コラム

自己破産後に親が亡くなるとどうなるの?自己破産と相続放棄との関係

2021.10.08

自己破産後に親が亡くなるとどうなるの?自己破産と相続放棄との関係

自己破産と相続放棄|自己破産のタイミングと相続の仕方に注意

債務の弁済に行き詰って自己破産を考えている人の中には、その後にもし親が亡くなってしまった場合に相続にどういった影響があるのか気になるという方も少なくないのではないでしょうか。

以下では自己破産が相続に及ぼす影響や相続放棄との関係について見ていきますので、これから自己破産を予定されている方はぜひ参考にしてください。

自己破産は原則相続放棄に影響はない

自己破産後に発生した遺産は相続可能

はじめに、自己破産が相続にどのように影響するのかについて、見ていくことにしましょう。

自己破産と相続放棄の違い

まずはじめに、自己破産というのは、弁済が困難である債務を司法の力を借りて特別に免除してもらうという手続きです。借金などの債務は免除してもらうことができますが、税金の支払い義務まで免じてもらえるものではありません。

これに対し、相続放棄は、相続によって引き継ぐはずの資産と負債の一切を放棄するというものであり、その対象となる負債には税金も含まれるため、この手続きをとった場合には被相続人の税金を支払う必要はなくなります。

このように相続における両者の違いは、被相続人の債務義務を免れるかどうかという点にあるのです。

自己破産後の相続放棄は必要ない

自己破産をした場合には相続放棄をしなければならないと思われている方がいるかもしれませんが、実際にはその必要はありません。自己破産後であっても、一定の条件さえ満たしていれば、相続放棄をせずに遺産を受け取ることは可能なのです。

しかしながら、もしも親に借金があるような場合には、そのまま相続してしまうと、せっかく自己破産をして身ぎれいになったにもかかわらず、また負債を抱えてしまいますので、そういった事態を避けるためにも相続放棄を行った方がよいでしょう。

遺産を相続したいなら注意する自己破産のタイミング

自己破産前に発生した遺産は要注意

次に、自己破産のタイミングによって親の遺産を相続できるかどうかが変わってくるという点に注意しなければなりません。

自己破産の申し立て前の場合

まず、自己破産を申し立てる前に相続が発生した場合には、問題なく相続を行うことが可能です。申し立てを行っていない以上、当然ながら相続人として遺産を受け取れる権利を行使できるのです。

そのため、もし自己破産を検討しているときに、親の余命がいくばくもないということが分かったような場合には、相続を想定して申し立てを行うのは少し待った方がよいかもしれません。

自己破産の申請中の場合

自己破産の申請中に相続が発生した場合は、相続開始が破産手続き開始決定前か決定後かによって相続できるかどうかが変わってきます。

すなわち、もし相続手続きが破産手続き開始の決定前に始まった場合には、残念ながら遺産を相続することはできません。これに対し、破産手続き開始が決定された後で遺産手続きが行われるような場合には、相続人として遺産を相続できるのです。

自己破産前に遺産分割協議に参加する注意点

遺産分割協議時の注意点

ここからは、自己破産の前に遺産分割協議に参加する場合に注意すべきポイントを紹介していきます。

自己破産開始前は管財事件になる

第一に注意しなければならないのは、自己破産を申し立ててから手続が開始されるまでの間は、管材事件として扱われるという点です。

管材事件については、裁判所が選任する破産管財人が自己破産の申立人の財産を調査し、管理・処分した上で、それによって得られた金銭を債権者に支払うことになります。

そのため、申立人は、一連の手続が終わるまでの間は自らの意志で資産の処分などを行えなくなるのです。

破産管財人が遺産分割協議に参加する

第二に、自己破産手続の開始後に相続が発生すると、破産管財人が遺産分割協議に参加することになります。あくまでも協議に参加するのは管財人ですので、仮に自己破産の申立人が相続を放棄しようと思ったとしても、管財人がそれに応じてくれなければ放棄はできません。

逆に、申立人が相続を希望したとしても、相続によって引き継ぐ資産よりも負債の方が多いような場合には、必ずしもその希望通りにはいかないでしょう。

破産手続開始決定が出たあとは相続放棄ができない

第三の注意点は、破産手続の開始が決定された後は、仮に自己破産の申立人がそのように望んだ場合であったとしても、相続放棄ができなくなるという点です。

前述したように、相続そのものは問題なくできるのですが、仮にそれを放棄しようとしても、認めてもらうことはできません。

これは、相続をしていれば相続財産を用いて債務の全部または一部を弁済できるにもかかわらず、あえて放棄することによって債務者が弁済を受けられなくなるという事態を防止するためです。

【まとめ】自己破産と相続放棄の関係を理解しておこう

以上で見てきたように、自己破産を行うタイミングによって相続手続に与える影響は異なります。

場合によっては、自分が希望した通りに親の遺産を相続したり、相続を放棄したりすることができなくなってしまいますので、もし近い将来に相続が想定されるのであれば、自己破産を申し立てるタイミングを慎重に見計らった方がよいでしょう。

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