コラム

相続における遺留分とは?わかりやすく解説

2022.04.18

相続における遺留分とは?わかりやすく解説

相続における遺留分とは?わかりやすく解説

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

相続において、被相続人(故人)の遺言書がある場合にはその内容に従って遺産分割が行われます。しかし、遺言で特定の相続人の取り分が排除されていたり、微々たるものになっていることがあります。

その遺言に従うとなれば、特定の相続人は遺産をほとんど手にする事ができないでしょう。そのような状況で不公平を是正するために民法で設けられているのが、遺留分制度です。

今回は、遺留分とは何かをわかりやすく解説します。

遺留分とは

遺留分とは

遺留分とはわかりやすく言うならば、一定の範囲にあてはまる相続人が受け取れる最低限の遺産の分割割合です。

遺留分の請求で侵害された財産の一部を取り戻せる

遺留分の権利は、被相続人の遺言があっても侵害することはできません。たとえ特定の相続人に財産を全て譲り渡すとしていたり、慈善団体に寄付をすると遺言書に書かれていたとしても、相続人は自分の遺留分はもらえることになっています。

もし、遺言どおりに相続が実行されたとき、遺留分よりも不足しているのであれば遺留分は侵害されたということで遺留分侵害額請求ができます。

遺留分侵害額請求とは?

遺贈や生前贈与を受けて他の相続人の遺留分の権利を侵害した人を相手に、権利を侵害された範囲を限度として遺贈や生前贈与の効力を減らしたり打ち消したりするように求めることです。

遺留分侵害額請求で請求できる遺留分とは、基本的に遺留分侵害額に相当する金銭のことです。相続や贈与で得た不動産や債権をそのまま取り戻せるわけではありません。

しかし、金銭で精算することができず、お互いに合意ができた場合には資産を移転させることで解決できます。その場合に注意しなければいけないのが、資産の扱いです。遺留分権利者としては、本来自分が相続するはずだった遺産を取り戻すという感覚でしょう。

しかし、法的には代位弁済という形になり譲渡所得税の課税対象です。そのため、移転した資産にかかる税金をあらためて支払う必要が生じます。

遺留分には時効がある

遺留分の権利には時効があり、一定の期間を過ぎれば遺留分侵害額請求ができなくなります。時効となるのは、相続開始から10年間が経ったときで、相続の開始や贈与・遺贈の事実を知らなくても時期が来れば権利は消滅します。

また、贈与や遺贈が行われたことを知っていたならば、その時点から1年以内に権利を行使しないと同様に時効となります。

遺留分侵害額請求権を行使した場合も、それから5年が経過すれば時効が訪れます。すなわち相手との話し合いが難航して、遺留分が取り戻せないまま5年が経つと時効ということです。

この場合、遺留分侵害額請求権に基づき金銭の支払いを求める裁判を起こせば、時効を止められます。

遺留分のルールとは?みとめられる相続人やその割合

遺留分のルールとは?みとめられる相続人やその割合

遺留分がみとめられる相続人

民法によると遺留分の資格を持つ遺留分権利者とは、兄弟姉妹以外の相続人すなわち配偶者や子供・両親などの直系の親族が対象になります。

また、子供が亡くなっている場合には、代襲相続をする孫が代襲者ということで遺留分権利者です。他には、遺留分権利者から財産を譲り受ける包括受遺者や相続権を譲り受けた譲受人も、代襲者同様に遺留分権利者の対象になります。

遺留分の割合

遺留分により最低限受け取れる遺産の取り分はどのくらいなのかというと、法定相続分の半分(直系尊属は3分の1)です。

法定相続分とは、民法に定められた相続割合のことで、相続人の順位によって割合が異なります。

例えば配偶者と子供は第1順位の相続人です。子供がいる夫婦の場合、配偶者と子供がそれぞれ2分の1ずつです。

しかし、この法定相続分というのは、複数人である場合には均等に分けなければいけません。子供が2人であれば、遺産の2分の1をさらに2人で分けるので4分の1ずつ相続するということになります。

遺留分の対象(遺贈、死因贈与など)

遺留分の対象となる財産には、

  • 被相続人の遺言によって遺産が分配される遺贈
  • 生前に交わした契約に基づき遺産が与えられる死因贈与
  • 生前に財産を与える生前贈与

などがあります。

生前に行われた贈与については、相続が始まる1年以内という区切りがあるので、それ以前に贈与が行われているのであれば遺留分の対象にはなりません。

しかしながら、贈与を受けた人間が、遺留分を侵害するであろうとことを承知している場合には1年以上前の贈与であろうとも遺留分の対象です。

贈与ではなく売買で被相続人の財産が引き渡された場合、相場では考えられないほどに安い金額で取引したならば実質的に贈与であるとされます。少額の支払いで贈与という実態を隠すことはできません。

借金については、財産から差し引かれることになるので、債務超過となれば遺留分を得ることはできないでしょう。

遺留分が適用できる具体例

遺留分が適用できる具体例

Aさん、Bさん、Cさんという兄弟が、父親の遺産を相続するケースを例に挙げてみましょう。

母はすでに亡く相続人となるのは3兄弟だけである場合、法定相続分は遺産を3等分した金額です。

しかし、遺言書には家業を継ぐAさんに3,000万円相当の自宅と金融資産2,000万円を、BさんとCさんには金融資産500万円ずつ相続させると書かれていたとします。遺産の合計が6,000万円ですから、法定相続分は1人あたり2000万円です。

したがって、遺留分は法定相続分の2分の1である1000万円となります。BさんとCさんが相続した遺産は、遺留分である1000万円よりも500万円少ない金額です。

このためBさんとCさんは、Aさんは遺留分を侵害しているAさんに対して、不足分の500万円を請求できます。

【まとめ】遺留分侵害額請求をするなら弁護士に頼ろう

被相続人が残した遺言でも、相続人が遺留分を受け取る権利を侵害できません。もし遺留分が侵害されたときには、遺留分侵害額請求を行うことで得られなかった遺産に相当する金銭が手に入ります。

しかし、法的な知識がないと遺留分がどのくらい侵害されているのか、誰に請求すればいいのかといったことがわかりにくいでしょう。複雑な請求手続きで困っているならば、弁護士を頼ることも選択肢の一つです。

お困りの際はぜひお近くの弁護士事務所にご相談ください。

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