コラム
財産放棄・相続放棄の違いやメリット・デメリットとは?選び方と手続き方法を解説
2024.02.28
財産放棄・相続放棄の違いやメリット・デメリットとは?選び方と手続き方法を解説
「財産放棄と相続放棄の違いは?」「メリット・デメリットや選び方は?」などと悩んでいませんか?
財産放棄は特定の遺産のみを選択的に放棄できますが、相続人としての責任や義務が継続します。相続放棄は相続に関する義務がなくなる一方で、一度放棄すると撤回ができないため、選ぶ際には慎重になるべきです。
本記事では、財産放棄と相続放棄の基本的な違いやメリット・デメリット、手続き方法を詳しく解説します。財産放棄と相続放棄のどちらを選ぶかを見極めるポイントもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
財産放棄と相続放棄の基本的な違い
財産放棄(遺産放棄)とは、相続人が遺産を受け取る意思がないことを他の相続人に伝える行為です。財産放棄は法的な手続きではなく、相続人間の合意に基づくもので、相続人としての法的地位は変わりません。
一方、相続放棄は家庭裁判所に申し立てを行い、相続人としての地位自体を放棄する法的な手続きです。相続放棄が成立すると法的に相続人ではなかったとみなされ、相続権を失います。
相続における権利と義務に大きな影響を及ぼすため、違いを理解しておくことが大切です。
財産放棄のメリットとデメリット
ここでは、財産放棄のメリットとデメリットについてまとめます。
メリット
財産放棄のメリットは以下のとおりです。
- 特定の遺産のみを選択的に放棄できる
- 相続人としての地位を保持し、後から遺産を受け取る選択が可能
- 相続トラブルを避けるための柔軟な対応が可能
財産放棄を行えば、特定の遺産のみを選択的に放棄することが可能です。相続人は自分にとって不利益な遺産を避け、欲しいと思う遺産のみを受け取れます。
また、財産放棄を行っても相続人としての地位は保持されるため、後から状況が変わった場合に遺産を受け取ることも可能です。さらに、相続トラブルを避けるために柔軟な対応ができ、相続人間の合意に基づいてスムーズな解決を図れます。
デメリット
財産放棄のデメリットは、以下のとおりです。
- 債務の返済義務が生じる可能性がある
- 相続人としての責任や義務が継続する
- 他の相続人との関係が悪化するリスクがある
財産放棄の最も大きなデメリットは、債務の返済義務が生じる可能性がある点です。財産放棄を行っても、相続人としての法的地位は変わらないため、被相続人の負債に対する責任が残ります。
相続人としての責任や義務が継続するため、相続に関するトラブルや責任から完全に逃れることはできません。他の相続人との関係が悪化するリスクもあり、相続の過程で意見の対立が生じた場合、関係性が悪化する可能性もあります。
相続放棄のメリットとデメリット
次に、相続放棄のメリットとデメリットをまとめます。
メリット
相続放棄のメリットは以下のとおりです。
- 債務の返済義務から完全に逃れられる
- 相続トラブルから距離を置ける
- 相続に関する義務がなくなる
相続放棄における最大のメリットは、債務の返済義務から完全に解放されることです。相続放棄をすれば、被相続人が残した借金やその他の負債を一切引き継ぐ必要がなくなり、負債が多い場合に有効です。
また、相続トラブルから距離を置けるため、相続人間の複雑な関係や争いから自身を守ることが可能になります。法的に相続人ではなくなるため、相続に関する義務や手続きからも解放されます。
デメリット
相続放棄のデメリットは以下のとおりです。
- 一度放棄すると撤回ができない
- 被相続人の全ての財産を受け取ることができなくなる
- 手続きが複雑であり、家庭裁判所への申述が必要
相続放棄のデメリットとして、一度相続放棄を行うと撤回できない点があります。もし後になって遺産の価値を再評価したいとなっても、申請ができないため注意が必要です。
