コラム

遺留分侵害額請求とは?具体的な流れ・手続き方法と注意点を解説

2024.01.12

遺留分侵害額請求とは?具体的な流れ・手続き方法と注意点を解説

遺留分侵害額請求とは?具体的な流れ・手続き方法と注意点を解説

「遺留分侵害額請求とは?」「遺留分侵害額請求はどう進めるべき?」といった疑問を抱えていませんか?

遺留分侵害額請求とは、法律で保護された最低限の財産分配を受けられなかった相続人が侵害された分の財産を請求する権利です。相続人は被相続人の遺言や贈与によって自身の遺留分が侵害されたと判断した場合、請求を行えます。

この記事では、遺留分侵害額請求の正しい進め方と成功の鍵を明確に解説します。遺留分の侵害を立証する方法や遺留分侵害額の正確な算定方法、適切な法的手続きの進め方についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、法律で保護された最低限の財産分配を受けられなかった相続人が侵害された分の財産を請求する権利です。本制度は、相続人の公平な財産権を保護するために設けられています。

遺留分侵害額請求の定義

遺留分とは遺留分権利者(一定の相続人)について、被相続人の財産から保障されている最低限の取り分のことです。遺留分は、被相続人の生前の贈与や遺贈によっても奪われることはありません。

遺留分侵害額請求が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 遺留分権利者である
  • 遺留分を侵害されている
  • 侵害額を請求できる相手方がいる

相続の手続きをする際、被相続人の財産をめぐって相続人同士でトラブルが発生することも多いです。遺留分侵害額請求は、相続人が公平に財産を受け継ぐことを保証するための重要な法的手段とも言えます。

遺留分侵害額請求の対象となる相続人・財産

遺留分侵害額請求を行うことができるのは、法律で定められた相続人、すなわち被相続人の直系血族や配偶者です。相続人は被相続人の遺言や贈与によって自身の遺留分が侵害されたと判断した場合、請求を行うことが可能です。

対象となる財産は、被相続人が有していたプラスの財産や特別受益に該当する贈与が当てはまります。例をあげると以下の通りです。

  • 不動産
  • 預貯金
  • 株式
  • 価値ある遺品

遺留分侵害額請求の対象となる財産は、遺留分の計算に基づいて決定されます。差額が遺贈や贈与の価額を超える場合、差額に相当する金銭を請求できます。

遺留分侵害額請求権は、相続開始から1年間

遺留分侵害額請求権の行使には期限が設けられており、遺留分侵害の事実をを知った日から1年以内に行使しなければなりません。もし期限を過ぎてしまうと、時効によって遺留分侵害額請求権は消滅します。

そのため、相続人は遺留分を侵害するような遺言書を発見したり生前贈与の事実が発覚した場合には、速やかに遺留分の計算や請求に関する手続きを進める必要があります。時効の規定は相続に関するトラブルを迅速に解決し、法的安定性を確保するためにも重要です。

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求権の違い

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求権の違い

2019年7月1日に施行された民法の相続法改正により、遺留分減殺請求権は、遺留分侵害額請求権に改められました。どちらも遺留分を取得するための制度ですが、適用される状況と目的が異なります。

遺留分侵害額請求は、相続人が法律で保証された最低限の相続分(遺留分)を受け取れなかった場合、不足分を請求する権利です。被相続人が生前に遺言や贈与によって相続財産の大部分を特定の人物に渡してしまい、法定相続人が受け取るべき遺留分が侵害された場合に行使されます。

遺留分減殺請求権は、被相続人の遺言によって遺留分が侵害された場合、遺言を一部無効にして遺留分を確保するための権利です。主には、遺言により相続人が受け取るべき遺留分よりも少ない財産しか相続できない場合に行使されます。

