コラム

相続放棄後も親名義の実家に住み続けられる?

2021.07.07

相続放棄後も親名義の実家に住み続けられる?

こんにちは。船橋習志野台法律事務所の弁護士の中村亮です。

親の財産を相続放棄した後も、親名義の自宅に引き続き居住することはできるのでしょうか?

相続放棄によって、借金の引き継ぎがなくなるというメリットはありますが、一方でプラスの財産も一切引き継げなくなるというデメリットがあります。

この記事では、相続放棄をしながらも実家に住み続ける方法を検討していきます。

【方法1】親名義の自宅を有償で取得する

【方法1】親名義の自宅を有償で取得する

最も確実な方法は相続財産管理人を通して親名義の自宅を購入することです。

当然、親の生前に購入するのが簡便かつ確実な方法です。ですが、そもそも、親に借金があるのを知らなかった場合、あるいは、親が急死してしまって、生前の購入ができなくなる場合もあります。

親の死後に親の借金を相続せずに自宅を取得することはできるのでしょうか?

STEP1:相続財産管理人を選任する

その方法は相続放棄をしつつ、相続財産管理人選任の申立をして、相続財産管理人から自宅を購入するという手続を踏みます。

相続財産管理人とは

相続人がいなくなった場合、遺産は形式的に国に所属することになります。この遺産を国に代わって管理する人物のことを「相続財産管理人」といいます。相続財産管理人は、家庭裁判所に申し立てを行い、そこで選任された弁護士や司法書士などの法律の専門家です。

STEP2:相続財産管理人を選任するために相続人が不在の状況を作る

相続財産管理人を選任するためには相続人が不在の状況を作る必要があります。

つまり、自身だけでなく、兄弟姉妹にも相続放棄をしてもらい、更に第2順位の相続人である叔父や叔母にも相続放棄をしてもらう必要があります。被相続人の借金の額が多ければ、相続放棄で協力を得ることは比較的容易です。

STEP3:相続財産管理人の選任後、自宅の購入を申し出る

相続財産管理人が選任されると、遺産となる自宅は相続財産管理人の管理下に置かれます。

相続財産管理人は遺産を永続的に管理するわけではなく、基本的には換金してその金銭を国庫に帰属させることを目指します。

そこで、自宅を売却して換金する際に自らが購入することを相続財産管理人に申し出ます。相続財産管理人の立場からも、実際に居住している人に購入してもらうのがもっともスムーズに換金できるため、これを拒否することはあまりないでしょう。

手間はかかりますが、このように自ら購入をするのが最も確実でしょう。

【方法2】他の相続人に取得してもらい、有償または無償で居住する

【方法2】他の相続人に取得してもらい、有償または無償で居住する

これは、自身には親の借金を引き継ぐ余裕はないが、他の相続人にはそれができる場合に、自らは相続放棄をして他の相続人に自宅を相続により取得してもらう方法です。

この場合は、自宅を取得した相続人に対して家賃を支払う、もしくは自宅の維持、管理をする代わりに無償で居住する約束をすることになります。

相続人間で合意が得られる場合に成立する

このような約束が成立するのは、以下の場合が多いです。

  • 自宅を売却・換金する必要性がない場合
  • 相続人間で実家となる家屋残しておくことで合意が得られる場合

自宅を取得した相続人は遠方に居住しているのため、自宅の管理は被相続人と同居していた相続人に任せ、必要になったら売却するという形で合意することが多いと思われます。

この場合、無償で自宅に居住できますが、いずれ取得した他の相続人の意向で売却となり退去を余儀なくされるリスクがあります。また、相続人間で自宅を維持する合意が得られない場合は、この手段を取ることは困難でしょう。

【方法3】相続人に資力がない場合の対応方法

【方法3】相続人に資力がない場合の対応方法

これまで紹介した「親名義の自宅を購入する方法」や「他の相続人に自宅を取得してもらい、有償または無償で居住する方法」は居住者本人か他の相続人に一定の資力があることが前提のご提案です。

しかし、親の借金を肩代わりして返済することができる相続人が一人もおらず、親名義の実家を自ら購入する余裕もない場合はこれらの手段は取れません。

親の借金を肩代わりし返済可能な相続人がいない場合

親の借金を肩代わりして返済することができる相続人が一人もおらず、なおかつ親名義の実家を自ら購入する余裕もない場合は、相続放棄により自宅を失い退去を迫られるのが原則です。

親の借金が昔のものであれば、消滅時効を主張して借金を帳消しにして相続放棄を行わずに自宅を取得できることもあります。さらに、借金問題に対するアプローチとして、相続放棄を行わずに親名義の実家と共に借金を引き継ぎ、分割払いの提案や民事再生の手続きを行うことで、実家を残しつつ借金額を減らす方法もあります。

親名義の自宅の価値が高ければ、自宅を担保にして親の借金返済に必要な資金を金融機関から借り入れ、親の借金の返済に充当する方法もあり得ます。

【まとめ】親の死後も親名義の実家に住むことは可能

これまで述べたように、相続放棄をしつつ親名義の自宅に居住し続ける手段や、相続放棄をせずに親名義の借金を整理するやり方もあります。

いずれも、弁護士の助力により事がスムーズになる可能性が十分にあります。大事な自宅の事ですから、すぐに諦めずに専門家に相談することが重要でしょう。

船橋・習志野台法律事務所では来所不要でお手続きが可能です。遠方にお住まいの方でもご対応できますのでお気軽にご相談ください。

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