また、被相続人の全ての財産を受け取れなくなるため、価値ある資産や有利な遺産も放棄することになります。さらに、家庭裁判所への申述が必要となり、適切な書類の準備や期限内の手続きが求められます。
相続放棄の手続きは、弁護士に依頼することで手続きをスムーズに行うことができ、トラブル回避にもつながります。
財産放棄・相続放棄どちらを選ぶか見極めるポイント
財産放棄と相続放棄どちらを選ぶか迷った際には、以下のポイントを押さえて選ぶようにしましょう。
- 被相続人の財産の内容
- 相続人自身の経済状況
- 相続人同士の関係
それぞれ詳しく解説します。
被相続人の財産の内容
相続を検討する際、重要なのは被相続人の財産の内容を詳細に把握することです。財産には不動産や預貯金、貴重品などが含まれますが、借金や負債も同じく該当します。
財産の総額がプラスであれば、相続放棄よりも財産放棄の方が適している場合があります。一方で、負債が財産を上回る場合は、相続放棄が有効な選択肢となるでしょう。
財産の種類や価値、負債の額を正確に理解することが、適切な選択をするための第一歩です。
相続人自身の経済状況
相続人自身の経済状況も、財産放棄か相続放棄かを決定する上で重要な要素です。自身の財政状況が安定しており、被相続人の負債を引き受ける能力がある場合は、財産放棄を選択すると良いでしょう。
しかし、自身の経済状況が不安定で追加の負債を負う余裕がない場合は、相続放棄によって負債から逃れるのが賢明な選択です。将来の計画や目標も考慮に入れ、相続によって生じる財政的影響を総合的に評価しましょう。
相続人同士の関係
相続人同士の関係性も、財産放棄と相続放棄の選択に大きく影響します。相続人間の関係が良好で遺産分割に関して合意が容易に達成できる場合は、財産放棄の選択がスムーズに進む可能性が高いです。
一方で、相続人間に争いがある場合や関係が複雑である場合は、相続放棄によってトラブルから距離を置けます。相続トラブルは精神的なストレスを引き起こすことが多いため、相続人同士の関係性を慎重に考慮し、平和的な解決を目指すことが望ましいです。
財産放棄・相続放棄の手続き方法の違い
最後に、財産放棄・相続放棄の手続き方法の違いについてまとめます。
財産放棄の手続き方法
財産放棄の手続きは、相続人間での遺産分割協議の中で行われます。比較的シンプルで、法的な手続きを必要としません。
遺産分割協議では、相続人が遺産を受け取る意思がないことを他の相続人に伝えて合意を得ます。遺産分割協議書に遺産を受け取らない旨を記載し、全員が署名・押印すれば財産放棄が成立します。
家庭裁判所への申請や特別な書類の提出を必要とせず、相続人同士の合意に基づいて行われるため、迅速かつ柔軟に対応可能です。
相続放棄の手続き方法
相続放棄の手続きは、財産放棄よりも複雑で法的な手続きが必要になります。具体的な手順をまとめると以下のとおりです。
- 相続開始から3か月以内に相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出する
- 申述書の提出後、家庭裁判所から照会書が届いたら回答して返送する
- 家庭裁判所が相続放棄を認めると、相続放棄申述受理通知書が届く
申述は3ヶ月以内に行う必要があり、期限を過ぎると相続放棄は認められない場合があるため注意しましょう。
まとめ|相続放棄を行うなら専門家に相談しよう
財産放棄か相続放棄のどちらかを選ぶ場合、まずはそれぞれの違いを理解しましょう。もし相続放棄を選ぶ場合、専門家への相談をご検討ください。
法的な手続きの複雑さや一度行った相続放棄の撤回ができない点を考慮すると、専門家のアドバイスは非常に価値があります。もし相続放棄について詳しく聞きたい場合は、「船橋・習志野台法律事務所」にご相談ください。
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