コラム

遺産分割協議が決裂した時の手続き~調停と審判とは~

2021.07.09

遺産分割協議が決裂した時の手続き~調停と審判とは~

こんにちは。船橋・習志野台法律事務所です。

遺産相続は被相続人が死亡した瞬間から始まります。相続人が集まって遺産分割の話し合いを遺産分割協議といいます。遺産分割協議は、相続人全員の合意によって確定しますが、必ずしも遺産分割協議で上手くまとまるとは限りません。

今回は遺産分割協議が決裂してしまった場合どのように対処するのがよいか、遺産分割調停の申立についてや、遺産分割審判について詳しくご紹介いたします。

遺産分割協議が決裂した場合は遺産分割調停の申立をする

話し合いが決裂した場合は遺産分割調停の申立をする

遺産分割協議が決裂した場合、家庭裁判所で遺産分割調停の申し立てをします

遺産分割調停とは、相続人のうちの1人または複数人で他の相続人全員を相手方として申し立てるものです。

遺産分割調停の流れ

相続人の一人が管轄の家庭裁判所へ調停申立書を提出し、手数料を納付して手続きを始めます。手数料は、被相続人1人につき収入印紙が1,200円連絡用の郵便切手料金です。

調停申立書が家庭裁判所に受理されると、後日調停期日が指定されます。調停期日に相続人全員が裁判所に集まり、遺産分割調停が始まります。

遺産分割調停は、裁判官と2人以上の調停委員で構成された調停委員会の下で行われます。調停委員会は中立公正な立場で相続人から事情を聞き、それぞれがどのような分割方法を望むかを聴取し、場合によっては資料の提出を求めたり、遺産の不動産鑑定等を行います。

遺産分割調停はあくまで、調停委員会を通しての話し合いです。数回に渡る話し合いを通じて、相続人全員が合意できるような分割方法を模索していきます。

遺産分割調停は長期にわたることが多い

遺産分割調停は1ヶ月に1回の頻度で行われます。平均して6~10回程度呼び出され、1年ほどの期間がかかります。2年以上かかる場合もあるので気をつけてください。

相続人同士は裁判所で顔を合わせることはありません。個別に待合室が設けられていて、一人ずつ調停委員に自分の要望を伝えます。ただし最初と最後の調停では、手続きの説明のため一堂に会する可能性はあります。

遺産分割調停で合意に至る場合とまとまらなかった場合

遺産分割調停による遺産の分割方法に相続人全員が納得して合意に至った場合、裁判所が合意の内容を証明する書類を作ります。これを調停証書と言います。

調停調書は判決と同様の効力(債務名義)があり、従わない相続人に対して強制執行(差し押さえ等)ができます。

調停委員会を通じても話し合いがまとまらず遺産分割調停が不成立になった場合、自動的に遺産分割審判の手続へと移行します。

遺産分割調停がまとまらなければ遺産分割審判に移行する

遺産分割調停がまとまらなければ遺産分割審判に移行する

遺産分割調停が不成立になると、遺産分割審判が始まります。遺産分割審判とは裁判官が遺産分割の方法を決定するための手続きです。

調停不成立の場合、改めて裁判所に申し立てる必要はありません。調停を経ずに最初から審判を申し立てることも可能ですが、ほとんどの場合、裁判所が職権で調停をするように命じてきます。

遺産分割審判の「審判」とは裁判と同義です。したがって当事者は裁判所に出頭し、法律的な主張と証拠の提出が必要です。調停と違って当事者はお互い顔を合わせることになります。

遺産分割審判の流れ

遺産分割審判の期日は原則調停が不成立となった際、遺産分割審判に移行したことと合わせて最初の期日を知らせる呼出状が家庭裁判所から届きます。何度か期日を入れた後、裁判所は要点を整理して最終的に審判を下し、当事者には「審判書」が郵送されます。

遺産分割審判は長期にわたることが多い

遺産分割審判は1ヶ月~2ヶ月に1回の頻度で行われます。審判の回数に制限などはないため、遺産分割審判は長期にわたることが多く、一般的に1~2年、長期化する場合は3年以上に及ぶ場合もあります。

審判書には、裁判官が指定する遺産分割方法とその理由が記載されており、内容に不服があれば2週間以内に「即時抗告」が可能です。

遺産分割審判では遺産の分割方法が調停と異なる

即時抗告すると、高等裁判所で改めて審理されます。即時抗告がなければ、審判が確定して審判書に記載された方法で遺産が分割されます。審判書は調停調書と同様、従わない者に対して強制執行が行われます。

遺産分割審判では遺産の分割方法が調停と異なります。調停では柔軟な分割方法も可能ですが、審判では法定相続分での分割が基本です。

また不動産の共有状態は許されず、分割されるもしくは売却されてその金額を分ける方法が取られます。

遺産分割協議で困った際は早めに専門家に相談しよう

遺産分割協議で困った際は早めに専門家に相談しよう

上述の様に遺産分割審判は法的な主張をする必要があり、加えてそれを書面で提出しなければなりません。遺産分割審判では裁判官が審判を行うため、被相続人の希望通りにいかない場合もあります。

そんな時は専門家、特に弁護士に頼るのが大事です。弁護士に依頼すれば、主張書面や証拠の提出など、審判に必要なことは全てやってくれます。

遺産分割協議の場では、弁護士の参加や代理出席が許されています。自分の言葉で上手く主張できない場合、調停の場に弁護士がいれば必要なアドバイスが得られます。裁判所が遠方の場合は、弁護士に代理で出席を頼めます。

調停・審判共に、一度遺産分割方法が確定するとそれを覆すことは出来ません。したがって後々後悔しないためにも、自力で無理だと感じたらすぐに相談しましょう。

また遺産分割協議の段階で弁護士に相談するのも手段の一つです。相続人同士のみで協議すると感情的になり、話がなかなか進まない、あるいはいつまで立っても終わらないことが多いです。

更に調停・審判まで行くと、解決するのにもっと長い年月がかかります。最初から弁護士に助言をもらい、早急に解決を試みるのも悪くありません。

まとめ

遺産分割調停や遺産分割審判は、手続き自体は簡単で、誰でも行えます。

しかし主張の整理や証拠提出には、ある程度の法的知識が必要となります。たしかに弁護士に依頼した場合、かかる費用は安くありません。しかし受け取れる遺産が増えたり、事態の早急な解決などそれに見合ったメリットがあります。

一人で悩まずに、状況に応じて専門家と相談しながら遺産分割を進めるのがおすすめです。

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