コラム

遺産分割協議は相続人全員で行う必要あり?遺産相続で必要な条件とは

2022.10.14

遺産分割協議は相続人全員で行う必要あり?遺産相続で必要な条件とは

遺産手続きをするにあたって必要なことが多い遺産分割協議。遺産分割協議書がないと、故人が所有していた財産の名義変更ができないため、相続の手続きがスムーズにできないこともあります。
では、遺産分割協議は相続人全員で話し合いをしなければならないのでしょうか。ここでは、遺産分割協議が全員で行う必要があるケースや条件について詳しく解説します。

遺産分割協議は原則全員で行う

遺産分割協議は全員で行わなければならない?

全員で行う必要がある場合

故人の相続人が複数いる場合、相続人は故人の財産を誰が相続するのかを遺産分割協議の話し合いで決めます。遺産分割協議の前提として、相続人全員が話し合いに合意しているという条件があり、合意がないと話し合いで相続の分割はできません。

そのため、遺産分割協議を行う時には、原則として相続人全員で話し合いを行う必要があります。相続人が一人でも欠けているのにも関わらず遺産分割協議を行った場合、その遺産分割協議は無効です。しかし、全員が同じ場所で話し合う必要はなく、電話などを通して合意をすれば遺産分割協議は有効とされています。

全員の参加が不要な場合

では、全員の参加が不要な時はどのような時でしょうか。
遺産分割協議は相続の時に必ず必要になるとは限りません。遺言書がある場合には、故人が遺言書で残した内容によって相続が分割されるため、遺産分割協議自体の必要がなくなります。相続人が一人だけの場合にも同様です。

自分の法定相続分の権利を他の人に譲ることを相続分譲与といいます。相続分譲与ができる相手は、他の相続人か第三者は問われません。遺産分割前に相続分譲渡を行うことで、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。

故人の財産が現金と預金だけという場合、現金は相続人で分割すればよく、届出や遺産分割協議書の作成は不要です。預金においても、金融機関で相続人全員の名前を記入すれば引き出すことができます。

相続人が特殊な場合の対処法

相続人が特殊な場合はどうする?

相続人が未成年の場合

遺産分割協議で、相続人が未成年の場合、未成年者も含めて全員の同意を得なければなりません。相続人が未成年者の場合でも、年齢に関係なく相続ができますが、法律行為を行う上で法定代理人の同意が必要です。
通常であれば親権者が法定代理人になることが多いですが、相続では子供が相続人になる場合、親が未成年の子供に代わって代理人になることはできません。

親権者に代わる代理人として、弁護士などが特別代理人になるケースが多いです。遺産継承権のない法定代理人が未成年に代わって遺産分割協議に参加します。

相続人が認知症の場合

相続人のうち一人が認知症を患っており判断能力がないと判断される場合、遺産分割協議ができません。
遺産分割協議で話し合いを行うためには、意思能力が必要とされているからです。認知症の場合、意志判断できない相続人に代わって遺産分割協議に参加する後見人という代理人を立てて手続きを行います。後見人の選任は、家庭裁判所に申立を行い、家庭裁判所が最適な人を判断する流れです。

相続人が海外在住の場合

相続人が海外在住者の場合でも、他の相続人と同じように遺産分割協議に参加しなければなりません。
海外にいる相続人を外して遺産分割協議を行っても無効であり、日本に帰国ができない事情がある時には、テレビ電話や電話などで話し合うことが可能です。

書類のやり取りを海外と行わなければなりませんが、海外に居住して日本に帰らずに遺産分割協議を実施しているケースも多いです。

相続人が行方不明の場合

相続人が行方不明者の場合でも、行方不明者抜きに遺産分割協議を行うことはできません。生存していることはわかっていて、現住所を確認できず、連絡も取れない場合、家庭裁判所に不在者の財産管理人を選任してもらいます。財産管理人が遺産分割協議に参加することで、財産分割協議を進めることが可能です。

相続人が7年以上失踪していたり、危難に遭遇して1年間生死が不明な場合には、家庭裁判所に請求し失踪宣告を行います。この場合相続人が死亡したものと扱われ、遺産分割協議を行うことが可能です。

災害などによって死亡した可能性が高いものの、遺体を発見できていない行方不明者の場合、戸籍上死亡したとみなす死亡認定があります。死亡認定は警察署や消防によって行われ、遺産分割協議を進めることが可能です。

遺産分割協議書は全員の署名が原則必要

遺産分割協議書は全員の署名が原則必要

遺産分割協議を得て決定された遺産分割協議書は、相続人全員の署名と捺印が必要です。相続人が数十人といる場合や相続する価値が低い財産でも、現相続人全員の署名と捺印が必要とされるので注意しましょう。

印鑑登録証明書の有効期限は3ヶ月以内のため、署名と捺印を集めるだけで期限が切れてしまうことがあります。相続人が多ければ多いほど、連名のため時間がかかってしまうのがデメリットです。

価値が低い相続の場合、相続放棄をしてもらうことで署名捺印が不要になります。相続分譲渡を行うことでも同様に署名捺印が不要で、遺産分割協議書の作成が可能です。相続放棄申述受理証明書や相続分譲渡証書等を遺産分割協議書に添付して、提出を行いましょう。

遺産分割協議は基本的に全員で

遺産分割協議は、基本的には全員が参加して行わなければなりません。
相続人が未成年の場合や認知症の場合でも、代理人を立てて行います。相続人が行方不明者の場合には、死亡とみなす制度を利用することで遺産分割協議を進められ、相続人が海外居住者の場合、テレビ電話などで話し合いを行うことが可能です。

相続放棄や相続分譲与を行う場合には、全員が参加する必要はなくなり、スムーズな相続ができます。

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