コラム

民法と相続税法の違いを分かりやすく解説

2024.03.28

民法と相続税法の違いを分かりやすく解説

民法と相続税法の違いを分かりやすく解説

船橋習志野台法律事務所の弁護士、中村です。

遺産相続の法律相談では、相続税に関する質問もよく寄せられます。相続税の具体的な計算は税理士の専門領域となりますが、民法と相続税法では相続財産の範囲が異なるため、遺産分割にも影響が出ます。

本記事では、民法と相続税法の違いについて解説します。

民法とは?

民法は、人々の日常生活におけるさまざまな権利義務関係を定めた法律です。個人だけでなく法人にも適用され、契約についての基本的なルールや契約類型、非典型契約の例なども民法で規定されています。

民法は以下の5つの「編」で構成されています。

第1編「総則」民法全体の基本的なルールを定めたもの
第2編「物権」物に関する権利について定めたもの
第3編「債権」債権・債務に関する権利について定めたもの
第4編「親族」親族関係に関する権利について定めたもの
第5編「相続」相続に関する権利について定めたもの

相続の場合、遺言による財産の分配や法定相続分・遺産分割の協議など、相続の基礎的な枠組みに関する規則を確立しています。

相続税法とは?

相続税法は、個人が死亡した際に遺産を受け継ぐ人に課される税金に関する法律です。相続税法では、相続財産の価値に基づいて税額を計算し、相続人が支払うべき税金の額を定めます。

相続税法は財産の評価方法・非課税限度額・各種控除など、相続税の計算に必要な詳細な規定を含んでいます。

民法と相続税法の主な違い

民法と相続税法の主な違い

民法と相続税法の違いに関する理解は、予期せぬ法的問題や税金の負担を避けるためにも必要です。ここでは、「目的」「適用範囲」「内容」の3つに分けて違いを解説します。

目的

民法の目的は、相続が発生した際の法的な枠組みを提供し、個人間の権利と義務を明確に定めることです。民法によって相続人間の紛争を防ぎ、円滑な財産の移転を促進します。

相続税法の目的は、大きな財産の移転によって生じる経済的な格差を緩和し、社会的な公平を促進することです。相続税法は、国の財政収入の一部を確保する役割も担っています。

適用範囲

民法は私法の「一般法」であり、幅広い範囲でルールを定めている法律です。物の売買・賃貸借・借金・結婚・離婚・相続など、適用範囲は多岐に渡ります。

相続税法は相続に特化した法律で、相続範囲は一定の価値を超える相続財産を受け取る相続人に限定されます。適用されるのは主に、生きている人や死亡した人の相続人です。

内容

民法における相続の内容は、相続人の定義や遺言の有効性、遺産分割の手続きなど、相続に関する一連の手続きについて規定しています。相続が円滑に進行するための法的な基盤が提供されている点が特徴のひとつです。

相続税法の内容は、相続財産の評価方法や課税対象となる財産、非課税枠の適用条件など、相続税の計算に必要なルールに焦点を当てています。相続財産に対する国の税収を確保するための具体的な規定を含んでいる点が、民法との大きな違いです。

相続財産の範囲の違い

相続における財産の範囲は、民法と相続税法で異なる解釈がされています。ここでは、相続財産の範囲の違いについて解説します。

民法上の相続財産の範囲

民法における相続財産の範囲は、故人が生前に所有していたすべての財産です。不動産や預金、個人の持ち物といった、あらゆる形態の財産が含まれます。

相続開始時に財産は自動的に相続人に移転するとみなされ、遺産分割協議によって具体的な分配が決定するのが一般的です。民法上の相続財産の範囲は、相続人が遺産分割を行う上での基礎で、相続人全員が平等に遺産を受け継ぐ権利をもつとされています。

相続税法上の相続財産の範囲

相続税法における相続財産の範囲は、民法上の相続財産に加えて、特定の「みなし相続財産」も含まれます。「みなし相続財産」とは、相続人や遺贈者が相続や遺贈によって受け取る財産ではなく、被相続人の死亡をきっかけとして受け取る財産です。

たとえば、故人が加入していた生命保険の受取人が相続人である場合、保険金は相続税法上の相続財産とみなされます。しかし、民法上では故人の財産とはみなされません。

相続税法における相続財産の範囲は、相続税の計算基礎となり、相続人が支払うべき相続税の額に直接影響を与えます。相続税の適切な申告と納税手続きを的確に済ませるためにも、相続税法上の相続財産の範囲を理解することが大切です。

相続財産の範囲の違いが遺産分割に与える影響

相続財産の範囲の違いが遺産分割に与える影響

相続財産の範囲に関する民法と相続税法の違いは、遺産分割の手続きに大きな影響を及ぼします。民法では、故人の全財産が相続財産とみなされ、相続人間での遺産分割が行われます。

しかし、相続税法では「みなし相続財産」の概念が導入されると、民法上は相続財産に含まれない項目も該当する可能性が出てきます。そのため、遺産分割を行う際にはどの財産が分割の対象となるのか正確に把握することが大切です。

範囲の違いを理解していないと、遺産分割において不公平感が生じたり、予期せぬ税負担に直面する可能性もあるため注意しましょう。

まとめ

相続における民法と相続税法の違いを理解することは、遺産分割を適切に進めるためにも非常に重要です。民法では故人の全財産が相続財産と見なされますが、相続税法では「みなし相続財産」が加わり、相続財産の範囲が拡大する場合があります。

相続人は相続財産の範囲に関する法的な違いを踏まえ、適切な遺産分割計画を立てることで公平な財産分配を実現できます。ただし、相続財産の適用範囲や内容は複雑なため、専門家に一度相談するのが懸命です。

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