コラム
相続放棄した車は処分できない?車を相続したらすべきこと・注意点を解説
2023.09.26
相続放棄した車は処分できない?車を相続したらすべきこと・注意点を解説
被相続人が亡くなり財産を相続すると、その処理に困ってしまうことがあります。
相続財産の扱いで注意したいのが、被相続人の車についてです。
被相続人の車に乗りたくなったり、処分したくなったりすることがありますが、被相続人の車の扱いには注意が必要です。相続放棄をしないまま、もしくは相続放棄をしたあとでも、被相続人の車に乗ったり処分したりすると単純承認とみなされる可能性があります。
この記事では、相続財産として車を相続した場合の注意点について解説します。
目次
相続放棄したら被相続人の車を処分できない
相続放棄をしたら、基本的には被相続人の車を処分することができません。相続放棄するまで、また相続放棄したあとも、勝手に処分すると単純承認したとみなされる可能性があります。
単純承認とは、被相続人の相続財産を、プラスマイナス関わらず無条件かつ全て相続することです。単純承認したとみなされると相続放棄ができなくなり、財産管理責任を負うことになる可能性があります。
ただし、場合によっては処分しても問題ない、または相続の対象にならない場合もありますので、以下よりケース別に解説します。
車に価値がある場合
被相続人の相続財産の中に車があった場合は、被相続人の車の査定を中古車買取業者に依頼することをおすすめします。
査定の結果、資産価値があると判定された場合には、勝手に乗る、売却するなどの行為をすると単純承認したとみなされる可能性があるので注意が必要です。
被相続人の車に資産価値があり、相続人全員が相続放棄している場合は、相続財産管理人に処分を依頼します。相続財産管理人とは遺産を管理する人で、家庭裁判所で選任されます。
車に価値がない場合
査定の結果、車に価値がないと判定された場合は、基本的には相続人が処分してもよいとされています。
ただし、本当に価値がないのか客観的に判断するためにも、複数の中古車買取業者に査定をしてもらうのがおすすめです。また、車に価値がない場合の処分は基本的には問題ないとされていますが、確実とは言えません。処分前に弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
車にローンが残っている場合
被相続人の車がローン支払い中である場合、車の名義がディーラーやローン会社である可能性があります。
車の名義が被相続人以外の場合は、相続の対象となりません。車の名義人であるディーラーもしくはローン会社に連絡して、対応を決めることになります。被相続人が亡くなったらまず、車の価値と名義を調べることが重要です。
相続放棄した車の処分方法をケース別に解説
車を相続放棄した場合の処分方法について、以下のケース別に解説します。
- 車両の名義が被相続人ではない場合の処分方法
- 相続放棄していない相続人が1人、または複数の場合
- 相続人全員が相続放棄している場合の処分方法
車両の名義が被相続人ではない場合の処分方法
車両の名義が被相続人ではなく、ローン会社やディーラー、クレジット会社などであるケースです。この場合は車の所有権は被相続人にはなく、車の名義となっている会社(もしくは個人)にあります。
相続の対象とならないので、所有者となっている会社または個人に連絡をして対応を決めることになります。
被相続人の相続財産の中に車があった場合は、まず名義や所有権について確認しましょう。
相続放棄していない相続人が1人、または複数の場合
相続放棄していない相続人が1人いる場合は、被相続人の車はその相続人が相続したことになります。被相続人の車については、相続した人が使用する、処分する、売却するなどの方針を決めることが可能です。
相続放棄していない相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行った上で相続した車の扱いを決定します。
相続人全員が相続放棄している場合の処分方法
相続人全員が相続を放棄している場合は、家庭裁判所で選任された相続財産管理人が相続財産の精算を行います。
ただし、相続財産管理人を選任するためには数10万〜100万円程度の予納金が必要となるので、支払いについて相続人の間で取り決めておくことがおすすめです。
車を相続放棄する際の注意点
車を相続放棄する際に注意したい、以下のポイントについて解説します。
- 被相続人の車を使用しない自動車保険の解約タイミングに気をつける
- 自動車税を滞納している場合は支払いが必要になる
被相続人の車に乗らない
被相続人の車の処分方法が決定するまでは、その車を使わないようにしましょう。(移動、管理のための必要最低限の運転なら大丈夫です)
相続放棄前に勝手に車に使ってしまうと、単純承認したとみなされる可能性があります。勝手に売却してしまった場合も同様です。また、相続放棄の申立をしたあとでも、車に乗ったり売ったりしてしまうと単純承認とみなされる可能性があるので、注意が必要です。
自動車保険の解約タイミングに気をつける
故人が入っていた自動車保険も、勝手に解約や名義変更を行ってしまうと単純承認とみなされる可能性があります。
自己判断で解約や名義変更はせず、弁護士や司法書士に相談しましょう。
自動車税を滞納している場合は支払いが必要になる
自動車税を滞納している場合は、相続人が代わりに支払うことになります。滞納分の自動車税の支払いは相続財産の処分とはみなされないため、支払っても単純承認とはなりません。
ただし、相続人の相続財産の中から支払ってしまうと、単純承認とみなされる場合があります。自動車税についても、弁護士や司法書士に確認するのがおすすめです。
まとめ
相続財産として車を相続した場合は、遺産分割協議を終えないまま車に乗ったり処分したりしてしまうと、単純承認とみなされる可能性があるので注意が必要です。また、相続放棄したあとでも、車を使用したり処分したりすると単純承認とみなされる可能性があります。
ただし、車に価値がない場合は乗ったり処分したりしても問題ないとされていますが、確実ではないので弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
車を相続したら、車の名義や所有権、価値などについて調べ、処分方法を決定することが重要です。調査すべきことが多く、手続きも煩雑になりがちなので、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。