コラム

遺産分割協議で実家の相続争いになった時の解決方法とは

2023.12.27

遺産分割協議で実家の相続争いになった時の解決方法とは

遺産分割協議で実家の相続争いになった時の解決方法とは

船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村です。

遺産分割協議で難航しやすいのが両親がともに亡くなった後の実家の扱いです。特に相続人のうち一人だけが実家に居住している場合は遺産分割協議がまとまるのに時間がかかると言われております。

また、実家が空き家となっている場合でも、各相続人で残った実家に対する思い入れに差があり、すんなり売却で合意できない場合があります。

本コラムでは実家をめぐる相続争いの解決方法を解説します。

相続人のうち一人が実家に居住している場合

相続人のうち一人が実家に居住している場合

実家に住み続ける動機があると難航する

相続人のうち一人が実家に居住している場合で、特に遺産分割協議に難航するのが、当該居住者にあまり資力がなくとか長年引きこもりになっていて精神的に不安定な場合など、実家に住み続ける動機が強いケースです。

こうしたケースだと、他の相続人が連絡を試みても、返事がなく手紙を送っても全く音沙汰がないことが珍しくありません。このような状況になれば、速やかに弁護士へ相談しそのまま依頼するのがよいでしょう。

弁護士であれば、司法書士や行政書士と違ってそのまま居住相続人と交渉ができますし、返答がなければ、遺産分割の調停を申し立てることができます。

弁護士に遺産分割の調停申立てを依頼した場合、依頼をした相続人と弁護士が一緒に家庭裁判所に出頭することが多いです。

弁護士に任せる方法もある

ただ、実家を売却してその代金を法定相続分どおりに分けたいだけなら、あえて、依頼者(非居住相続人)が出頭する必然性はなく、弁護士へ任せるのが楽でしょう。

弁護士だけが出席した場合に、依頼者の意向を確認しないで勝手に調停を成立させることはありませんから、調停期日の間で、打合せをきちんと行うことで、自ら平日の調停期日に出頭しなくても遺産分割の協議を進めることができます。

もし、調停がまとまらなくても、審判に移行して、裁判官が実家の競売を命じることができます。この場合には、居住相続人の意向に関わらず、競売手続により実家の売却が実現されることも期待できます。

もっとも、居住相続人が退去しないまま競売の手続きが進んでも、誰も落札する人がなく競売が不調で終わる恐れもあります。

なので、競売は最終手段ですが、競売手続きが始まってからも、居住相続人と交渉して自主的な退去を促し競売によらず、実家を売却する余地があります。

非居住相続人が代償金を支払い単独取得する

また、競売での落札が期待できない場合、非居住相続人が裕福であれば、他の相続人の持ち分に相当する価額(これを代償金といいます)を準備して、代償金を支払う代わりに、実家を単独取得する方法もあります。

この方法なら、非居住相続人は単独所有者となるので、居住相続人に対して建物明渡訴訟を提起して、明渡の強制執行を実現する方法があります。

強制執行には100万円から数百万円の費用がかかりますが、競売手続では直接、居住相続人を追い出すことができないので、明渡訴訟を睨んで単独取得を目指す方法もあります。

もっとも、実家の不動産市場での価値があまり高くないのであれば、競売や明渡は費用負担ばかりが先行してしまいます。

その場合、居住している相続人に5年か10年程度でで実家の居住する期間を設定し、その期間経過後に売却をして売却代金は非居住の相続人が多くもらうといった先送りのやり方もあり得ます。

実家に誰も居住していない場合

相続人のうち一人が実家に居住している場合

誰も実家に居住していない場合、通常、売却を妨げる事情がなく、遺産が実家だけなら、紛争に発展する可能性は低いです。このケースでは、実家以外に遺産の不動産があってそれとの兼ね合いで協議が難航する可能性が増えてきます。

そうすると、以下の2つのような事案が出てくることがあります。

ケース①実家だけ先に売却することを反対する

実家以外に不動産が遺産に含まれる場合、よほどの富裕層でない限り、実家より流動性の低い山林であったり農地であったり、市街化調整区域などで建築が制限されている土地であることが多いです。

これらの扱いづらい土地の分配方法が決まらないうちに、実家だけ先に売却をすることに反対する相続人が出てきます。

この場合は、誰も実家に居住をしたい相続人がいないので、売却が遅れるほど固定資産税、庭木の処理などで管理費用が発生してしまいます。

また、空き家での火災等のリスクがあることから損害保険料の負担も考える必要があります。なので、こうした維持費の損失を売却に反対する相続人に丁寧に説明して、他の土地を後回しにしてでも売却する必要性を説明すべきでしょう。

仮に売却代金の分配方法が決まらないのなら、弁護士へ遺産分割の交渉を依頼して、売却代金を弁護士の預り金口座で保管する方法もあります。

ケース②住人がいない実家に居住をする希望する相続人がいる

実家に思い入れがあって換価処分に抵抗を示す相続人がいたり、賃貸物件に居住している相続人が実家への居住を希望するなどして、売却で合意が出来ない場合もあります。

この場合、実家を利用したい相続人がいるので早期売却は容易ではありません。築年数が50年とか60年以上であれば、やはり維持費の負担を説明したうえ実家の利用を諦めてもらうという方法があり得ます。

一部の相続人が実家の利用、居住に拘る場合には、預金を諦めてもらったり、他の流動性の低い土地もまとめて取得してもらうといった交換条件を提案して、協議を進めるのがよいでしょう。

物別れのままの審判移行はほとんどメリットがない

実家に相続人の一人が居住している場合、誰も居住していない場合、いずれのケースでも協議がまとまらなければ、遺産分割の調停が不成立になり、審判に移行して裁判官が一方的に遺産の分配方法を決めてしまいます。

そうすると、多くの不動産が各相続人の共有と言う形で審判が出ることもあり、そうすると、遺産分割の紛争を持ち込んだまま、不動産を相続人同士で共有して誰も身動きが取れなくなります。

話し合いで全てが決められれば、不動産を有効活用できるし、審判移行後に想定される競売や明渡の強制執行の費用も発生しないので、安易に話し合い(調停成立)の可能性を放棄すべきでないでしょう。

実家をめぐる相続争いは話す内容も複雑になることが多く、揉め事にも繋がりやすいので専門的な知識をもった弁護士に介入してもらうことをおすすめします。

船橋・習志野法律事務所では、相続問題や相続放棄に関するご相談を多く承っております。ぜひお気軽にご相談ください。

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