コラム

相続は口約束だけで手続きできる?故人の意向を実現するための対処法

2022.09.09

相続は口約束だけで手続きできる?故人の意向を実現するための対処法

相続は口約束だけで手続きできる?故人の意向を実現するための対処法

生前、故人から遺産を相続させるという口約束をされていた場合、故人の意向通りに相続することは可能でしょうか。

確かに問題なく相続できる場合もありますが、トラブルに巻き込まれることの方が多いため、事前にきちんと準備をしておいた方が安心です。こちらでは、口約束の法的な性質やトラブル回避の対策について見ていきましょう。

口約束の法的性質

口約束の法的性質

そもそも、口約束だけで相続は法的に有効となるのでしょうか。また、口約束だけで名義変更や解約などの手続きは可能なのでしょうか。以下に、口約束の法的な性質について見ていきましょう。

口約束は法的には有効

法的には、契約や贈与、相続に関する内容は、口約束であっても有効です。口約束でも、本人が自分の財産を指定した相手に託したいという意思表示にはなりますので、それを証明することができれば法的には問題はありません。

証明が必要になるケースが多い

では、口約束があれば相続手続きが円滑に進むかといえば、必ずしもそうとは言えません。故人の意思を尊重すべきとはいえ、その事実を直接聞いていない法定相続人の立場として考えれば、納得しづらいでしょう。

加えて、故人の預貯金等の解約や不動産の所有権移転登記などでは、誰が相続人になるのか、どのように遺産分割をするのかを証明する書類が必要です。

法定相続人が全員協力してくれるなら問題ありませんが、法定相続人全員の実印や印鑑証明が必要となりますので、故人との口約束だけで協力を取り付けるのは困難でしょう。

特に、法定相続人以外の第三者が相続する場合などは、口約束だけで相続を実行することはかなり難しいと言わざるを得ません。

口約束を実現するための4つの方法

口約束を実現するための4つの方法

口約束だけでは故人の意向通りに相続をすることが難しくなりますので、実現するために有効な手段をとっておく必要があります。以下に、スムーズに相続をするための方法について見ていきましょう。

遺産分割協議

遺産分割協議は、法定相続人全員が遺産分割について納得した上で遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付して相続の内容を証明する方法です。
遺産分割協議書があれば金融機関の口座解約や不動産の相続登記などがスムーズに行えますが、相続人全員が同意するかどうかがネックになります。

遺言書の作成

遺言書は、被相続人が生前にどのように遺産を相続させたいかを書面に残す方法です。
自分で作成することもできますが、発見されない可能性や法的に必要な要件を満たしていない可能性がありますので、公証人に依頼して公正証書遺言を作成することをおすすめします。遺言書があれば、相続人の同意がなくても相続手続きを進めることが可能です。

死因贈与

死因贈与契約は、故人が生前に贈与者として、遺産を託したい相手(受遺者)とお互いに合意の上で贈与契約を結ぶ方法です。これを書面で残しておけば、贈与者が亡くなって相続が発生した時に贈与契約の効力が発生します。

この手続きは遺言とは異なり、相続放棄ができないというデメリットはありますが、勝手に不動産を処分されないように仮登記を入れられるなど、独自のメリットもあります。

生前贈与

本人死亡時ではなく、生前から財産を託しても構わないという場合には、生前贈与という方法もあります。

これは、本人が存命中に受遺者に財産を贈与する手続きであり、生前贈与後10年以上経過して相続が発生した場合には、遺留分の請求もされることはありません。
ただし、相続よりも税率の高い贈与税が加算される点には注意が必要です。

口約束は遺言書で形として残すのがおすすめ

口約束は遺言書で形として残すのがおすすめ

このように、口約束だけでなく確実に履行するための手段はいくつもありますが、中でもおすすめなのが遺言書として形で残す方法です。

遺産分割協議は、法定相続人全員の同意を得なければならないので、偏った分割内容であれば話がまとまらない可能性が高くなりますし、相続人に遺産のすべてを開示しなければならず、手続きが煩雑になります。

死因贈与は互いに合意した契約になるため、一方的に破棄することができませんし、相続の段階になって放棄することもできません。また、遺産に不動産がある場合、死因贈与では不動産取得税が発生するため、負担が大きくなります。

生前贈与は前もって本人の意向通りに財産を託すことができますが、贈与税が高額になること、生前贈与された分を相続発生時に持ち戻しされる可能性があることを考えると、リスクが大きい方法です。

以上のことから、リスクが少なく確実性が高い方法は、やはり公正証書で遺言書を作成しておくことと言えます。なお、遺言書作成後に気が変わった場合には、再度遺言書を作ることも可能です。複数の遺言書がある場合には、日付が最も新しいものが優先されます。

相続をスムーズに行うためには、口約束ではなく書面がおすすめ

相続は口約束でも法的な効力がありますが、実際の手続きをする場合には相続人の協力なしに進めることができません。

そのため、相続人の協力が期待できない場合には、口約束だけでなく書面として残しておいた方が安心です。相続手続きが円滑に進まなかったり、相続人同士で揉めたりしないためにも、早めに専門家に相談しましょう。

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