コラム

相続の順番と相続放棄の範囲について解説

2022.11.18

相続の順番と相続放棄の範囲について解説

相続の順番と相続放棄の範囲について解説

船橋習志野台法律事務所の中村です。

相続放棄の多くの事例は、親の借金が発覚して、その返済義務を引き継がないためにするものです。

ただ、自分や兄弟が相続放棄すればそれで全て解決するわけではありません。日本の法律では相続の順位制を採用しており、子が相続放棄すれば次は亡くなった人の親が相続人になり、その親が相続放棄をすれば、兄弟姉妹が相続人になります。

そのため、自分が相続放棄をした場合に、次に誰が相続人になるのか把握しておかないと、知らないうちに、親しい親族に迷惑をかける恐れもあります。

今回のコラムでは、相続放棄に伴う相続人の範囲の変化について説明します。

配偶者は常に相続人になる

配偶者は常に相続人になる

まず、亡くなった人の配偶者は、残された親族の有無に関わらず、常に相続人になります。なので、夫や妻を亡くして借金を引き継ぎたくない人は必ず相続放棄をする必要があります。

そして、配偶者が相続放棄するか否かに関係なく、子、親、兄弟姉妹などの他の親族はその順位に従って相続人になるので、配偶者は他の親族の迷惑を気にする必要がありません。配偶者が相続放棄をしなくても、配偶者とともに、他の親族(子⇒親⇒兄弟姉妹の順)は同時に相続人となるからです。

子、親、兄弟姉妹は順次、相続人になる

子、親、兄弟姉妹は順次、相続人になる

配偶者は常に相続人になります。そして、亡くなった人に子がいれば、その子が相続人になります。子がいなければ、亡くなった人の両親が存命であれば存命している親が相続人になります。

亡くなった人に子も両親もいなければ、兄弟姉妹が相続人になります。つまり、子が相続放棄すると、子は最初からいなかった扱いになり、その(存命中の)両親が相続人になり、両親が相続放棄をすると、兄弟姉妹が相続人となります。

そのため、子⇒(存命中の)両親⇒兄弟姉妹の順に相続放棄の手続きが必要となります。

また、子は一番優先順位の高い相続人ですが、子が既に死亡して孫がいる場合には孫がその地位を受け継いで最優先の相続人になります。なので、子がいなくても孫がいれば、孫が相続放棄をする必要があります。

相続放棄後は下の世代に続かない

相続放棄後は下の世代に続かない

亡くなった人に子がいなくても孫がいれば相続人になります。これを代襲相続といいます。では、亡くなった人に子がいてその子が相続放棄をした場合は、子が最初から相続人でない扱いになるので、その孫が相続人になるのでしょうか?

これは、そのような扱いになりません。先に述べた代襲相続は、相続人になるべき子が被相続人より先に死亡している場合に孫の世代が相続人となるものですが、子が相続放棄をしてもその子が死亡した扱いにはなりません。

なので、相続放棄によって孫への代襲相続にはならず、次の順位の(亡くなった人の)両親が相続人となります。
大事なポイントは、相続放棄は亡くなった人(被相続人)の財産や借金を引き継ぐことを放棄するのであって、死んだ扱いになるわけではありません。

そのため、亡くなった人に子も親もなく、兄弟姉妹や甥姪がいる場合、兄弟姉妹が相続放棄をしてもその下の世代の甥姪は相続人になりません。

相続放棄後は、上の世代が相続人となる

相続放棄後は、上の世代が相続人となる

亡くなった人に子(もしくは代襲相続人となる孫)がいない場合や子が相続放棄をした場合に、亡くなった人の両親が相続人になります。

稀な事例ではありますが、亡くなった人が若ければ両親だけでなく祖父母が存命な場合もあります。亡くなった人に、子(や孫)がなく、両親と祖父母が存命の場合、まず、両親が相続人となります。そして、両親が相続放棄をすると、さらに上の世代に相続人が遡るので祖父母が相続人となります。

子が相続放棄をしても下の世代は相続人にはなりませんが、上の世代には遡ることになっています。なので、両親がともに相続放棄をすると、それぞれの祖父母4名が相続人となります。

また、両親のうち父親だけ相続放棄をすると、母親だけが相続人となり、父方祖父母は相続人になりません。これは、亡くなった人から見て上の世代が相続人になる場合は一番近い世代のみが優先され同時に異なる世代の親族が相続人にならないからです。

相続放棄と代襲相続の混同、上の世代の相続に注意

借金を背負って亡くなった人(被相続人)の子が被相続人より先になくなっていて孫がいる場合には、孫が代襲相続人となり借金を回避するために相続放棄が必要となります。

ですが、被相続人の子がいてその子が相続放棄をすれば孫は相続放棄をする必要はありません。最初から子が死亡していれば、孫が直接代襲相続人となりますが、子がいれば孫は子の相続人になっても亡くなった祖父母の相続人にはなれず子が相続放棄をすれば次の順位の両親や兄弟姉妹が相続人になるからです。

一方、両親が相続放棄をすると、さらに上の世代に遡って、祖父母が相続人となります。下の世代への相続は相続放棄によって途切れますが、上の世代は相続放棄により途切れることなく、存命している上の世代に遡ります。

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