コラム

遺産相続における離婚した元配偶者とその子供の順位とは

2022.08.10

遺産相続における離婚した元配偶者とその子供の順位とは

遺産相続における離婚した元配偶者とその子供の順位とは

遺産相続は被相続人が死亡して直ちに開始されます。相続は身近な問題ですが、法律用語も多く馴染みのない人が多いことでしょう。

今回は離婚した配偶者との間に子供がいるケースを想定して、元配偶者とその子供の相続権について詳しく解説していきます。

また再婚後の相続権の問題や、相続の際にトラブルが生じないための解決方法にも触れていきます。

離婚後に遺産相続されるのは子供だけ

離婚後に遺産相続されるのは子供だけ

死亡した被相続人には離婚した元配偶者と、その間にできた子供がいるとします。元配偶者とその子供に相続権があるのかそれぞれ見ていきます。

元配偶者に相続権はない

民法第890条によれば、被相続人の配偶者は常に相続人となり、被相続人の死亡時に相続権が発生します。

しかしながら離婚とは配偶者の地位を失い、親族関係を終了する手続きです。したがって離婚した元配偶者に相続権はありません

元配偶者との子供には相続権がある

民法第887条によれば、被相続人の子供は相続人となり、被相続人の死亡時に相続権が発生します。被相続人との親子関係は離婚後も当然に続いていきます。また実親子の親子関係を解消する法律は存在しません。

したがって離婚した元配偶者の子供にも相続権は生じます。遺産相続の順位は第1位となり、相続分は民法第900条以降の規定に従います。相続人が元配偶者の子供1人だけの場合には、その子供が全ての被相続人の遺産を相続、あるいは元配偶者の子供が2人いた場合には、相続分はそれぞれ2分の1です。

加えて元配偶者との子供がすでに亡くなっていて、その子供(被相続人から見て孫に当たる)がいた場合には代襲相続が可能です。

再婚後の相続に関する注意点

再婚後の相続に関する注意点

離婚した元配偶者とその子供がいた被相続人が再婚したとします。再婚したことにより相続権が変化するのか見ていきます。

再婚後も元配偶者の子供の相続権はなくならない

被相続人が再婚したからといって、被相続人と元配偶者の子供との親子関係は続きます。したがって、元配偶者の子供に相続権は発生します。
ただし新しい配偶者は常に相続人となるため(民法第890条)、相続分に変化は生じます。相続人が現配偶者と元配偶者の子供の場合、相続分はそれぞれ2分の1です。

元配偶者の子供と現配偶者の子供の相続分は同じ

再婚後新しい配偶者との間に子供ができた場合でも、被相続人と元配偶者の子供との親子関係は続きます。したがって、元配偶者の子供に相続権は発生します。

ただし現配偶者の子供にも相続権は発生するため、相続分は状況によって変化するので注意が必要です。例えば相続人が現配偶者と現配偶者の子供と元配偶者の子供の場合には、現配偶者の相続分が2分の1、現配偶者の子供と元配偶者の子供の相続分は4分の1です。

遺産分割協議は元配偶者の子供を含めた全員が参加する必要がある

遺産分割協議とは、被相続人の財産について法定相続人全員で話し合うことです。この遺産分割協議で遺産の分割内容や方法を決めます。

そして遺産分割協議で決めた内容は、法定相続人全員の合意がないと無効です。したがって、元配偶者の子供も含めて法定相続人全員が参加する必要があります。

離婚した前妻との間の子どもとの相続手続きの気をつけるポイント

離婚した前妻との間の子どもとの相続手続きの気をつけるポイント

上述したように遺産分割協議では元配偶者との子供を含めて、法定相続人全員で相続について話し合います。相続の問題はとかく感情的になりやすく、トラブルが生じやすいです。

遺産分割協議が不調に終われば、遺産分割調停や遺産分割審判となり時間とお金が余計にかかります。被相続人の死後相続で揉めないためにも、遺産分割協議で相続についてきちんと話し合う必要があります。

相続の内容について明確に話す

元配偶者の子供は被相続人と離れているため、被相続人の遺産内容について詳しくありません。

したがって被相続人の遺産がどの位あるかなど、相続の内容について明確に話し合いましょう。遺産隠しは遺産分割協議の無効事由となるため、包み隠さず開示してください。

トラブルにならないよう丁寧に接する

現配偶者の子供と元配偶者の子供とでは法律上立場は変わりません。しかしながら現配偶者の子供が元配偶者の子供に対して優越的な立場を取るというケースがしばしば見受けられます。

こうした態度を取ると相続人同士で感情的になり、遺産分割協議がスムーズに進行しません。丁寧な態度で接することでトラブルを未然に防ぎましょう。

スムーズに行かない場合は弁護士に相談する

遺産分割協議が平行線を辿り、どうしてもスムーズにいかない場合もあるでしょう。その場合は弁護士などの専門家に依頼するのも一つの手段です。

費用はかかりますが要点を整理し、第三者の視点に立って適切な遺産分割方法を提示してくれます。また万が一遺産分割調停などに移行した場合においても、代理人として処理にあたってくれます。

適切に対応をしてスムーズな遺産分割を心がけましょう

以上のように、被相続人の元配偶者の子供にも相続権は発生します。それは再婚後も変わりません。したがって元配偶者の子供も遺産分割協議に参加しますので、適切な対応をしましょう。

相続の問題は法律用語がからみ、複雑に感じる人が大半です。困ったときは自力で解決しようとせず、弁護士などの専門家に頼るようにしましょう。

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