コラム

【養子縁組と相続】養子縁組の相続への活用例や注意点を解説

2024.04.26

【養子縁組と相続】養子縁組の相続への活用例や注意点を解説

養子縁組が相続に与える影響とは

船橋習志野台法律事務所の中村です。

相続は、血のつながった親族同士が当事者となることが多いです。ただ、養子縁組を行うことで、新たな親族関係を発生させることができ、相続を意識した養子縁組を実施することもできます。

今回のコラムでは、養子縁組が相続に与える影響について解説いたします。

養子縁組と相続

養子縁組とは

養子縁組とは、親子関係にない人同士については、年上を養親、年下を養子とする親子関係を形成する身分法上の行為です。

20才以上の大人同士であれば、戸籍上の届け出をすることで、自由に養子縁組することができます。未成年者と養子縁組するためには、原則として家庭裁判所の許可が必要となります。

養子縁組をすることで、血のつながった親子と全く同じ法律上の親子関係が形成されます。つまり、養子縁組をすることで、養子となった人が養親の新たな法定相続人になります。

養子縁組が相続に与える影響|子どもがいる場合といない場合

養子縁組が相続に与える影響

相続対策として活用されることもある養子縁組ですが、法定相続人が増えるため、相続に大きな影響を与える可能性があります。

ここでは、
・子どもがいない場合
・子どもがいる場合
の2パターンに分けて、養子縁組が相続に与える影響を解説します。

子供がいない人の養子縁組

子どもがいない人の法定相続人は、一般的に親や兄弟姉妹となります。しかし、養子縁組をすることで養子が新たな法定相続人となるため、親や兄弟姉妹は相続人ではなくなってしまいます

例えば、兄弟姉妹が10人いる人が、ある1人と養子縁組をした場合、相続人となるのはその養子のみとなります。養子縁組には年齢制限がないため、20歳以上で誕生日が1日でも遅ければ誰でも養子になることができます。

そのため、介護などでお世話になった人に財産を確実に受け継がせたい場合、養子縁組は有効な手段と言えるでしょう。

遺言書で世話になった人に全財産を渡すこともできますが、その場合は、相続税の控除額が少なくなり、税金の負担が増えてしまいます。

ただし、養子縁組は一度成立すると原則として解消できないため注意が必要です。

子供がいる人の養子縁組

実子がいる場合

実子がいる人が養子縁組をすることで、法定相続人が増え、実子の相続分が減少します。

例えば、実子が1人いる人が養子縁組をすることで、法定相続人は2人となります。

この場合、実子が遺産を全て相続できるはずだったのに、養子縁組によって2分の1ずつの取り分になってしまいます。

実子は親の遺産相続に対する期待が強い傾向があるため、養子縁組をする際には、相続争いのリスクに十分注意する必要があります。

実子の配偶者と養子縁組する場合

一方、実子の配偶者と養子縁組をする場合、相続への影響は比較的少ないと言えます。

実子の配偶者を養子縁組することで、法定相続人が増えるため、相続税の基礎控除額が増加します。結果として、相続税が節税される可能性があります。

ただし、基礎控除の枠が増やせるのは1人目の養子のみです。2人目以降の養子の場合、基礎控除における法定相続人に数えることができず、節税の効果があるのは養子1人だけです。

養子縁組をすることで孫への相続分を増加させることも

養子縁組の相続活用事例と注意点

被相続人に長男、次男と2人の子どもがいる場合を例に考えてみましょう。長男が既に死亡して長男の子(孫)が1人いる場合、相続人は次男と孫となります。

しかし、被相続人が孫と養子縁組をすることで、孫は代襲相続人と通常の法定相続人の二重の資格を得ることができます。

なぜなら、養子縁組をしても実親との親子関係は解消されないため、孫は長男との実親子関係に基づく代襲相続人の資格と、祖父である被相続人との養子縁組による法定相続人の資格を同時に持つことができるからです。

この場合、相続人3人として扱われ、孫が3分の2、次男が3分の1の法定相続分を有することになります。結果として、孫への財産承継を促進することができます

【注意点】「養子の子」と「養親」は代襲相続人にならない

養子縁組によって養子となった人(養子)は、養親の法定相続人となります。しかし、養子縁組をした時点で、養子の子が居ても、「養子の子」と「養親」に親族関係は発生しません

これは、養子縁組は養子とその親族のみを養親の親族に組み入れる制度であり、養子の家族全体を養親の親族に組み入れる制度ではないためです。つまり、養子縁組後、先に養子が死亡しても、「養子の子」は「養親」の代襲相続人となれないということです。

「実子の養子」は代襲相続人となる

一方、被相続人の実子が養子となった場合(実子の養子)は、親族関係となり、実子が被相続人により先に死亡していれば「実子の養子」は代襲相続人となります

これは、養子縁組の制度は養子を養親の親族に迎え入れる制度であり、養子縁組をした時点で、養子は養親だけでなく「養親の親族」とも親族関係が形成されるからです。

まとめると、養子縁組前に出生した「養子の子」は「養親」の孫にはならないのですが、「実子の養子」と「実子の実親」は祖父母と孫の関係になり、前者は後者の代襲相続人となります。

これは、養子縁組が、養親中心の親族関係に養子を迎える制度であって、養子の親族に養親を迎える制度でないからです。

養子縁組は相続に活用することができる

養子縁組は、相続税対策になったり孫への財産承継を促進する有効な手段です。しかし、養子縁組は一度成立すると原則として解消できないため、慎重に検討することが重要です。

特に、養子の子が代襲相続人になれないという点は、しっかりと認識しておく必要があります。養子縁組を検討している場合は、専門家に相談し、自身の状況に合った活用方法を模索することをおすすめします。

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