コラム

遺留分を特定の相続人にあげたくない場合に実行できる方法

2022.12.02

遺留分を特定の相続人にあげたくない場合に実行できる方法

遺留分を特定の相続人にあげたくない場合に実行できる方法

相続が発生した場合、相続人の間で財産の分配に関して問題が起こることは珍しくありません。
民法の中には遺留分という規定もあり、遺留分のことで問題が発生することもあります。
現在相続をしている人の中には、特定の相続人に遺留分をあげたくないと考えている人もいるでしょう。
本記事では、遺留分をあげたくない場合の対処方法などについて、詳しくご紹介します。

遺留分をあげないようにすることはできない

遺留分をあげないようにすることはできない

遺留分とは相続人の権利

遺留分をあげたくないと考えている相続人がいるとしても、基本的に遺留分を与えずに済むことはできません。
なぜならば、遺留分は相続人が法的に主張できる特別な権利だからです。

遺留分とは法定相続人のうち特定の人物だけが持っている権利のことで、この権利を行使すれば、どのような場合でも相続財産の一定割合を相続できます。被相続人が遺言で特定の相続人に財産を全く配分しなかったとしても、遺留分を行使すれば、財産の一定割合を相続可能です。

遺留分の及ぶ範囲

遺留分の適用があるのは、相続人の中でも亡くなった人と特に親しい関係があった人だけです。具体的には、被相続人の配偶者と直系卑属、直系尊属がそれぞれ遺留分を行使できます。

直系卑属とは子供や孫のことです。直系尊属に該当するのは両親や祖父母です。これらの人が生きている時に被相続人が亡くなった場合、遺留分の権利を行使できます。ですが、被相続人と親しい関係であっても兄弟や姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合は、誰が相続人であるかによってそれぞれ異なります。配偶者だけが相続人の場合、相続財産の2分の1が遺留分に相当します。子供だけが相続人である場合にも、遺留分は相続財産の2分の1です。

直系尊属だけが相続人である場合には、相続財産の3分の1が遺留分になります。配偶者と直系尊属が相続人である場合には、配偶者の遺留分は3分の1で、直系尊属の遺留分は6分の1です。

遺留分を侵害したらどうなる?

遺留分を侵害したらどうなる?

遺留分侵害額請求される

亡くなった人の遺言に従って相続財産を分配した場合でも、その分配方法により特定の相続人の遺留分が侵害された時には、その相続人は遺留分侵害額請求ができます。
遺留分侵害額請求とは、他の相続人によって侵害された自己の遺留分を、金銭で支払ってもらう手続きのことです。
被相続人が遺言を残さなかった場合でも、相続の方法が不適切なために特定の相続人の遺留分が侵害された場合には、同様に遺留分侵害額請求ができます。

遺留分侵害額請求の具体例

ここでは、被相続人である父親が、1億円の遺産を残して亡くなったケースを考えます。相続人が配偶者である母親と2人の子供だけである場合、父親が遺言を残さなかった場合、母親の相続する財産は5000万円です。残りの5000万円は2人の子供が均等に相続するので、1人あたりの相続額は2500万円です。

ですが、父親が上記以外の人間に財産の全てを相続させるという遺言を残した場合、他の相続人は自己の遺留分を主張できます。このケースの場合、母親と2人の子供が主張できる遺留分の合計は、相続財産全体の2分の1である5000万円です。

母親の遺留分は、そのうちの2分の1に相当する2500万円です。残りの2分の1は2人の子供の遺留分の合計額で、AとBの遺留分はそれぞれ1250万円です。

遺留分をあげたくない場合の方法

遺留分をあげたくない場合の方法

相続欠格を証明する

遺留分をあげたくない相続人がいる場合には、その相続人の相続欠格を証明できれば遺留分が自動的に消滅します。
相続欠格とは民法に定められている規定のことで、相続欠格になった相続人は、被相続人の相続財産を一切相続できなくなります。

相続欠格となるのは、相続人が被相続人や他の相続人を殺害したり、殺害しようとした場合です。被相続人が殺害されたのに、それを告発しなかった人も相続欠格になります。

詐欺や脅迫によって被相続人の遺言を妨害した人も、相続欠格になります。遺言書を偽造したり破棄した相続人も、相続欠格の対象です。これらの事実があったことを証明できれば、その相続人の遺留分は消滅します。

相続人廃除の申し立てをする

相続人廃除の申し立てをすることでも、特定の相続人の遺留分を消滅させることが可能です。
相続人廃除の申し立てができるのは、相続財産を所有している被相続人だけなので、被相続人が生存している間に手続きをする必要があります。

相続排除の申し立ての対象となるのは、被相続人を虐待したり、重大な侮辱をした人などです。
申し立てが家庭裁判所に認められれば、特定の人物を相続人から除外できるので、遺産を相続させないようにできます。

相続放棄してもらう

相続放棄してもらう

遺留分をあげたくない相続人がいる場合には、相続放棄をしてもらうことで遺留分を消滅させることも可能です。

相続放棄とは、被相続人の相続財産に関する全ての権利を放棄する手続きのことです。家庭裁判所に必要な書類を提出すれば、相続放棄ができます。相続放棄の手続きは期限があり、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、手続きをする必要があります。

遺留分放棄してもらう

遺留分放棄をしてもらうことでも、特定の相続人の遺留分を消滅させることは可能です。遺留分放棄とは、遺留分を有している相続人が、自己の遺留分を請求する権利を放棄することです。

遺留分の放棄をすると、遺留分を侵害されても遺留分侵害請求ができなくなります。

生命保険で遺産を受け継ぐ

遺留分をあげたくない相続人がいる場合には、生命保険を利用して遺産相続をする方法もあります。死亡により支払われる生命保険は、特定の相続人を受取人にした場合、その相続人の固有の権利となるからです。

そのために、遺留分の計算の基礎となる相続財産に保険金は含まれなくなるので、被相続人の残した財産が保険金しかない場合には、遺留分を支払わなくとも良くなります。

遺留分をあげたくない相続人にできる対処法

遺留分を特定の相続人にあげたくないという悩みを持っている人は、意外と多いものです。ですが、遺留分に関することは大きな揉め事に発展することも多く、また手続きも非常に煩雑です。

遺留分に関するトラブルを避けたい場合には、早めに法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。遺留分をあげたくない相続人に対する法的な対処の方法も、しっかりとアドバイスいたします。

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