法改正によって遺留分を侵害された相続人は、より簡単に遺留分を取得できる制度になったと言えるでしょう。

遺留分侵害額請求までの流れ・手続き方法

相続人間で話し合いを行い、合意がなかった場合に遺留分侵害額請求を行います。手続きの流れをまとめると以下の通りです。

  1. 内容証明郵便を送付する
  2. 遺留分侵害額の請求調停
  3. 遺留分侵害額請求訴訟を行う

それぞれ詳しく解説します。

内容証明郵便を送付する

相続人同士での話し合いで話し合いがまとまらない場合、内容証明郵便を用いて正式に遺留分侵害額請求を行いましょう。

内容証明郵便を送付することで、請求が行われた日時と内容が正式に記録され、後の法的な争いにおいて請求が行われたという証拠となります。

遺留分侵害額の請求調停

内容証明郵便を送付した後、相手方から適切な反応が得られない場合、次の段階として家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てます。調停は裁判所が中立的な立場で双方の意見を聞き、合意に基づいた解決を目指す手続きです。

調停では裁判官や調停委員が双方の主張を聞き、適切な解決策を提案してくれます。双方にとって受け入れやすい解決が期待されるため、調停が成立することも多いです。

遺留分侵害額請求訴訟を行う

調停が不成立に終わった場合、最終的な解決手段として遺留分侵害額請求訴訟を裁判所に提起します。訴訟では遺留分が侵害されたことや請求する遺留分の額、その他の関連事実を立証する必要があります。

訴訟はより正式で厳格な手続きを伴い、裁判所が最終的な判断を下す場所です。訴訟の結果、遺留分侵害額請求が認められた場合、裁判所は、遺留分侵害額の支払いを命じる判決を下します。

遺留分侵害額請求の成功ポイント

遺留分侵害額請求の成功ポイント

遺留分侵害額請求を成功させたい場合、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 遺留分の侵害を立証する
  • 遺留分侵害額を正確に算定する
  • 弁護士へ依頼して適切な手続きを踏む

それぞれ解説します。

遺留分の侵害を立証する

遺留分侵害額請求を成功させるためには、まず遺留分が実際に侵害されたことを明確に立証しましょう。主には遺言書や贈与契約書、などの法的文書を用いて、遺留分が侵害された事実を証明します。

また、相続財産の詳細なリストや評価書、相続人の戸籍謄本・住民票なども重要な証拠です。文書を通じて、相続財産の総額や各相続人が受け取るべき遺留分の額、受け取った額などを明らかにします。

支払額を明確化し、遺留分が法定の範囲を超えて侵害されていることを示すことが大切です。

遺留分侵害額を正確に算定する

遺留分侵害額の正確な算定は、請求の成功に不可欠です。遺留分侵害額は、法定の遺留分から実際に受け取った相続分を差し引いた額で計算されます。

計算式は「遺留分侵害額 = 法定遺留分 ー 実際に受け取った相続分」です。正しい額を導き出すためには、相続財産の正確な評価と各相続人の法定相続分の理解をしなくてはいけません。

また、遺留分の計算には遺言による指定や贈与などの考慮も必要です。正確な算定は、請求の根拠を強固にし、裁判所における主張の信憑性を高めます。

弁護士へ依頼して適切な手続きを踏む

遺留分侵害額請求を成功させたいなら、弁護士に依頼して適切な手続きを進めることを検討しましょう。自分たちだけで手続きを進めると、どうしても感情的になってしまい争いが激化する恐れもあります。

手続き内容によっては複雑なものもあり、法律の専門知識が必要です。弁護士に任せれば、内容証明郵便の作成だけでなく調停や訴訟の申立て、証拠の収集と提示などをサポートしてくれます。

もし遺留分侵害額請求でお悩みであれば、「船橋・習志野台法律事務所」にご相談ください。船橋・習志野法律事務所では、相続や相続放棄に関する支援をしています。相続でお悩みの場合や、生前に相続に関する対策をしておきたい場合はぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ

遺留分侵害額請求を行うことができるのは、法律で定められた相続人、すなわち被相続人の直系血族や配偶者です。手続きは、法的な知識や経験が必要な場合が多く、一般の人にとっては非常に複雑で難しいものになります。

遺留分侵害額請求を成功させたい場合、遺留分の侵害を立証したり侵害額を正確に算定することが大切です。ぜひ本記事を参考にして、遺留分侵害額請求の手続きを進めてみてください。

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