コラム

相続放棄をした場合、他の相続人への通知は必要なのか?

2021.05.06

相続放棄をした場合、他の相続人への通知は必要なのか?

相続放棄をした場合、他の相続人への通知は必要なのか?

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

親族が亡くなったとき、故人の残した遺産の相続が開始されますが、相続人は必ずしも遺産を相続しなければいけないわけではありません。被相続人の残した資産よりも負債の方が多い場合には、相続放棄が行われることも多いです。相続放棄をする場合に気になるのが他の相続人に対する通知が必要かどうかですが、この記事ではこうしたケースにおける他の相続人への通知義務について、詳しくご紹介します。

相続放棄をした場合、他の相続人への通知はするべき?しなくてもいい?

相続放棄をした場合、他の相続人への通知はするべき?しなくてもいい?

結論から先に言うと、相続放棄をしても他の相続人への通知義務はありません。

まず、相続の種類についてご説明します。相続が開始された場合、権利を持つ相続人は3つの方法の中から自分の好きな方法を選択することが可能です。遺産をそのまま相続できるのが単純承認ですが、被相続人が資産と負債の両方を残した場合には負債の支払い義務も一緒に相続することになります。

このようなデメリットを避けるために選択できるのが、限定承認と相続放棄という方法です。限定承認よりも相続放棄の方が手続きが簡便で、相続人が複数いる場合、限定承認は相続人全員の同意が必要であるのに対して、相続放棄は相続人が単独で行うことが可能です。

そのために問題になることがあるのが、相続放棄をした場合の他の相続人への通知義務です。

冒頭で述べた通り、相続放棄をしても他の相続人への通知義務はありません。自己のために相続が開始されたことを知った日から3か月以内に裁判所に申述をすれば、相続人は単独で相続放棄が可能です。ですが、相続放棄が認められても裁判所から他の相続人に対しての通知は行われないため、相続放棄をしたことを知らせたい場合には自分で相手に連絡を入れる必要があります。

法的な通知義務はありませんから、通知をしなくても法的には何の問題もありませんが、通知をしないままでいると他の共同相続人はいつまで経っても相続放棄が行われたことを知ることができない場合があります。

通知されなかった相続人はどうなるのか

通知されなかった相続人はどうなるのか

特定の相続人によって相続放棄が行われた場合、相続の内容に影響を受けるのが他の相続人です。

相続人が複数いる場合には、相続放棄を行った相続人は初めから相続人にならなかったものとみなされるので、被相続人の遺産をその分多く相続することができます。例えば、父親が亡くなって3人の子供が相続人になる場合、遺書などがないケースでは父親の遺産は子供が均等に3分割することになりますが、相続放棄をする相続人が現れることで他の相続人の相続できる遺産の額はそれぞれ変化します。被相続人の遺産が3,000万円であった場合、このケースでは1人の子供が相続できる父親の遺産は当初は1,000万円ですが、もし相続人の1人が単独で相続放棄をした場合には他の相続人の相続財産は1人あたり1,500万円になります。

相続放棄をした相続人の遺産は、同一順位の相続人に均等に分けられるのが原則になっていますが、相続の状況によっては相続放棄をしたことにより、新たに別の親族が相続権を得ることがあります。例えば、親が亡くなってその一人息子だけが相続人となるケースでは、子供が相続放棄をした場合には同一順位の相続人がいなくなるため、下位の順位の親族が新たに相続人となります。この場合は、亡くなった被相続人の両親が健在の場合には両親が新たに相続人となります。

相続放棄後はどういう対応をとるのがベストなのか

相続放棄後はどういう対応をとるのがベストなのか

相続放棄をすることで、多額の負債の存在が後日発覚した場合にも負債の支払い義務を回避できます。その際にしっかりと考慮した方が良いのが、他の相続人への対応です。

通知をしなくても法的には何の問題もありませんが、通知をしないことにより後々親族間で何らかのトラブルが発生する可能性もあるため、無用ないざこざを回避したい場合には面倒でも相続放棄をした旨の通知を全ての共同相続人に通知する方がおすすめです。電話などでも通知することはできますが、相続放棄は正式な法律行為であるため、放棄の通知も書面で行った方が適切です。相続人が複数いる場合には全ての相続人にもれなく通知をする必要があるため、誰が相続人となっているのか改めて確認が必要です。

相続人が1人であるケースでも、他の親族へ通知をした方が良い場合があります。1人息子が父親の遺産を相続放棄して、父親の両親も全員亡くなっている場合には父親の兄弟などが新たに相続人となることがありますが、通知をしないままでいると相続が発生していることを本人が認識できない場合があります。

このような場合には相続放棄をしたことを新たに相続人になる親族に通知しておくことで、相手がその後の対応をしやすくなります。下位の相続人に通知を行う場合には誰が新たに相続人となるのか、事前に確認しておきましょう。自分でわからない場合には弁護士に相談することも有効な手段で、適切な対応をアドバイスしてもらえるでしょう。

【まとめ】義務はなくても通知をした方が最適な相続放棄

相続放棄をした際の通知義務について一通りご紹介してきましたが、法的な通知義務はないため、通知をしなくても問題はありません。

しかし、通知をしないことで他の相続人が後の対応に困ることもありますから、迷惑をかけたくない場合には面倒でも通知をしておく方がおすすめです。

その際は、全ての相続人に通知をすることを忘れないようにしましょう。

船橋・習志野台法律事務所では来所不要でお手続きが可能です。遠方にお住まいの方でもご対応できますのでお気軽にご相談ください。

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