が支払う事になっているため、経済的な負担があるという点には注意しておきましょう。

費用の総額はケースバイケースで多少変動しますが、一般的な内訳と相場は以下の通りです。

  • 医師による診断書(1万円前後)
  • 登記費用(2600円)
  • 収入印紙代(800円)
  • 予納郵券代(3000~5000円程度)
  • 家庭裁判所から指示があった場合の鑑定費用(5万~10万円)

財産を自由に使うことができない(資産運用や相続対策ができない)

成年後見人制度の主旨は「支援される本人の財産を保護する」という事です。

したがって、制度が適用された後は原則として不動産投資や株式投資などの資産運用を行う事は出来ません。資産運用には常に損失を被るリスクが付きまとうため、成年後見人制度の主旨にそぐわないのです。

また、生前贈与を含めた相続対策は「相続される人間のために行うもの」という基本理念に基づいた手続きであるため、本人の資産保護を前提としている成年後見人制度が適用されていると難しくなります。

このように資産の自由度が狭まってしまうという点は成年後見人制度の代表的なデメリットです。

途中でやめることができない

制度が適用されると途中で後見人を辞める事が出来ないという点には十分注意しておきましょう。

判断力が十分でない本人を保護するという事が目的となっているため、基本的に本人の判断・意思で制度の適用を中止する事も出来ません。

これは家族からの申し出であっても同様です。例外として本人の判断能力が回復したと認められた場合には、制度が中断されるケースがあります。

成年後見人制度は一度適用が開始されると、特別な理由がない限りは本人が亡くなるまで継続するものであると認識しておきましょう。

後見人になると負担が大きい

成年後見人制度では後見人となった人の負担が大きいという点がしばしば問題視されています。これは特に親族が後見人となった場合に顕著な問題です。

本人との関係が近しい親族が後見人になると、住まいのお手入れ・預金管理・各種契約手続きなどを行う事になります。

さらに、成年後見人制度では年に1度家庭裁判所への報告が必要です。単に口頭で本人の様子を報告するだけでなく、財産目録や報告書の記入といった書類作成も行わなくてはなりません。

必ずしも希望通りの選任になるとは限らない

成年後見人は家庭裁判所が選任する権限を持っているため、身内で相談して誰を後見人にするか決める事が出来ません。

申立て書を提出する際に後見人の立候補者を記入する事は可能ですが、立候補者の中から選任されるとは限らないのです。

場合によっては親族や立候補者以外の第三者が選ばれる可能性もあります。もちろん選任にはそれなりの理由がありますが、意図しなかった後見人が資産管理を行う事に不安を感じる人も少なくないでしょう。

成年後見人制度を使うべき人はどんな人?

成年後見人制度を使うべき人はどんな人?

前述のように様々なデメリットが想定される成年後見人制度ですが、適用が必要な人が利用すれば効果的に機能します。例えば「認知症で要介護の親を施設に入居させたい」というケースが代表的です。

施設の入居手続きでは本人の意思が尊重されるため、判断力の低下が著しい状態になっていると家族からの申し込みであっても受理されないケースがあります。

しかし法律的な手続き代行が認められた成年後見人からの申し込みであれば、介護施設側も柔軟に対応してくれるのです。

また、成年後見人制度適用中は資産運用や相続対策が難しくなりますが、「本人の不動産売却が必要」「本人が遺産の相続人になっている」といった場合は話が別です。

不動産売却は認知症患者が単独で行う事が出来ないため、手続きには成年後見人が必要となります。本人が親族の財産を適切に相続する場合は「本人の財産保護」に該当するため、成年後見人の権限が有効です。

遺言書などで遺産分配の指定がなければ、遺族間で遺産分割協議を行う事になります。成年後見人は相続権を持つ本人に代わってこの協議に臨む事が出来るのです。

成年後見人は弁護士にも依頼できる

成年後見人は弁護士にも依頼できる

成年後見人のデメリットを承知した上でも、制度の適用が必要な状況に置かれている人は少なくないでしょう。

しかし親族の成年後見人は無償で大きな負担を背負う事になるケースが多いため、慎重に検討してから申立てするか否かを決める事が重要です。

この問題を解決する手段としては、成年後見人を弁護士に依頼するという手段があります。法律の専門家である弁護士であれば、不動産や株式といった各種資産に関する複雑な手続きを一任する事が可能です。

本人が遠方に住んでいる場合でも、その地域で活動している弁護士に依頼すれば対応してもらえます。親族内で成年後見人の立候補者がいない、あるいは適任者がいないというケースにも有効な選択肢となるでしょう。

ただし、弁護士に依頼する場合は家庭裁判所での手続き費用に加えて月々2万~6万円程度の報酬支払いが必要になるので注意してください。

デメリットをしっかり把握した上で、成年後見人制度の申立てを検討しよう

少子高齢化が進む現代社会において、成年後見人は他人事ではない制度であると言えるでしょう。本人が不動産や株式など多くの資産を抱えている場合は、トラブル回避のために申立てを行う決断が必要になる場面もあります。

その際はデメリットについて理解を深め、後見人に過度な負担がかからないよう配慮する事も大切です。選択肢の1つとして、専門家である弁護士に依頼するという方法も検討してみてください。

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