コラム

相続人の順位と範囲とは、受け取る相続分についても解説

2023.09.12

相続人の順位と範囲とは、受け取る相続分についても解説

相続人の順位と範囲とは、受け取る相続分についても解説

船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村です。

今日のコラムは基本的な事ではありますが、相続人の順位と範囲について整理します。両親がともに亡くなり子どもだけが相続する例が最も分かりやすいですが、配偶者、兄弟姉妹、孫、養子などが絡むと複雑になります。

このあたりの相続関係を整理して、相続人の範囲に勘違いがないようにしましょう。本記事では相続人の順位と範囲について詳しく解説していきます。

相続人の順位と配偶者

相続人の順位と配偶者

相続人の順位という言葉はネット上でもよく見ます。そして、配偶者は最低でも2分の1以上の相続分を持ち相続において最も多くの権利を持つので、一番順位が高い相続人のような印象を持つかもしれません。

配偶者は常に相続人

しかし、配偶者は相続人の順位とは無関係に常に相続人となります。被相続人に子ども、兄弟姉妹、親・祖父母がいなければ配偶者だけが相続人となります。

被相続人に子どもがいれば、配偶者と子らが2分の1ずつの相続分となります。子が何人いても配偶者の相続分は2分の1で子は残った2分の1を子の人数で等分します。

そして、被相続人に子がいなくて親がいれば、配偶者が3分の2、親が3分の1の法定相続分になります。親が両親ともに健在ならば両親の取り分は6分の1ずつで2人合わせて3分の1になります。

最後に被相続人に子・親がなくて、兄弟姉妹だけなら、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。兄弟姉妹は何人いようとも4分の1をさらに人数で等分して形で相続分を取得します。

配偶者は残された血族の関係によって相続分が変わる

このように、被相続人に子がいようが兄弟姉妹がいようが、配偶者は常に相続人になります。なので、配偶者は相続の順位とは無関係で、残された血族の関係によって、相続分が2分の1から4分の3まで変わってきます。

そこで、注意を要するのが、配偶者と子が相続人になる場合です。子からすると、配偶者が死亡する段階で遺産を配偶者から取得できるので、両親のうち片方が亡くなった段階では残った親に全て遺産を取得させるつもりで、相続放棄をしてしまうことがあります。

そうすると、子の次の順位の新たな相続人が発生してしまい、無用な相続紛争が生じてしまいます。なので、こうしたケースで配偶者(残された親)に全ての遺産を相続させたい場合には、遺産分割協議書で全ての遺産を配偶者が取得するように記載する方法がよいです。

相続人の範囲について

相続人の範囲について

相続人の範囲(子、孫、養子の相続)

相続の順位の考え方は、配偶者は別枠にして、子→親・祖父母→兄弟姉妹の順になります。

そして、子が相続人になる場合に、子が親より先に死亡していれば孫が代襲相続人として相続の資格を得ます。孫も死亡しておりさらに次世代の子がいればその子が再代襲の相続人となります。

また、子は実子でなくて養子も相続人の資格を持ちます。しかも、養子も実子も同じ法定相続分となります。さらに養子縁組をした後に養子に子が出来た場合は、その子は代襲相続人の資格を持ちます。

つまり、養子縁組をした後に生まれた子は被相続人にとって孫と同じ扱いになります。もっとも、養子縁組をした時点で既に養子に子がいた場合には、養子の子は被相続人にとって孫との扱いにならず、代襲相続人にはなりません。

養子縁組の効果は、養子を養親の親族関係に入れることだけであって、養子の親族ごと養親の家族になるわけでないからです。

相続人の範囲(両親、祖父母への相続)

独身(子供なし)の息子・娘に先立たれた場合

生涯独身の自分の子に先立たれた場合には両親が相続人になります。この場合は両親だけしか相続人がいないので、両親が2分の1ずつの相続分を取得します。

そして、あまり例はないですが、両親のうち父は既に死亡しているが父方の祖父母と母が生きている場合には、母だけが相続人になります。祖父母と母では世代が近い母の相続を優先するからです。

独身の(子供なし)息子・娘が死亡し両親もすでに他界している場合

次に生涯独身の子が死亡した際に、既に両親も死亡しており、父方の祖父と母方の祖父母の3人が生きている場合、3人とも相続人になります。いずれも独身の子からすると二世代前の親族で同等なので3人揃って相続人となります。

そして、先(上)の世代へ遡る相続の場合は、同世代の相続人で等分するので3人の相続分は3分の1ずつとなります。

次(下)世代への相続は代襲相続なので上世代の相続分を引き継ぐのですが、先の世代への相続は直接、被相続人からの相続なので、同世代でそのまま等分となり、父方の祖父2分の1,母方の祖父母4分の1にならず、3分の1になります。

相続人の範囲(兄弟姉妹、甥姪、養子)

被相続人に子も親(さらに先代の祖父母等)もいなければ、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が全員健在であれば、その人数で等分に相続分を取得します。兄弟姉妹で被相続人により先に亡くなっている人がいれば、その子(甥、姪)が代襲相続人になります。

例えば、3人の兄弟のうち一人が既に死亡し子が2人いれば、残った兄弟姉妹が3分の1ずつ、甥姪が6分の1ずつ相続します。さらに子(甥姪)も死亡していてさらにその子がいる場合には、相続人になります。

再度の代襲相続が認められるのは直系の親族だけで、兄弟姉妹からの派生の親族には一世代にかぎって代襲が認められます。

また、兄弟姉妹が既に亡くなっておりその養子がいる場合も代襲相続が認められます。養子縁組をすれば、実子と同様の親子関係が認められるため、代襲相続の権利も認められます。

さらに、兄弟姉妹の中には親の養子も含まれます。

養子は養親の親族になるので、養子縁組をした時点で養親の実子と兄弟姉妹の関係になります。そのため、被相続人の親の養子も他の実子の兄弟と同じ相続分を取得する形で相続人となります。

ただ、(親と)養子縁組をする前に出生している養子に実子がいたとしてもその養子の子は代襲相続人になれません。養子の子と養親には親族関係が発生しないからです。ですので、兄弟姉妹の養子は代襲相続人になれますが、(被相続人の親の)養子の立場の兄弟姉妹の子は代襲相続人になれず、養子関係の発生箇所で結論が変わるので注意しましょう。

相続人の順位と範囲は区別しましょう

まず、配偶者は常に相続人になることは覚えておきましょう。そして、子及び孫以降の下の世代→親及び祖父母以降の上の世代→兄弟姉妹と甥姪という形で相続の順位を頭に入れておけば、相続人の範囲を間違えることはあまりないでしょう。

ただ、養子が絡むと複雑になります。養子はあくまで養親の家庭に入るというイメージで、

養親が養子側の親族と関係を発生させないので、養子の子の出生の順序だったり、養子縁組の箇所で結論が変わります。ここは専門家への相談が必要でしょう。

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