コラム

成年後見人による使い込みが判明、対処法や事前の対策にはどんなものがある?

2022.11.04

成年後見人による使い込みが判明、対処法や事前の対策にはどんなものがある?

成年後見人による使い込みが判明、対処法や事前の対策にはどんなものがある?

意思決定や判断能力に問題がある人の資産は、成年後見人が管理することで、本人にとって不利な契約を防ぐことができます。

一般的には親族や弁護士、司法書士などが成年後見人に選任されますが、身内という気安さからか、成年後見人となった親族による資産の横領が多発しています。こちらでは、成年後見人の使い込みが発覚したときの対策やトラブル回避の方法について見ていきましょう。

成年後見人による使い込みは犯罪

成年後見人による使い込みは犯罪

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害などで判断力が欠如した人が不利益を被らないように、家庭裁判所が選任した成年後見人が本人(被後見人)に代わって財産管理や契約などを行う制度です。

成年後見人になるには特別な資格は不要で、親族がなることもありますし、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家が選任されることもあります。基本的には、成年後見人は本人の存命中に継続して資産管理を行います。

成年後見人選任申立時に候補者として選任してほしい人を記載することはできますが、最終的には家庭裁判所の審判によって決まりますので、希望通りになるとは限りません。また、特段の事情なしに裁判所の審判に対して不服を述べることも不可能です。

使い込みは業務上横領になる

裁判所から選任された成年後見人が資産の使い込みをした場合、業務上横領に該当します。たとえ使い込みをしたのが親族であっても、成年後見人としての業務遂行中に横領をしたという扱いになりますので、逮捕される可能性があります。

業務上横領は刑法第253条で10年以下の懲役という法定刑になっており、一般的な横領罪が5年以下の懲役であることに比べても重罪です。

成年後見人による使い込みが判明したらどうするか

成年後見人による使い込みが判明したらどうするか

成年後見人による使い込みが判明した場合、その成年後見人を解任すること、使い込んだ資産を取り戻すことが急務です。

解任申請をする

使い込みのような不正行為があった場合、家庭裁判所に成年後見人解任の申立てをすることができます。ただし、裁判所は直接調査を行うわけではありませんので、申立時に不正の証拠をそろえて解任事由を具体的にまとめなければなりません。

書類の用意ができたら、家庭裁判所に備えてある書式を使って解任の申立書を作成し、証拠類と800円の収入印紙、裁判所が定める金額の郵券を添えて、本人(成年被後見人)の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

解任申立てをすると、家庭裁判所は添付された証拠類の審査や申立人、成年後見人等の主張を聞き取り、解任事由に相当すると認められた場合には解任の審判を決定します。

反対に、解任事由に相当しないと判断された場合には、申立てが却下されるという流れです。成年後見人が解任されれば、すぐに新たな後見人を選任しなければなりません。自動的に次の後見人が選任されるわけではありませんので、速やかに成年後見人選任申立てを行いましょう。

損害賠償請求などの訴訟を起こす

刑事事件で業務上横領の罪に問うことができますが、使い込まれた資産を取り戻すには、民事事件として訴訟を起こさなければなりません。

本人にとって不利な契約などを行い、損害を与えた場合には損害賠償請求、資産を使い込んだ場合には不当利得返還請求となります。訴訟は書類の作成や証拠の作成、裁判所への出廷など負担が大きいため、弁護士に相談した方が良いでしょう。

トラブルにならないためには

トラブルにならないためには

任意後見制度を利用する

任意後見制度とは、本人が自分で判断できる内に、将来的に判断能力が衰えたときの準備をしておく制度です。具体的には、本人が選んだ任意後見人と本人が任意後見契約を結び、本人に判断能力の問題が生じたときに後見人になってもらいます。

まず、公証人に依頼して任意後見契約を公正証書として作成してもらいます。その後、本人の判断能力が低下した時に、家庭裁判所に公正証書を添えて任意後見監督人選任の申立てを行いましょう。

裁判所で任意後見監督人が選任されると、任意後見人が本人の財産管理を行い、任意後見監督人がその仕事内容を監督します。

後見制度支援信託を利用する

後見制度支援信託とは、まとまった資産を管理しなければならない場合、弁護士や司法書士が専門職後見人となって信託銀行等と契約を結び、財産を信託する手続きです。

日常的に必要な金額は定期的に成年後見人の口座に振り込まれ、突発的に必要な支出が発生した場合、裁判所の指示により金銭の交付を受けることができます。

成年後見人が自由に金銭を引き出せないため、使い込みの対策として有効です。

不安や分からないことがある場合は弁護士に相談を

成年後見人による使い込みは、本人や周りの人からはなかなか気付きにくいものです。

また、実際に使い込みが判明しても迅速な手続きが求められる上、内容は複雑で難解なことも多く、スムーズに進めるのは難しいでしょう。

成年後見人の手続きに関して不安なことや分からないことがあれば、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

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