コラム
相続放棄の代理申請|代理申請の方法と注意点を解説
2023.11.22
相続放棄の代理申請|代理申請の方法と注意点を解説
相続が発生すると、遺産分割協議のすえ相続の承認か放棄を決定し、手続きを行います。
相続放棄の手続きは原則本人が行う必要があります。
また、申立人が未成年であったり、判断能力が十分でないとされる場合には、代理での申請が必須となります。
相続放棄の代理申請について、以下より解説します。
任意で代理申請を依頼する
相続放棄の申請は、相続人本人が行うのが原則です。相続放棄の代理を依頼する際は、弁護士と委任契約を交わし、申請を依頼します。司法書士は相続放棄の代理をする資格がなく、書類作成の代行のみできます。
相続人の親権者や未成年後見人、成人後見人の場合は、委任状なしで代理申請が可能です。また、相続人が多い場合、被相続人の兄弟姉妹や、被相続人の子供達でまとめて相続放棄を申請することもできます。
相続放棄については、以下の記事もあわせてご参照ください。
代理申請が必要なケース
相続放棄は原則本人が行うものですが、以下のケースでは必ず代理申請を行わなければなりません。
- 申立人が未成年の場合
- 申立人の判断能力が十分でない場合(認知症や知的障害など)
申立人が未成年である場合や、判断能力が十分でないと判断された場合、法律行為を行うことができません。未成年の場合は、親権者がかわりに代理申請を行いますが、利益相反となる場合は特別代理人を選んで代理申請を行います。
利益相反とは
親が相続をして子が相続放棄をする際、子の不利益となる、つまり利益が相反することを指します。この場合は、親が代理申請することはできません。財産の相続だけでなく、借金の相続についても利益相反となる場合は代理申請が行えなくなります。
認知症や知的障害などで、申立人の判断能力が十分でない場合は、成年後見制度を利用し、成年後見人が代理申請を行います。
成年後見人による相続放棄については、以下の記事でも解説していますのであわせてご参照ください。
相続放棄を代理申請する方法
相続放棄を弁護士へ代理申請するために必要な書類と、代理申請の流れについて解説します。
必要書類
相続放棄を代理申請する際は、以下の書類を用意します。
- 委任状
- 相続放棄申述書
- 相続人、被相続人の戸籍謄本
- 800円分の収入印紙(申請手数料)
- 郵便切手(裁判所からの照会書郵送用)
相続放棄申述書は、相続人が20歳以上か20歳未満かで書式が異なります。用紙は家庭裁判所で入手するか、裁判所のホームページからダウンロードして印刷することが可能です。
また、相続順位が同じ兄弟姉妹がまとめて相続放棄を申請する場合は、以下の書類が必要です。
- 相続人、被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- 相続放棄申述書
- 800円分の収入印紙(申請手数料)
- 郵便切手
代理申請の流れ
相続放棄の代理申請は、以下の流れで行います。
- 相続放棄の意思確認を行い、代理人と相続人の間で委任契約をかわす
- 必要書類の準備
- 相続放棄申述書の作成
- 書類一式を、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に書類を提出
上記の流れで書類一式を家庭裁判所に提出し、相続放棄の申請が認められれば相続放棄受理通知書が送付されます。
相続放棄を代理申請する場合の注意点
相続放棄を代理申請する際は、期限の超過や書類不備などに注意しましょう。
相続放棄は、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。相続放棄を代理申請する場合は、期限に注意して早めに手続きするのがおすすめです。
また、相続放棄の申立は一度限りです。不備があって裁判所から却下されてしまうと、被相続人の借金も全て相続しなければならなくなってしまいます。相続放棄手続きに不安な場合は、弁護士や司法書士に相談してみることをおすすめします。
まとめ
相続放棄は、弁護士のみ代理で申請することが可能です。相続人である兄弟姉妹の分もまとめて代理申請することもできます。相続人が未成年の場合は親権者が代理で申請する必要がありますが、相続人同士で利益相反になる場合は代理申請することができません。
相続放棄の手続きは1度きりで、不備などで却下されると相続放棄ができなくなってしまいます。また、相続財産の調査を個人で行うのが難しい場合もあるので、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
船橋・習志野法律事務所では、相続や相続放棄に関する支援をしています。相続でお悩みの場合や、生前に相続に関する対策をしておきたい場合はぜひお気軽にご相談ください。