コラム

相続放棄を背景に債務の減額交渉をする方法

2023.02.24

相続放棄を背景に債務の減額交渉をする方法

相続放棄を背景に債務の減額交渉をする方法

船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村です。

親の死後も親名義の自宅に居住し続ける際、亡くなった親が多額の借金を残していた場合は借金も引き継ぐ必要があります。

全てを放棄するか、借金を丸抱えするかの0か100だけの対応ではなく、中間的な対応もあります。

具体的には、相続放棄という借金が帳消しになる手段を持っていることを背景に、債権者と借金の減額交渉をする余地があります。

今回は、遺族が債権者と行う具体的な減額交渉について解説いたします。

遅延損害金をカットして元本返済のみで合意する方法

遅延損害金をカットして元本返済のみで合意する方法

亡くなった人の借金で比較的多いのは、借金の元金は数百万円ほどでも遅延損害金が数千万円に及んでいる場合です。

亡くなるまで借金が残っているケースは長期間、借金が放置されていることが多いからです。

一方で、債権者も時効消滅を免れるために「とりあえず1,000円だけでも払ってくれ」と忘れた頃に請求をして応じさせるケースがあり、これに応じてしまう人が多く見受けられます。

その結果遅延損害金が膨れ上がった状態で亡くなってしまい、残された相続人は消滅時効の主張ができず困ってしまうのです。

もっとも、債権者の側も相続放棄をされて1円も返済されないことと比較すれば、元金だけでも返済してもらった方が得です。まして、遅延損害金は実際に貸し付けた金額ではなく、計算上の数値に過ぎません。

そのため、元金さえ返済してくれれば遅延損害金の部分は免除しますという対応を引き出すことも十分にできるわけです。

一括払いを条件とする減額交渉

一括払いを条件とする減額交渉

もともとの借金が例えば1,000万円あったとしても、一括払いを条件に減額で合意できることがあります。

どれくらいの割合の減額で合意できるかは相続人の資産次第になりますが、債権者側からしても10年以上かけて1,000万円の返済の約束をしても、10年間返済管理をするのは大変なこと。

なにより相続人が返済期間中に病気等で失業すれば結局返済ができなくなってしまいます。

そのため即時に300万円でも500万円でも確実に回収できるなら、そのほうが債権者にとっても得ということがあります。

まして、遺族が相続放棄をしてしまえば、債権者は1円も返済を受けられません。相続放棄の手段以外に、一括返済が実現できるのであれば、積極的に減額交渉をすべきでしょう。

相続放棄の申述期間に気をつける

相続放棄の申述期間に気をつける

相続放棄の申述期間は亡くなってから、または借金の存在を知ってから3ヶ月以内とされています。

そのため、3ヶ月以内で債権者との減額交渉で成果を得るには細かい駆け引きをしている暇はなく、端的に「いくらまでなら支払える」といった提案を早急にすべきでしょう。

どうしても3ヶ月以上かかりそうなら、相続放棄の期間延長の申し出をすることも考えられます。

その他に相続放棄後であっても、遺産の処分をして単純承認の効果を得るという方法も有りえます。

ただこの方法は、実際に承認の効果を得られるか不透明な部分もありますので、確実な手段として位置づけることはできません。

借金の減額交渉は弁護士へ依頼することが効果的

借金の減額交渉は、相続放棄に関係しなくても、弁護士の典型的な業務です。

まして、相続放棄の手段を持った中での交渉なら、弁護士へ委任したうえでの交渉であれば債権者も応じざるを得ないでしょう。

特に、売却ができず住み続けている自宅を相続したいが借金もあるという事例では弁護士へ依頼しての減額交渉は有力な選択肢の一つでしょう。

相続放棄をして自宅を手放せば、新たな住居の購入や賃借の費用はかなり高額になり債務減額を視野に相続をするという手段があるのです。

  1. 相続放棄できるか不安
  2. 手続きするのが面倒
船橋・習志野台法律事務所なら 相続放棄は来所不要です
  1. メールでのやり取りのみ
    でOK
  2. 支払いは着手金のみ
  3. 困難事例も対応可
まずは専用フォームより相談内容を教えてください
相続放棄相談専用フォームはこちら
船橋習志野台法律事務所|初回60分無料 土日祝日・夜間20:30まで ご相談のお問い合わせはこちら