コラム

長男の遺産相続分を多くしたい!そんな時はどう対応する?

2021.04.05

長男の遺産相続分を多くしたい!そんな時はどう対応する?

長男の遺産相続分を多くしたい!そんな時はどう対応する?

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

昔の日本には家督制度というものがあり、それは一家の財産は家督を引き継ぐ長男が相続すると規定したものでした。今は遺産をどのように相続することになっているのでしょうか。ここでは、どのような場合に長男が多く遺産を相続できるのか、長男の相続分を変えるにはどうするのか、長男が家業を継ぐ場合には何に気を付ける必要があるのかを解説します。

長男は遺産を多く相続することはできるのか

長男は遺産を多く相続することはできるのか

一家の財産を家督を引き継ぐ長男が相続すると定めた家督制度は旧民法の制度です。この制度は現在の民法によって廃止されました。今の民法では兄弟の間では遺産を均等に分割することになっています。

配偶者と子供がいる場合の遺産配分は配偶者が半分、子供が半分です。子供分の遺産は人数で均等に配分します。このような配分を法定相続分と言います。法定相続分はあくまで目安です。すべての相続人が合意すれば配分の割合は自由に決めることができます。また、財産を残す人が遺言書を残した場合に法定相続分より優先されるのは遺言書の内容です。

しかし、遺言書で長男への遺産配分を多くしていることに対して配偶者や長男以外の子供がどうしても納得しないこともあるでしょう。このような場合を考えて民法が定めているのが、最低限の遺産配分割合を定めた遺留分です。

遺産の配分が遺留分より少ない場合は不足分の財産を請求します。それが遺留分侵害額請求です。相続人全員の合意が得られない場合は家庭裁判所の遺産分割審判で分割割合を決めます。この時、長男が被相続人の財産増加や維持に寄与している場合に認められるのが寄与分です。寄与分があればその分多く財産を相続できます。

また被相続人の配偶者が長男に自分の相続分を譲渡したような場合にも長男が他の兄弟よりも多くを相続することになります。配分には全員の同意が必要ですが、同意がない場合も相続分の譲渡があった場合には最終的に遺産分割審判で譲渡分を認めた審判が下ります。

長男の相続分を増やしたい場合

長男の相続分を増やしたい場合

すべての相続人の合意があったり、被相続人の残した遺言状に相続人の異存がなければ長男の相続分を増やすことに問題はありません。

しかし、一部の相続人に異議がある場合には調停や審判になってしまいます。これらを避けて、少しでも長男の相続分を増やす方策として他の相続人の相続分を譲渡したり、寄与分を長男が主張する方法があります。

前者の相続人が相続権を譲渡すると贈与のように見えますが、贈与には該当しません。従って、贈与税がかかることはありません。遺産を分割するときには相続者が集まって遺産分割協議を行います。相続権を譲渡した人は遺産分割協議に参加する必要がありません。

寄与分は長男以外の相続人が納得しない場合は、家庭裁判所の審判で認められる必要があります。認められるのは決して容易でなく、寄与分への拘りが強ければ弁護士へ相談すべきでしょう。

長男が家業を継ぐ場合などの相続時の注意点

長男が家業を継ぐ場合などの相続時の注意点

長男が家業を継ぐ場合の遺産相続は相続人の集まる遺産分割協議で全員の意見が一致するように準備しておくことが大切です。遺産分割協議がまとまらなければ、遺産分割調停や最悪の場合は家庭裁判所の遺産分割審判で決定しなければならなくなります。

そのような事態を避けるためには長男が家業を継ぐことが明らかな場合は生前贈与によって、あらかじめ必要な財産を贈与したり、しっかりとした遺言を作成しておく必要があります。

生前贈与

年間110万円までは基礎控除されて贈与税の対象とならずに自由に贈与できます。それ以上の額には贈与税がかかるので注意が必要です。しかし、死亡1年前以内のものは遺留分を計算する際の財産に含まれます。ただ、1年前以前であっても極端に多額なものを贈与すると特別受益となって、法定相続分を下方修正する要素となってしまいます。

遺言書の作成

遺言書の内容は法定相続に対して優先されます。しかし、現在の民法では相続人の最低限の権利を保障した遺留分があります。遺産分割協議が円滑に実施でき、かつ、家業を継続するに必要な財産を長男に引き継げるように、相続人全員が納得できるような遺言を作成しなくてはなりません。

そのためには、遺産配分にあたって家業に必要な財産を考慮する必要があります。相続した場合に円滑に家業を継続するためには家業の支配権を握ることが大切です。そのためには会社の場合は株式のすべて、個人事業の場合は事業用の財産すべてを長男に配分することが理想です。トラブルを防止するためには公正証書によって遺言を作成した方が良いでしょう。

遺留分への配慮も重要です。相続人それぞれへの配分が遺留分以下となった場合、相続人の誰かに不満があれば遺言書を残した意味がありません。遺留分を考慮した遺産配分になるようにすることが理想です。

【まとめ】円滑な遺産分割協議を実現する遺留分を考慮した遺産配分

長男が家業を継いだりする場合は、確実に家業が継続出来るように長男の遺産配分が多いのはやむを得ないと考えがちです。しかし、他の相続人にも必要最低限の遺産を相続する権利があります。最低限の遺産相続の権利が遺留分です。

長男が家業を継いだりする場合に遺産分割協議を円滑にするためには相続人が納得する配分になるように遺留分を考慮した遺言書を作成しておくことが良いでしょう。

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